6/09/2017

[pol] May首相自滅、立ち往生してしまった英国

周知の通り、英国の総選挙(下院)が実施されました。結果は、与党Conservative(保守党)の明らかな敗北。第1党は維持し、かつLabour(労働党)をはじめとする野党勢力にしても一枚岩ではなく全野党の連立は困難と思われ、従って政権交代が起こる程ではないだろうことから、必ずしも壊滅的な大敗とまでは評価されないものの、単独過半数を失い、今後は連立なり個別案件での妥協なり、政権運営につき強い制約を受けるだろうところとなりました。

よりによってBrexitの手続の最中、国家の先行きを左右する重大な意思決定を山ほど行わなければならないこのタイミングにあってのこの議会・政府の機能不全をもたらすだろう変化は、誰にとっても好ましい事ではないでしょうけれど、致し方のないところなのでしょう。今回の選挙は、現首相のTheresa Mayが前首相のDavid Cameronの辞任後に議会によって選任されたものであり、しかも元々は本命ではなく他の有力候補が自滅したために消去法的に選出された首相であったところ、国民の信任を得てその政治基盤を確立すべく打って出たのが裏目に出た格好なわけですが、その元々の経緯やいわゆるHard Brexitを指向する若干荒っぽい政治方針からすれば、ある程度の反発が生じていたとしてもそれは自然な結果とも言えるところなのでしょうし。というか、元々からしてギリギリ過半数だったのだから、このような結果になりうる事は十分に予想出来た筈なのですが、May首相は一体どういうつもりだったのでしょうね?Brexitの国民投票実施を決断し、それが裏目に出たために失脚を余儀なくされたCameronの二の舞とも言えるような話でもありますし、それが頭をよぎらなかったわけは無い筈なのですが。謎です。ともあれ、既に終わった事です。さて、これが英国、EU、ひいては世界に対し、どのような帰結をもたらすのでしょうか?単にどうにもならなくなるだけかもしれませんし、特段の変化もないのかもしれませんけど。

ところで、2大政党の陰に隠れて、SNP(スコットランド国民党)が半減近い大敗を喫しています。 SNPはBrexit反対の急先鋒であるところ、その敗北によってEU残留派の伸張が相当に相殺・抑制された側面もあるわけなのです。この点、英国民としてはBrexitへの信任はいまだ不十分なものの、それ以上にScotlandの独立には否定的であると解釈すべきでしょうか?なかなかに複雑というか、面倒な事になってるというか、ますます混沌を深めるUKは一体何処へ行くのでしょうか。

UK election 2017: Conservatives lose majority