3/25/2015

[law] 首相・政府共に自衛隊を軍隊と公認

安倍首相が自衛隊をして「我が軍」と公の場で発言し、菅官房長官もその旨追認してしまいました。いやもう、阿呆ここに極まれりというべきでしょうか。

周知の通り、憲法第九条の2には「陸海空"軍"その他の戦力は、これを保持しない」と、日本における軍隊は、その存在自体が明文で禁止されています。ここで言う軍には、攻撃・自衛等の目的や形態を問わず、国家間の紛争における実行手段としての組織を広く含むものとされてきました。従って、国際社会一般に言う軍隊、少なくとも国家に属し、他国との有事に備え、あるいは実働にあたる武装を備えた組織はその全てが含まれるものとされています。だからこそ、これまで日本においては、国家間の紛争に関わらない、すなわち一般に互いに他国の軍との双方向的な対峙を想定せず、その代わりとして国家間の紛争とは分離された、事実としての一般的な脅威・攻撃のみを観念的に想定し、その対処に限定された、すなわち専ら防衛のみを担う組織としての自衛隊が作られ、維持されてきたのです。

殆どの向きから、それは詭弁であり、国際的にも"Japanese Self Defence Force"は実質的にArmyだと見做されている、その事もまた周知の事実ではあります。しかし、如何にその建前が詭弁の性質を強く帯びていようとも、それが無ければ、すなわち自衛隊が一般に言われる所の軍である事を認めてしまえば、即ち法治国家たる日本の根幹であり基本原則たる憲法に明確に反するものとなる結果、自衛隊の保持、その存在自体が当然に許され得ないものとなってしまうわけです。

「自衛隊は軍に非ず」それは、仮にも政府の責任者であれば、当然に、というか最低限弁えていなければならない根本原則だった筈なのですが、、、忘れたか意図してか、当の首相自らがその禁を犯し、あまつさえその補佐を担う官房長官までもが取り繕うどころか真正面から開き直って認めてしまい、結果、「自衛隊は軍である」ものと公認してしまいました。ご丁寧に、一般的な軍の定義そのままの具体的な説明まで付けられて。

どうするんでしょうこれから。これがその原則が撤廃される、すなわち改憲が確実となった上での事ならまだしも、具体的な計画すら出来ておらず、改憲への賛成が多数派になってもいない現時点での話なのですから。むしろ、これで首相並びに現行政府は軍国主義を掲げているものと見做す向きは増えるでしょうし、それに伴って相応の反発と非難が強まるだろう結果、改憲・再軍備推進への賛同は逆に減るだろう可能性は相当に高いものと予想されるところです。少なくとも、数年以内に改憲が成立し、軍の保持が法的に認められる可能性は極めて低いでしょう。そうである以上、いくら直接自衛隊の存在自体を違憲に問う訴訟は成し得ないと言っても、人権絡みの訴訟等で再び自衛隊の違憲性が争われた場合に、本件が影響する事は避けられないだろうし、単なる蒸し返しに留まらず、自衛隊が違憲認定されてしまう事も起こり得るでしょう。控えめに言っても大混乱は必至です。なんて事をしてくれたのか、といって、取り返しは付かないわけですけれども。イスラエルの件にしろ、次から次へと。。。やる気のある無能は最悪、を地で行く惨状には、もうため息も出ません。

それでも、これまでの数々の失態の際の結果と同じく、なんとなくといった感じでなし崩し的に現政府の継続が容認されてしまうのでしょうか。現政府の、およそ後先の影響を全く考慮せず、修正すら効かない独裁的な運営自体は今に始まった話ではありませんが、本件は憲法すなわち法治国家たる日本の秩序そのものに真っ向から反するものであって到底無視し得ない性質の事だし、しかもそれが軍事、戦争に直結し、国民の生命の安全を直接に左右するものなだけに、別にどうでもいいだろう、等と流していい事とはとても思えないのですけれども。それでも、なのでしょうか。そうであれば、その暗鬱たる未来を想像するだに、残念極まりなく思うところなのです。

「わが軍」答弁、問題ない

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3/19/2015

[crime] 京大工学部准教授が電車内での盗撮容疑で逮捕

京大の准教授が電車内での盗撮で逮捕されたそうです。

その詳細は、容疑者が水戸義忠、京都大学工学部の准教授で専門は地殻環境工学。容疑は大阪府の迷惑防止条例違反容疑で、阪急の列車内において、リュックの外ポケットに入れたタブレット型端末(iPad)のカメラで盗撮女性のスカート内を盗撮した、というもの。当然現行犯逮捕につき容疑自体に争う余地はなく、当人もその旨認めているとのこと。

容疑の盗撮自体はありふれた話なのですが、どうにも理解に苦しむ事件です。 報道された本人の弁にもあるように、犯罪行為である事は明白で、常日頃から山程逮捕者も出ており、発覚すればおよそ社会的な面で苛烈な報いを受ける事も分かり切っているのに、それもその大きさから露見もしやすいだろうタブレットを使って犯行に及ぶというのはどういう心理なのかと。

倫理面の破綻はあったとしても、多少なりと露見を恐れる心理があったのであれば取り得ないだろう、稚拙というより不可解な振る舞いに思えるわけです。仮にも技術の専門家のそれとはとても思えません。その見つけて下さい、逮捕して下さいと言わんばかりの手口には、当人には元々破滅願望のようなものがあって、それが何がしかストレスだとかの影響で発露されてしまったとか、その種の病的な要因の存在を仮定しないと理解は困難に思われるところです。実際の所は定かではありませんが、何にせよ業が深そうですね。

京大准教授を逮捕=スカート内盗撮疑い-大阪府警

3/14/2015

[PC] linuxでGoogle Walletが勝手にインストールされる

最近、およそ3月に入ってからですかね?UbuntuでChromeのLinux版であるところのchromiumを使っていると、突然"Google Wallet"アプリケーションが新規インストールされ、その旨のメッセージがデスクトップに表示される現象が発生したのです。そんな操作も許可もした覚えは全くないのにも関わらず。

これは私の環境でだけ起きたものではなく、Ubuntuのフォーラムでも驚きと不安、不快感、あるいは怒りを訴える意見が噴出していました。"WTF!?"な感じで。

事情は少し調べてみれば直ぐに判明したんですが、これ、Googleが自社サービスにログオンすると、アドオンを勝手にインストールするように変更したからなんだそうです。で、そのそのアドオンがスタートアップにも自分を登録し、常駐するプログラムで、Ubuntuというか私の使っているcairo-dockはスタートアップに新しいアプリケーションが登録されるとそれを自動的に検知して実行するか聞いてくるんですが、それが作動したという事らしいのでした。

しかし質が悪い話です。言うまでもなくGoogle Walletは決済サービスですから、そのアドオンも色々と秘密情報をやり取りする、セキュリティ上一番問題になりやすい類の機能を持ったものには違いなく、それを勝手に仕込まれたとなると、セキュリティやプライバシーに敏感なユーザは無論拒絶的な反応をするだろうし、そうでなくともおよそ全てのユーザが何らかのネガティブな印象を持つ事でしょう。その点ウィルスと何ら変わりないし、一見して区別も困難でしょうし。それに、cairo-dockを使っていればそうやって検出されるから直ぐに気づけますが、そうでなければ気づかない内に仕込まれている事になります。気持ち悪いなんてものではありません。絶対にやってはいけない類の、攻撃と言っても過言ではない暴挙に他ならないと言えるでしょう。この手のGoogleの暴挙は今に始まった話ではありませんけど、その中でも突出したものを感じさせます。何考えてんの。

というわけで最高に不愉快なので、当該スタートアップとアドオンは即削除。具体的には、それぞれ下記をrmします。

<スタートアップ>~/.local/share/applications/chrome-nmmhkkegccagdldgiimedpiccmgmieda-Default.desktop

<アドオン>
~/.config/chromium/Default/Extensions/nmmhkkegccagdldgiimedpiccmgmieda

しかる後に再起動なり再ログオンなり、で元通り。といって、googleがそのサービスのポリシーを修正しない限り、chromiumを使っていれば直ぐに再発しちゃうんでしょうね。元々あまり使ってはいませんけれども、より一層使用を控えるしかない、という事でしょうか。それとも、Ubuntuフォーラムの意見にもあるようにsandboxを作るか。やれやれです。

Google wallet mysteriously appeared on Ubuntu 14.10

しかしwalletって、縮小・廃止コースに乗ったんじゃなかったんでしたっけ、それが何で今更、と疑問にも思うわけです。廃止予定の捨てサービスだからこそ逆にどうとでもなれ的な運営をしている可能性もあるし、本件暴挙もその一環という事なのかもしれませんが。だとしたら迷惑な話です。

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[note] Lenovo製ノートPCに汎用wifiカードを増設

したのです。大した話でもないんですが、ビジネス用のノートPC、型番はThinkpadのL512なんですけれども、これ元々無線LANナシだったんですが、ちょっと有線LANのケーブルが引けない、もしくは頻繁に移動するので抜き差しが面倒な場所で使う必要がありまして。

ただ、本機種に限らずLenovo製ノートPCはBIOSレベルでハードの互換性に制限が掛かっていて、汎用のカードだと認識されない場合があるんです。じゃあどれが使えるの、と疑問に思うところですが、これが適合リスト的なものというか、純正以外で使えるカードの情報はほぼ存在しないのです。各所で販売されているカードにも、判を押したように"HP,Lenovoは対象外"とかなってるんですね。販売側は責任持てないし面倒だから純正を買え、という事なんでしょうけれども、しかし純正は大分割高なのです。本体が30000円程度だったのに、カードだけで2000円とかいうのはちょっと・・・と思うのですよ。というわけで、ケチ臭い話ですが安い汎用カードの中から適合するものを探して増設する事にしたのでした。

探す、と言っても情報が全くと言っていいほど流れていないので、調査も自前でしなければなりません。しかし手当たり次第に購入して試す、というのも本末転倒です。というわけで手元もしくは近隣にあるThinkpad等を調べてみるしかないわけですが、幸いな事に以前修理した知人のThinkpad E530を開けさせて貰える事になったのです。で、いそいそと開けて調べてみたところ、その機体に使われていたのはRealtek社のRTL8188CEチップを使ったカード。RTL8188シリーズは安価な汎用カードによく使われている、社同様あまり評判は良くないものの割と定番のチップで、これはいけるかと。ものは試し、とL512に挿してみたら一発で認識されました。

というわけで同チップのカードを探したわけですが・・・これが意外と難航というか、RTL8188CEは無線LANだけのプレーンなチップなのですが、全く同じものを使ったカードはあまり流通していないようなのでした。まあ今どき無線LANだけのカードっていうのも需要が微妙なのかもしれませんね。で、代わりにチラホラ見かけたのが、RTL8188CEBといってBluetooth3.0とコンボになったチップを使ったカードです。こちらだと$5〜$6位から出回ってるんですね。価格は十分に安いんですが、不安点も。何かというと、L512は本来Bluetoothと無線LANは別々のボードで提供される仕様になっていますから、この種のコンボカードの使用は想定されていない筈で、互換性に懸念があるのです。小売の説明ではやはりLenovoは対象外扱いとされてますし。がまあ、余程厳密なチェックをしていない限り大丈夫だろうし、そこまで厳しくするのも面倒だろうから、いける可能性も高かろう、と思って試しに調達してみたんです。

結果から言えば、問題なく認識されました。ついでにBluetoothも普通に認識されます。下図は取り付け時の様子。アームレスト部下に増設用のmini-pciポートがあって、アンテナ線もちゃんと引かれていました。ちなみに開け方はLenovo公式に分解マニュアルがあるのでそちらを参照の事。背面のネジを6個程外します。注意点という程の事もないのですが、外すべきネジの一つが光学ドライブの下に隠れているので、ドライブも一旦外す必要がある位でしょうか。んで手前側からパキパキっと爪を剥がしつつ持ち上げるように開ければ良いのです。


中央少し右のスロットです。ここにカードを差し込んでネジ止めした後、アンテナ線を差し込むだけでOK。んでカバー等を戻して終わり。なお、L512には無線機能のOn/Offスイッチがあるので、これをOnにするのを忘れずに。


作業自体は数分で終わる程度の至極簡単なものなのですが、準備にとても手間取ってしまいました。こういう事があると、やはり先人というのは有り難く、偉大だとつくづく思うのです。もっとも、そもそもLenovoが嫌がらせをしていなければこんな面倒を被る事も無かったわけですけれども。やれやれです。いやまあ保証やサポートが面倒な事になるし、商売的にも純正品を売り付けたいって気持ちは分かるんですけどね。なんですが、保証期間が過ぎた後とかにはその純正品が入手困難になる事もあるし、一層割高にもなったりするわけで、やはりユーザにとっては害になる面が大半だろうと思うわけです。ともあれ、今回はこれでおしまい。

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[biz law] 東洋ゴム社製免震装置材料の性能評価偽装発覚に

東洋ゴム社製の免震装置用材料について、出荷前の性能評価で偽装がなされ、それに伴い当該材料を使用した多数の建築物が不正に免震性能評価を認定されていた事が発覚したそうですが。同社の発表によれば、期間は少なくとも平成15年から同23年と長期に及び、当該材料を用いた免震装置の出荷台数は判明した分だけで2052基、建物数は55棟にも上るそうです。普通に大惨事ですね。

具体的な偽装の内容は、同材料が当該認定を受けるにあたり、本来許容される変形度の誤差上限値10%に対し、実際は50%を超える酷い不良品が発生していたところ、この分の計測値を一人の評価担当者が許容値内に入るよう改竄していた、とのこと。で、その担当者が異動になった後の計測で本来の計測値が出るようになり、遡って原因等の確認を行ったところ発覚した、といういかにもありがちな経緯なんだそうです。

そういう同社の発表だけを鵜呑みにすれば、主として評価担当者個人の犯行であり、責任も同人にある、という結論が導かれかねないわけですが。。。不自然極まりなく思われるところです。というのも、基本、評価担当者個人にそんな偽装を単独で行うメリットなんて無い、というかむしろ本来は改竄なんて評価担当の職務からして懲戒免職ものだし、本来の評価に加えて作業も心労も増える、やるだけ損な行為なのですから。余程の理由が無ければまず実行されないでしょうし、そんな理由が課長代理すなわち一平社員に過ぎない評価担当個人にあったとはとても考えられません。で、そういう理由がある、すなわち個々の製品の評価の良し悪しや性能認定の可否に著しい利害を持つのは、評価担当ではなく、営業・開発・生産・経営のどれかか全てか、いずれにしろ事業部門の側なのであって。そちら側が評価担当に圧力を掛けて改竄させる分には理由は十分だし、人事権がある以上、実行も容易でしょう。となれば、本件は評価担当の単独犯とは到底考えられず、組織ぐるみの犯行を疑わざるを得ないものと言えるでしょう。異動で発覚した、という点には若干違和感を感じないではありませんが、共犯たる組織の範囲が割と限定的だったと考えるべきでしょうか。

何にせよ、本件の責任は会社に帰せられるのですから、その浅はかな、あるいは甘い組織運営の報いとして、これから同社にはそれ相応の報いがあるわけです。既に当該製品は免震認定を外されました。これに伴い、既存の物件にはその建築確認に瑕疵が存在し、また建築基準法にも違反する事になりますから、行政からは早急な改善が求められ、同時に所有者からは損害賠償並びに他社製品への交換が求められるでしょう。そして、その交換等の工事に際しては、相当期間に渡る居住者等の退去も必要になるでしょうから、その費用等も積み重なります。その総額は幾らか、具体的な金額は不明ですが、件数からして少額とは到底言えないでしょうし、建物全体ならともかく、たかが一部品程度の売上では全く釣り合わない多額に上るだろう事にも疑いの余地はないでしょう。事業、また会社自体への信用も失うし、普通なら事業部門自体が取り潰しになりそうな話ではあるのですが、さて東洋ゴム社はどう対応するんでしょうね。以前同社がやらかした断熱パネルの時と同じ感じで、社長が交代するだけで終わりにするんでしょうか。それともそれすらせず、このまま件の評価担当社員に全てを被せてしらばっくれるんでしょうか。東日本震災からこっち、日本社会はとりわけ地震対策には敏感な事もありますし、よりにもよってそこで致命的な類の偽装を働いた同社にはより厳しい反応がありそうですが、さて。

そういえば、同社は伊プロサッカーチームの胸ロゴスポンサーにもなるんでしたっけ。同社については、思う存分恥を晒せばいい、と思うものの、犯罪者の広告塔になるチームにはいい迷惑でしょう。海外ではあまり関係ないのかもしれませんけれども。

東洋ゴムの建物免震ゴム、性能不足55棟 データ偽装も

その後数日。対象の建築物が未だに公表されません。五月雨式に、建築中のものや公共の、比較的公表しやすく、かつ公表しないデメリットの方が大きいような類のもののみがポツポツと散発的に公表されるのみです。マンションやビルの使用者、は流石に知らされてるんでしょうけど、それ以外の賃借人や第三者的な利用者にはとても不安だろうし、分かっていない筈もありませんから、さっさと公表すべき話な筈なんですが。

商談が壊れたり、保障等で大変な影響が出るだろうし、デベロッパーによっては業績面への打撃が洒落にならない事になりかねないので、それを抑えるべく現段階での公表は避け、できれば実際にはまず問題ないとかそういうお墨付きが出てからにしたいとかいう思惑はありそうですが・・・そんな事が可能なら、東洋ゴム社がとっくにその旨発表していたでしょうから無駄だと思うのですけれども。期末だからというのもあるんでしょうし、免震機構完備というのはおよそ建物の目玉といってもいい重要な要素ですから、まず重大な瑕疵にあたるし、色々商談がご破産になったり契約取り消しになったり、評価額が下がったり、大変な事になるのは分かるのですが、違法建築物には違いないのですから、速やかに認めて後処理に動くべきだろうと。 困ったものです。

3/10/2015

[IT biz] ゴミにしか見えないApple watchはそれでも売れるのか

2015年初頭とされた当初の予定から遅れに遅れ、ようやく発売日が確定したiwatchことApple watchですが。。。注目された価格及びバッテリー駆動時間は、いずれも大多数を失望させる残念なものでした。いやまあ予想通りではあるんですけどね。延期した分改善があるかも、といくらかは期待もあったわけですが、完全に裏切ってくれました。というかむしろ悪化してます。

具体的には、価格は$300を軽く上回り、バッテリー時間は標準ですら18時間と一日も持たないとのこと。元々発表済みだった、通信をiphone等のiOSデバイス経由で行う点も変わりなし。健康管理関連もセンサの低精度から高機能なものは取り下げ。さらに本来主要機能となる筈だったApple Payも普及していない、とりわけ日本等多くの国で導入すらされていない現時点では、単体では単なる時計としてしか機能せず、さりとてそれ以外の機能についても、それが機能する状況すなわちiPhone等を持っているのであれば、あえて著しく操作性の低いwatchを使わずともそちらを使えばいいものばかりで、率直に言って機能的にはゴミと評価する他ないでしょう。

勿論、所謂アップル信者と揶揄されるような向きにとってはファッションアイテムとしての価値だけは十分にあるのでしょう。100万超えのモデルなんかそういう需要向けなんでしょうしね。けれども、そうでなければ惹かれないだろう程度にはデザインにも見るべきものは無いように思われるところです。やっぱりビスケットっぽい野暮ったさというか。それに、この点で競合する高級時計との比較で言えば、せいぜい数年程度の短い耐用年数からしてある種使い捨てに近い電子デバイスには、いくら貴金属を使っていようとも、その種の貴重品的な価値は限定される筈なわけで。同レベルの値付けがすんなり受け入れられると考えるのはあまりに楽観が過ぎると言うべきでしょう。

改めて製品としての評価を云々するまでもなく、酷すぎるんじゃないでしょうか。ここまで酷いと、逆にどれ位売れるのか興味が湧きます。基本的に金が有り余っていて糸目を付けない人か、もしくはアップル製品なら何でもいい礼賛者、でなければiPhone連動等の制約を知らないとか色々勘違いした人位しか買わないでしょうけれども、それがどれ位いるのか、一種の社会実験、マーケット調査として見る事も可能でしょうから。

同時に発表されたMacbookのUSB-Cコネクタ導入とそれに伴う従来型ポートの全廃止も、本件同様にどれ位受け入れられるのか気になるところです。流石にこっちはあまりに不便だとか使用過多等によるポートの劣化に伴うクレームだとかが殺到しすぎて早々にマルチポート化もしくは旧型ポートの復活が求められるだろうとは思いますけど。薄型にこだわるコンセプトはわからないでもないんですが、キーボードの如何にも打ちにくそうなペラペラ感にしろ、PCはあくまで一義的には道具だと考える私としては、幾ら何でもユーザビリティを犠牲にし過ぎだと思うのです。多かれ少なかれ、実際にPCとして使用する向きならばそう感じる事でしょう。

というわけで、いかにも傲慢に過ぎて、普通なら消費者からそっぽを向かれて終わる愚策に思われる今回のApple新製品群の仕様ですけれども。先日遂にスマホのシェアもsamsungから奪還し、売上・時価総額共に空前の規模に達して我が世を謳歌するAppleの事ですから、その圧倒的なブランドの影響力をもって無理を通してしまうのか、それとも普通に拒絶を食らって躓くのか。どうなっても別に問題もないんですけど、さて。

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