1/23/2018

[PC] Spectreパッチでさらに性能低下

IntelのやらかしたMeltdown、そのパッチ適用による壊滅的な性能低下の手当もままならない最中ではありますが、続いてSpectreのパッチもLinuxの主要ディストリビューションで配布されてしまいました。もうどうにでもなれ、と前回適用したサブPCでその性能への影響をベンチした次第です。

ベンチ対象はSandy世代のG630機、OSはUbuntu16.04LTSで、Spectreパッチ適用後のカーネルバージョンは4.4.0-112になります。

その結果は以下の通り。前回の表に追加されたafter2の列がSpectreパッチ適用後のベンチ結果で、2列目のafter1は前回掲載したMeltdownのみ適用時のスコア、3列目は両パッチ適用前、最後の列にはMeltdown適用前とafter2の比を記載しています。

総合スコアではMeltdown適用後(after1)からさらに数%のダウンとなりました。個別の項目では、システムコールオーバーヘッドがmeltdown後からさらに2割程低下し、シングルスレッドではついに元の1/5となる2割にまで落ちている他、パイプのスループットも同様に1割超低下して元の5割を割り込んでしまっています。

1-way after2 after1 before after2/before
Dhrystone 2 using register variables 2706.5 2706.2 2706 1.00
Double-Precision Whetstone 666.5 666.4 666.3 1.00
Execl Throughput 900.9 898.9 1015.4 0.89
File Copy 1024 bufsize 2000 maxblocks 1400.8 1452.3 2190.2 0.64
File Copy 256 bufsize 500 maxblocks 961.6 980.9 1667.2 0.58
File Copy 4096 bufsize 8000 maxblocks 2770.7 2796.9 3638.1 0.76
Pipe Throughput 694.1 789.1 1544.4 0.45
Pipe-based Context Switching 418.5 428.9 482.8 0.87
Process Creation 944 925.4 1060.1 0.89
Shell Scripts (1 concurrent) 2304 2313.1 2470.2 0.93
Shell Scripts (8 concurrent) 3010.6 3028.5 3235.4 0.93
System Call Overhead 462.1 553.1 2369.4 0.20
System Benchmarks Index Score 1149.7 1187.2 1634.7 0.70





2-way after2 after1 before after2/before
Dhrystone 2 using register variables 5408.1 5398.8 5408.7 1.00
Double-Precision Whetstone 1331.4 1329 1331.3 1.00
Execl Throughput 1978.6 1965.7 2213 0.89
File Copy 1024 bufsize 2000 maxblocks 2587.1 2639.1 3031.2 0.85
File Copy 256 bufsize 500 maxblocks 1774.5 1832.3 1990 0.89
File Copy 4096 bufsize 8000 maxblocks 4887.1 4791.5 5352.5 0.91
Pipe Throughput 1357 1568.3 3100.4 0.44
Pipe-based Context Switching 889.3 948.2 1632.1 0.54
Process Creation 1782 1818.4 2091.3 0.85
Shell Scripts (1 concurrent) 3441.3 3452.5 3749.8 0.92
Shell Scripts (8 concurrent) 3201.2 3211.3 3468.8 0.92
System Call Overhead 877.5 1018.8 3756 0.23
System Benchmarks Index Score 2082.3 2154.1 2831.9 0.74

Meltdown適用時の落ち込みに比べればマシには違いありませんが、無視出来る程でもなく、やはり落胆は禁じえません。もうDB系はまともに使えませんね。ビジネスユーザではますますEpyc(Ryzen)等への乗り換えが進みそうです。もうすぐリリースされる予定のRyzen APUは、個人や小規模ユーザには非常に人気を集めるのではないでしょうか。私も時期を見て、可能な限り速やかに乗り換えたいと思います。

もはや待ったなしの現実がユーザに突きつけられる一方で、Intelが公開したマイクロコードにはPCを落としたり再起動出来なくさせたりするバグが発覚して適用中止を呼びかける事態にもなっていたり、それ以前にLinusをはじめとするLinuxのDeveloperコミュニティとの対立も悪化の一途を辿っていたりで、Intelの既存ユーザに関する限り、事態は解決どころか悪化するばかりです。それもこれもIntelが保身を図るべく性能低下を誤魔化そうとして中途半端かつ杜撰な対応をした事が主要因と言わざるを得ないわけで、もうこのまま地獄に落ちる他ないんじゃないかと。道連れにされる我々はたまったもんじゃありません。この状況を見る限り、Intelが事態を早期に解決出来るものとは到底期待出来ないし、やはりIntelを見限って乗り換えるユーザの大量発生は避けられないでしょう。それに伴うIntelに対する損害賠償請求はとんでもない事になりそうです。しかもその潜在的な被害は今以って拡大中という。。。

USN-3540-1: Linux kernel vulnerabilities

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