1/17/2017

[law] 過去の検査結果改竄疑惑の高まる豊洲汚染

無理なものを無理と認めて諦める。それだけの、誰もが日常的に行っている至極当然の事が、公の事業であるというだけでこれほどまでに面倒な事になってしまうのですね。

中央卸売市場の豊洲移転の件、地下水検査で従来の検査結果と比較して桁違いの汚染度を示す結果が出たそうで大騒ぎです。シアンまでも検出されたとか。検査が全くの誤りであったというのでもない限り、移転は中止とせざるを得ないものであることは間違いありません。いやまあ、それがなくても絶望的だったんですけれども、これで息の根も止まったかなと。

移転の是非に関する結論に議論の余地はほぼないだろう一方で、これまでの検査結果、特に新知事就任前までは全く環境基準に抵触するものすら無かったところから今回の結果へと転じた理由については現在のところそれを判ずるに足る証拠はなく、様々な憶測が飛び交っています。

あり得る原因としては、およそ次の3つのいずれかとなるでしょう。

1.知事選前後に地下水が汚染された(検査結果は全て正確)
2.以前の検査結果が誤っていた
3.今回(及び前回)の検査結果が誤っている

さてどれだ。

まず3.は一番無さそうに思われるところです。以前とは比較にならない注目が集まっている中、故意にしろ過失にしろ、ここまで極端な誤検出が起こりうる可能性は極めて低いでしょうから。特に検出に困難があるような特殊な物質でも何でもないですしね。

となれば、1.か2.という事になるわけです。まあ本来なら検査を事実として1.と考えるべきところなのでしょう。が、何せこれまでの経緯が経緯です。都を筆頭に当事者がほぼ全員移転の実行に利害を有していて、その致命的な障害となる汚染の検出を忌避しており、一方で検査機関への圧力による結果の改竄も可能というか極めて容易であった、という事情を考慮すれば、2.の、それも悪意に基づいたものとの疑いを排除する事は出来ないように思われるところです。

しかし、もし実際に改竄等があったというのなら、一気に本件が刑事事件になってしまうのですよね。これまでの疑惑とは質が違う話で、歴代担当者は無論、都そのものも刑事的な追求を免れないでしょう。もっとも、余程の確固たる証拠が出ない限り、当人達は認めないでしょうし、司法も動けないだろうところ、当事者は当然に隠蔽に走(ってい)るでしょうから、実際に逮捕・起訴までがなされる可能性はさほど高くないだろうとも思われるわけですけれども。

とはいえ、都は3.の可能性が高いと言い張って再検査をするとしているわけで、現状はそれ以前の段階なのですけれども。まあ、検証する事自体は別段悪い事ではないでしょう。ただ、これまでの検査には何ら疑義を付けなかったのに、都合の悪い結果が出た時に限って否定に走る、というのはやはりあまりにも愚かしい事だと言わざるを得ないし、そもそも検査自体を疑うというのなら、過去の検査結果も同様に再検証が必要という事になるわけです。それに必要な過去の検体は保管されているのでしょうか?まさか廃棄してたりしないでしょうね?ともあれ、多分にいわれのない追求を受けるだろう検査機関の担当者にはご苦労様です。ありもしない不手際が無かった事を証明しろと言われる事ほど理不尽な事はないのですけれども、主観的な、自分達にとっての都合の良し悪しで客観的な結果を左右しようとする都の阿呆な面々は、その阿呆さ故に自分達がどれだけ阿呆なのか理解する事も出来ないのでしょうし、関わってしまった自分の運のなさを嘆くしかないのでしょう。無論、もし共犯だったというのなら、自業自得という事になるわけなのですけれども、さて。

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