5/11/2015

[biz] 粉飾の東芝、未だ不明の内容を巡って膨れ上がる疑念

周知の通り、東芝で大規模な「不適切な会計処理」が発覚し、その子会社も含むとされる範囲の広さ、また複数年度に渡る期間の長さ等により調査に相当の時間が必要として2015年3月期決算の報告が出来ず、これに伴って無配にもなって大混乱中な件ですけれども。

これ、調査に時間がかかるのは仕方ないとして、問題が発覚してから一ヶ月以上経とうというのに未だに概要すら発表されないというのはどういう事なのでしょう。「不適切な会計処理」、というのはぶっちゃけ粉飾してましたという事なわけで、周囲に著しい影響を与える事は無論、程度によっては会社の存続に関わり得る重大事案なのだから、ステークホルダーは多かれ少なかれ誰しもがその程度を早急に把握する必要がある筈なのですが、第三者による調査だとか色々ヤバげなアクションが聞こえてくるばかりで、肝心な粉飾自体の具体的な内容については全く発せられません。普通はブチ切れるでしょうこれ。高齢の個人株主なんかは心労が酷い事になってそうです。南無。

公式の発表がそんなのだから、外野としては殆ど当てずっぽうな感じながら推測するしかないわけですが・・・。今出ている情報だけからしても、ネズミ一匹、で終わりそうに無い事だけは確実なように思われるところです。とりわけ、主力中の主力であり、ここ数年の安定した好業績を支えていた筈の電力システム社と社会インフラ社が対象に入っている時点で本件の対象になる売上は数兆にも上り、従って仮に粉飾額が売上のコンマ数%弱程度だったとしても数百億の規模に成り得るのだし、他部門や東芝テック等の子会社にも波及しているとの事ですから、もう一桁上も有り得るものと推測されるわけです。もしそうであれば、ここ数年の利益が吹っ飛びかねない、というか実はそんなもの元々ありません、嘘でした、となる結果、その収益の安定性から得てきたところの同社の高評価が丸ごと反転してしまうわけで、東芝という巨大グループ会社の立ち位置自体が崩壊しかねない酷い話になるのですね。信用もガタ落ちです。そもそも犯罪でもあるし、時を同じくして評価を落としているシャープと比較しても非常に悪質と言えるでしょう。

ただ、これは問題の内容が単なる付け替え程度、すなわちおよそ規模としては最小限と想定されるケースの場合の話です。もしそうではなく、例えば特許庁案件のような炎上プロジェクトで隠蔽されていたのが抑えきれなくなって大噴火したとかいう話だとすると、もっと桁違いに酷い事になってしまうのですが、どうなんでしょう。さっぱりわかりません。こういう疑念が膨らむのも、その辺の情報が全く出されない帰結なのですが、その辺東芝はどう考えてるんでしょうか。全く以って遺憾な事と言わざるを得ません。

考えても結論の出ない話はともかくとして。この規模の粉飾が事実であった場合、その後も大変になります。各事業部門の担当、責任者は無論の事、経営陣も丸ごとクビになって、かつ株主から大規模な損害賠償請求訴訟を起こされるだろうのもほぼ確実でしょう。そこに至るまでにも、内部では悪あがき的な言い逃れとか責任の押し付け合いだとか諸々の内紛も普通に発生するでしょうし、社員の方々も大変だろうなと。一応、単なる会計上の処理に留まるとか、経理周りの責任に限定される可能性も無いではないのかもしれませんが、進行基準における費用の過小見積もりなんて、現場の協力が無ければおそらく無理だろうし、まず無いでしょうから。

そういうあれこれの後々支払う事になる被害の甚大さは、粉飾で得られる利益では全く割に合わないものだと、少しでも考えれば分かりそうなものなのですけれども、こうして表面化した以上はもう取り返しは付きませんし、元より自業自得な話、この上は潔く罪を認め、速やかに賠償なり後始末が付けられるよう願う次第です。その前に、まずは早いところ内容を明らかにしてもらわなければならないんですけれども。本当にどうなってるんでしょう。

東芝、全上場子会社の決算発表延期 不適切会計問題で

さらに舐め切った態度が続く事数日。ようやく現時点で判明している分、すなわちインフラ部門の直近3年分の粉飾額が公表されました。500億だそうです。部門売上高の1%強。

[続き記事 [biz] 東芝の粉飾、インフラ部門のみ公表最低500億]

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