5/14/2015

[biz] 赤字2223億で資本消滅、錯乱するシャープ

進退窮まりつつあるシャープの2015年3月期決算が発表されました。2223億の赤字だそうです。よくもこんなに毎年のように赤字を出せるものだと逆に感心してしまいもするわけですが、それはともかく。

周知の通り前期時点で既に累積で欠損が発生していましたから、これが丸々上乗せされる結果、2300億程度の債務超過という事になります。予定ではみずほとMUFJが2000億出資し、さらに減資が総会で承認されれば1200億程が加わりますから、差し引き1100億程残る計算になります。

で、来期の予想は公表されていませんが、今期の損失の主要因であるところの液晶と太陽光発電パネル等の状況が改善する見込みは今の所ありませんし、追加発表された3500人分のリストラ費用等も発生しますから恐らくは赤字で、一部では1000億程度になるものと予想されています。

という事は、来期の損失も合わせると、今回減資と追加出資で拠出される資金は殆ど相殺されて消滅し、債務は消えるものの、同時に資本も無くなる計算になってしまうわけです。勿論設備投資に回る資金なんてありません。従って事業は全く強化されないどころか立て直しすらされず、おそらくは衰退するのみです。シャープの事業はどれも設備投資が切れると競争力が著しく失われるものばかりですから殆ど致命的でしょう。もっともJDIも赤字で共倒れっぽいし、相対的な競争力はさほど変わりないのかもしれませんが、にしてもそれでいいのか、その先はどうするつもりなのかと、見ているこちらの方が困惑させられてしまうわけです。といって、手を打ちたくともこれ以上はもう鼻血も出ないという事なのかもしれませんけれども。

大体、あれだけ削減したここからさらに国内3500国外1500計5000人リストラって。。。この期に及んでそんな人員に余剰がある筈もないし、希望退職だからコアな人材は軒並み流出必至で開発も生産も崩壊する、というか既に崩壊してるでしょう。どうせ生産しても売れないからそれでもいいって事なんでしょうか。だとしたらもう時間の問題、それも長くなかろうと思わざるを得ないわけですが、さて。何処が何を引き取るのかとか、後始末の方を気にしたほうがいいのかもしれませんね。

そういえば、社内の英語公用語化ってその後どうなったんでしょうか。確か研究開発部門が対象でしたっけ。きっとそれで愛想が尽きて去った人もいるんでしょう。今となっては最早どうでもいい話ではありますけれども、あの頃もっと真面目にやってれば少しは違ったのかもね、等とふと思ったりしたのです。

しかし減資の計画を見直した、と言うから見てみれば、非大会社化は非難が強いから1億はやめて5億にするって、この期に及んでそんなどうでもいい体面を気にするというのには唖然としてしまいました。資本金が無くなって事業継続が困難になる事には変わりないし、追加出資額からすれば過半数をみずほとMUFJに握られて、実質的にシャープの決定権は失われ、今後は身売りも切り売りも銀行の思うがまま。その上、当初主目的とした筈の節税効果も失われる、というのですから、無意味というより自爆というか、実質的には銀行に身売りしてそのまま清算手続きに入ったも同然に見えて意味不明なわけなのですが、一体彼らは何がしたかったのでしょうか。多分に個々の人や部門、組織等が夫々に錯乱しつつ場当たり的に保身を図っているだけで組織としての合理的な活動自体が存在しないのかもしれませんが、何にせよ無残なものです。

シャープ最終赤字2223億円 15年3月期、設備の減損かさむ
シャープ、資本金5億円に大幅減資 主力行には優先株2000億円発行

[関連記事 [biz] 追い詰められたシャープ、狂気の99%超減資]