5/29/2015

[biz law] 北越紀州製紙子会社で15年24億超の横領発覚

北越紀州製紙の子会社で多額の横領が発覚したそうです。

容疑者は、北越紀州製紙の不動産関連子会社である北越トレイディングの経理担当部長。正確には懲戒解雇されていますから元部長ですけれども、虚偽の手形を振り出して換金し着服していたそうです。この種の横領、それ自体は昨今では取り立てて珍しいわけでもありませんが、本件はその期間と額が凄いのです。聞けば実に15年、総額24億超にもなるんだとか。

北越紀州曰く、長年同一業務担当でチェックが働かなかった、との言い訳をしているそうですが・・・。いくら不動産関連の事業はスパンが長く、かつ子会社の決済権限者の犯行につき発覚しにくい、と言っても、無理がありはしませんかね。子会社だから本体とは隔離されていた面はあるにしても、北越は紀州を2011年に吸収合併していて、少なくともその際にはグループ全社にそれなりの監査が入っていた筈なのですし。一般的に言って、その部長の権限がどのようなものであれ、一管理職程度が単独で隠し果せる額ではないと思うんですが。怪しすぎます。

しかもその目的が遊興費等の専ら費消するだけのもので、自転車操業ですら無く、従って実体的には何ら誤魔化せる要素が無かったというのですから尚更です。仮に監査の類いが形式的なものだったにしても、本件の手形周りの操作は全く帳簿上に残らないわけでは当然なく、物品の購入にせよ、下請の依頼にせよ、何らかの取引を仮装して振り出された事になっていた筈。その全てが一切、実際の発注も検収手続きもされずに成し得る仕組みだった、という事なのでしょうか。それともその確認等も全てこの部長が単独で担当していたというのでしょうか。経理部長が?仮にそうだとして、棚卸等はどうやって誤魔化したのか。部下や発注等の各業務の担当は居なかったのか、もし居たなら、それら担当者の全てが気付かない、等という事が有り得るのでしょうか。

結局のところ、この規模の仮装取引が、何がどうなっていればこんな長期間見過ごされ得るのか、全く以って不可解と言わざるを得ないのです。一体どういう事なんでしょうね?

北越紀州製紙 子会社元幹部が24億円余着服