2/16/2016

[biz law] 富士通、NEC、大井電気ら、談合の余罪隠蔽に失敗し再摘発

ちょっと、どころではなく、救えない位に酷いと思うのです。いや、またしても発覚した電力関連通信設備の談合の件なんですけれども。

今回容疑の掛かっている入札は、中部電力発注の保安設備の一部で、障害時の送電遮断等制御用の通信機器・設備に関するものとのことです。容疑が掛かっているのは富士通、NEC、大井電気、名伸電機の四社。持ち回りで落札出来るよう調整していたという事で、典型的な独禁法違反事件ですね。公金を詐取した重罪で、まず情状酌量の余地も無いだろうものではあるけれども、談合案件としてそれ相応の処罰の対象になるだけのことです。それ自体に特に注目すべき点はありません。

本件特有の問題だろうのは、その発覚の経緯です。当該四社の内、富士通、NEC、大井電気の三社は、昨年に東電で同様の談合が発覚して摘発を受けた件がまだ記憶に新しいところ。その捜査の過程で本件の容疑が浮上した、という事らしいのですね。で、前件発覚の際には、各社とも「捜査には全面的に協力する」とお決まりのコメントを出していたわけです。それが何故こんなに時間が経ってから、それも再び強制捜査を受ける形で発覚したのかと。

前件も本件も、製品も顧客も同種である以上、各社の担当部門は同じ。従って、摘発と捜査を受け、それに「全面的に協力」した筈の組織、人間も殆ど同じでしょう。何故その際に本件が発覚しなかったのか。余罪について追求を受けなかったわけはありません。事実、こうして容疑が掛けられ、捜査を受けて摘発されてもいるのですから。前件の捜査の際に本当に協力していたのなら、その際に本件も当然に表沙汰になっていた筈なのです。

しかるに結果は全く逆。捜査当局側が再度摘発するに至っています。件の全面的に協力するとの言に反して姑息にも余罪の隠蔽に走り、おそらくは証拠の隠滅もしたのでしょうけれども、しかし隠し通せずに暴かれたもの、と理解する他ないのですね。前言は全くの虚偽でした。あまりに悪質と言わざるを得ません。

ここまでで十分以上に腹立たしい話なわけですが。。。その上、本件を受けて発表されたコメントでは、あろうことか前回と同様「捜査には全面的に協力する」とこの期に及んで再び寝言をほざく始末。誠実さの欠片も無いその態度には、間接的に被害を受けた一般市民として、舐めてんのか全員逮捕されてそのまま会社もろとも死ね、と溢れ出る怒りを抑え難く感じずにはいられないわけです。

知ってますよそれは。談合なんて悪質な犯罪に手を染めた時点で誠実さなどあろう筈もないし、その種のコメントは組織としてのポーズに過ぎないって事くらい。それでも、幾ら何でも事ここに至ってそれはないだろうと。不誠実なんて生易しいものではありません。どれだけの悪意があればそのような、謝罪の一言すら加える事もなく、反省以前に自分達の発言を覚えてすらいないとしか思えない振る舞いを出来るのかと。それも一社だけではなく複数が揃って。

あれですね、これ程迄に腐り切ってしまっている、というのなら、もはや自発的な改善など欠片も期待できよう筈もなし。談合には年間売上の10倍位の懲罰金を課して事実上の取り潰し位にするべきだと思うのです。それ位しないと、現状の罰則では軽すぎて予防にはならないのでしょうから。それで誰もいなくなるのなら、それはそれでしょうがないんじゃないかと思うし、新しい企業が直ぐに出てくるでしょうから、特段の問題もないでしょう。

ともあれ、公取はじめ規制当局にはお疲れ様でした。基本的に何処も彼処も真っ黒なのは殆ど明らかなのだから、出来ればもっとバンバン摘発して行って欲しいものです。でも多すぎて一々捜査とか面倒、というか実際の所不可能な位でしょうから、やはり一発アウトで消滅する位の厳罰にして予防した方が適切だろうとは思いますけど。

[過去記事 [biz law] 富士通、NEC含む5社、東電の通信設備整備工事で談合し公金騙取]