12/29/2015

[biz] 迷走の果てに消滅必至のシャープ、残滓の行方

東芝が派手に炎上し、その延焼防止等の対処に追われる一方で、既に全焼確実で諦められた感のあるシャープですけれども。揉めに揉めた甲斐があったというか、かろうじて2015年中の消滅は免れました。もっともそれを喜ぶ人は殆どいないでしょうけれども、それなりの規模でもって存在している以上は、まだしばらくは引き続きやきもきし、或いは迷惑を被る向きが多々あるわけで、誠にご愁傷さまと言う他ないのです。第三者的には関わらないのが良いだろうと思うんですけれども、当事者の立場では縁を切りたくともままならないものなのでしょう。

既に資本は底を突き、背水で望んだ筈の今期にも当然のように大赤字を出し、実質的に債務超過に陥ったも同然のシャープに復活や再生を云々する声は既に無く、もはやどのように消滅させるか、すなわち残余資産・事業を何処がどのような形で引き受け、債務を債権者間でどう分担して損失処理するかといった論点のみが取り沙汰されているのが現状なのです。

具体的な焦点になっているのは、液晶事業と太陽光パネル事業、次いでCMOSセンサ等の電子部品事業に、あとコピー機等のMFP事業。液晶事業が売却対象に入っている時点で、もうシャープの存続自体を諦めたも同然なわけで。家電は殆ど話題には上りませんが、死に体のテレビ事業に加え、その他家電も未だにプラズマクラスターを掲げるオカルト商法を展開中なあたりでお察しというか、技術面で特筆すべきものはなく、むしろ詐欺に手を出すデメリットもあるとなれば、そうそう手を出す既存大手もいなかろう、という面もあるだろうし、仕方ない事なのでしょう。

しかし見事に成長見込みのある事業が存在しません。また、他社に無い、もしくは他社より優れた強みのある事業も殆どありません。強いて言えば高精細液晶パネルの一部高級品位でしょうか。ただ、そちらは需要面が微妙で、現在の所廉価品に競争力で劣ってしまっています。その結果が売上見込みの大幅な未達、過剰になった設備投資の減損、それらによる液晶事業の大赤字なわけで、今となっては強みと言って良いのかは微妙な始末。ですが、今更それを言っても仕方有りません。液晶は現在でもシャープの主力事業であり、殆ど唯一の、一定以上の継続的に維持されうる価値を見込んで売れる大規模事業なのですから。他の事業はおよそ全ての面で他社に明らかに劣っているのだし。

液晶事業の売却先の候補は大きく2通り。JDIか海外大手か。多分に政策的な意図が絡んでJDIに押し付ける形になるだろうと見込まれていますし、私もそうだろうなと思います。知財群は今でもそれなりですし、海外への流出は避けたいと考える当局関係者も多いでしょうし。金額や吸収後のリストラ等の条件面でのハードルは相当に高そうですが、シャープ側が折れるまでどれ位揉めるかが問題でしょう。と言っても既に最高に追い込まれている状況ですから、時間の問題でしょうけれども。

その他の事業はぶっちゃけ液晶に比べると。。。相手を選べるかすら微妙だと言わざるを得ません。MFPとCMOSに新規進出したい海外大手グループが手を出すかも、という位でしょうか。それにした所で、当然海外への技術流出という事になりますから、これまた政策的にとても揉めるでしょうね。でも、CANONやSONYが今更買う理由があるかというと怪しいですし、やはり相手は二の次で、売れれば御の字という所ではないでしょうか。そもそも赤字で回復の見込みも無いために解体されるのだから当然と言えば当然なのですが、無残なものです。

そんな感じで。いくら政策配慮が、と言っても所詮シャープは代替の効く一民間企業に過ぎず、JAL等のように絶対に存続させる公の必要はないし、何にせよ解体は進むでしょう。ただ、この種の整理に関してよく言われる話ですが、組織の先行きに見込みが無い、と思われた時点で有力な技術者、とりわけ若手・中堅は見切りを付け、既に去ってしまっているものなわけで。従って液晶を含め、各事業とも開発力・生産力等に従来の実力は既に無く、丸ごと不良債権になりかねない、と懸念する向きも多いでしょう。残っているのは会社にしがみつくしか選択肢が無いような能力の高くない人員が中心のため、労働コストが高く、かつ整理や配置転換にも抵抗が強くなる事が予想されます。そうなる前に価値を下げる事無く譲渡出来れば、と思うところでしょうけれども、しかし先行き見込みがあればそもそも整理の対象にならないのだから、結局の所この種の事業価値の毀損は避け得ないものと言うべきなのでしょう。残念ながら。

ともあれ。個々の事業の価値が十分とは言えず、にも関わらず政策的には過剰なまでに重視され、さらに追い込まれている筈なのに何故か強気で傲慢な姿勢を見せるシャープが、それら内外の条件を観たす売却先、また売却条件を得られるとはとても考えられませんし、銀行をはじめ債権者の妥協が得られるかも現時点では不明とあって、いつまでにどのような形で成されるのか、全く以って不透明です。にもかかわらず、資本と業績の状況からして来年中には大部分が消え去る事だけは確実、というのは中々に奇妙な状態に思われてなりません。

こういう不透明な状況が続き、しかし非情な資本面のタイムリミットによって否応なく処理を迫られれるとなると、大抵は碌な結果にならない事は間違いないし、ある程度の考慮や手当が可能な内に処理されるのが望ましいだろうと思うのですが、そうなりそうな気は全くしませんね。このままシャープは空中分解的に破綻してしまうのでしょうか。第三者としてはケーススタディというか、怖いもの見たさ的な興味も無いわけではありませんが、関係者には洒落にならないでしょうし、困ったものです。

(追記)
そしてまさかの交渉段階で機構切り捨てての鴻海一本化、からの足元見られまくり。どこまで阿呆なのでしょうか。

[続き記事 [biz] シャープ経営陣は最後まで救い難く愚かでした]

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12/25/2015

[biz] 個人向けから撤退する東芝、その行く先もまた暗く

2015年は、少なくとも東芝にとっては悪夢のような年になりました。春先に損失隠しが明るみに出て以来半年以上を過ぎ、年の瀬を迎えた今になっても一向に収拾の目処も立たない東芝。元々の原因にしろ、その後の往生際の悪い対応にしろ、全て自業自得で当然の成り行きという他無いわけですが、それでも、事業の整理についてはようやく一応当面の見通しが立ちつつあるようです。それが東芝自身や利害関係者にとって良い事なのかはともかく。

テレビはじめ家電関連は開発も含め拠点を全て分離し、PCも個人向けは撤退の運びと言われています。一言で言えば、コンシューマ向け製品からは総撤退し、重電等法人向けに特化する方向で落ち着いた、という感じでしょうか。まだ完全に決定というわけではないようですが、家電もPCも酷い赤字だし、既に成長の見込みはおろか回復を期待する事さえ不可能とあっては、客観的に見てほぼ不可避と言ってしまってもいいのかもしれません。

家電は中華系へ。PCは先立って分社化が決定済みの富士通、並びにVAIOとの合併へ向かうものと見られています。その辺の推測に対しては、東芝含め関係各社とも"決定した事実はない"等のお決まりの文句で事実上認めていますし、売却される事業には採算性はさておきそれなりの価値はあって価格次第で普通に売れるでしょうから、後は細かい条件のすり合わせだけで、もう既定路線に乗ったように見えます。個人的には、家電はともかくPCは、赤字事業が寄り集まってもあまり意味はないのではと思う所ではあるのですが、ともあれ、予想通りに事が運べば、既に撤退済みの携帯事業と併せ、コンシューマ向け事業から殆ど総撤退、という事になるわけです。ここ数年東芝はコンシューマ向け事業でリストラを繰り返していましたが、ようやくその完了ですね。結局、再生ではなく単なる切り捨てで終わってしまう様子なのは残念ですが、これも時代の流れによるものなのであって、惜しんでも仕方のない事なのでしょう。

何にせよ、それはもう終わったも同然の話です。今後の問題は、残された事業、すなわち社会インフラ等の電力関連部門とIT関連、あとフラッシュメモリ事業の先行きが色々と怪しい事でしょう。

電力の問題は、言わずと知れた原発事業。先行きが不透明というか、原発事故以降は新規需要が殆ど壊滅し、事実上保守専業になっており、これからも回復の目処は全く立たないわけです。先ごろ発覚したWestinghouseの損失隠しが象徴するように、既に買収時ののれん代の減損処理も不可避だろうと公然と言われる現状にあっては期待しろという方が無理があります。主要ベンダーを務めるもんじゅが引導を渡されつつあるのも相俟って、研究・開発部門や生産設備等は維持に膨大な経費がかかるにも関わらず売上は殆ど無きに等しく、単に損失を垂れ流すだけとあっては、むしろ普通ならどうやってリストラなり清算なりで切り離すか検討すべき状況にあるのはもはや明らかでしょう。むしろ家電やPCより余程深刻に見えるような。

一方のフラッシュメモリはというと、タブレットやスマホ等での需要が概ね頭打ちして市場価格が下落し、同時にここ数年の技術面の進歩の鈍化・停滞によって東芝自身の先行者としての技術・品質面での優位性が殆ど失われた事から、採算は急激に悪化していると言われます。どうあがいても全く採算が取れない、という程ではないでしょうけれども、スマホ等の携帯デバイスに代わる新しい出口は今の所見当たりません。HDDの置き換えを期したSSDも、それが実現する前にPC市場自体が縮小局面に入ってしまい、コスト面の弱みからHDDの置換としての普及には失敗し、元々HDDが利用出来ない携帯デバイスに採用が限定されてしまいました。この辺、シャープの液晶事業の採算が悪化しはじめた頃と似ているように思える点が認められるような。。。だからと言って必ずしも同じ末路を辿るとは言えませんが、その可能性は決して低くはないだろうとも思われるところ、少なくともこれがある限り安泰、と言えるような成長または安定したパフォーマンスを期待し得る事業ではもはやない事だけは間違いなさそうです。

他に残る事業は、お世辞にも順調とは言えないITサービス関連や法人向け電気設備・機器という事になるわけですが、それはいずれもどちらかと言うと競合他社の方が強い、というか東芝の方が新参だったりそもそも枯れた分野だったりして、東芝クラスの規模の企業を主力事業として支えるには現時点では不足と言わざるを得ないものなのであって。

勿論、事業規模の縮小を甘受し、不採算事業を切って余剰人員も廃し、採算を均衡させれば企業グループとしての継続自体は何ら問題なく達成出来るのでしょう。けれども、当然その過程で切り捨てる部分、殊に人員については、数割程度もリストラをするとなれば色々と社会的にも問題となって相応の非難も浴びるだろう事は必至です。今の求心力を失った経営陣に、只でさえ不信に満ちて多分に非協力的でもあるだろう幹部、社員に対し、それ程の措置を実行する事が果たして可能なのか、その辺りから大いに疑義が付いて然るべきところでしょう。

何にせよ、ここ数年の先送り、また不採算隠蔽のツケを払うのが先ですけれども。しかしやはり、ツケを払ったとしてもその後にまともな未来が待っているかも分からない、というのが他人事ながら悲惨ですね。かつてのNECや現在のシャープのように、ただ個々人の保身と責任逃れと切り捨てを繰り返し、組織が衰退するに任せた果てに残念な結末を迎えるのか、それとも過去の犯罪や不誠実な振る舞いを生んだ風土と決別し、組織としての革新を経て社会の信頼を得た上で新たな事業領域へと踏み出し、再起を掴む未来もあるのか、さてどうなることやら。もっとも、責任逃れと開き直り、また無反省に満ちた現状を見る限り、衰退もしくは破滅へとただ流されているようにしか見えないし、期待するだけ無駄なのかもしれない、とも思うわけなのですが、さて。

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12/12/2015

[pol] 傲慢で愚かなTrumpが大統領候補筆頭という現実

米国はどうなってしまうのでしょう。いや、次期大統領選の候補者レースの件なのですけれども。Donald Trumpがついに行ってはいけない所まで行ってしまったっぽいんですが、しかし完全終了したかというと対抗馬がまだ見当たらず先行き不透明、という。全く以ってクレイジーです。

話の前提として、議会の支配権を失い、また国民からの支持も無く、既に死に体の現政権の有り様を見れば、その後継と見做されるだろう民主党の候補にはバックグラウンドにおける著しい不利があり、例年のように双方の候補者個人の評価が同程度であれば共和党候補が勝利するだろう事は疑いようの無いところなのであります。それでも個人に突出した人気があれば話は別なのでしょうが、現時点での有力候補たるHillary ClintonやBernie Sandersらには元々さほど支持が期待されるわけでもなく、それどころかおそらく筆頭だろうHillaryは体力や不祥事を巡って始まる前から色々と危ぶまれる始末。加えてオバマ大統領の後援もマイナスになりかねない、とあっては期待しろという方が無理があるでしょう。

従って、共和党の候補者選定が事実上の大統領選と位置づけられる結果、民主党の候補者数人に対し共和党では各派色物取り混ぜて20人以上の候補者が乱立し、毎日のように各候補者の発言が民主党の候補者はおろか現職の大統領すらも押しのけて各種報道を占拠している状態なわけです。来年以降の米国の政策方針に直結するのだから関心が寄せられるのは当然だし、各候補者は宣伝になるから自重する筈もない、とあって全く歯止めがかからないのは当然と言えば当然の話。とはいえ、現時点では何の決定権も無いのだから迷惑になる向きも多かろうと思うし、第三者的には違和感を感じるとともに、余計な争いの種になっているのを見るにつけ鬱陶しくも感じられる所です。が、おそらくは仕方ない事なのでしょう。

と、そこまではいいのです。問題は、その共和党候補者、信じ難い事にその筆頭であり、従って現時点で次期大統領の可能性が最も高いとされるDonald Trumpの言動が明らかに常軌を逸しており、公的立場に無い者のそれにも関わらず米国の立場に多大な影響を及ぼしているところにあります。

特に移民問題とイスラム原理主義組織への対処について、思想・人種に基づく一律の強制排除を公約に掲げた点などは、明らかに違法性を帯び、かつ非倫理的と見做されるものであって、およそ現代社会において到底受け入れられないだろう酷いものでした。仮に倫理面には目を瞑るとしても、そもそも実現可能性は無きに等しく、現実的ですらありません。不法入国者全員の強制送還やイスラム教徒の入国禁止など、どのような手段を持って可能とするのか、想像すら困難です。過去の宗教迫害よろしく、コーランを使って踏み絵のような事でもするのでしょうか。コーランを焼いた、と噂が流れるだけで暴動が起き、風刺絵を公表しただけで暗殺が呼びかけられる現実を前にしてのそのような措置を主張するとは、とても正気とは思えません。

にも関わらず、その正気ではない政策が、来年以降に米国の国策として実行される事が公約され、既定路線に乗りつつあるわけです。しかしその元は現時点では一般人の発言につき、公的立場にあれば当然に課されるべき抑制すらままならず、結果国際的な対立に発展し、ミクロな迫害・排斥を誘引し、各企業や政府、個人が火消しや自衛に追われる、という。暴動やテロの発生も当然に懸念されます。洒落になりません。

元々、Trump氏はその短慮かつ傲慢な性格で知られた人物です。何処までも自己中心的なその振る舞いに、他者への理解や調和、融和といったリベラルな要素は全くなく、おそらくは概念自体が存在しないのだろうと皮肉られてきました。控えめに言っても、自由主義の多民族国家の指導者にふさわしいとは思われない類いの精神を持ち、大統領選の有力候補になった現状を想像していた人はおそらく殆どいなかっただろう人物です。加えて元々政治的な素養は皆無、どころか知識人ですらありません。軍人でもない。富豪であり、有名人ではあるものの、それだけの、単なる一般人であって、法や政治、およそ公的な立場に求められる知識、見識、経験は一般人のそれと何ら変わりない素人です。諸々の偏見も甚だしく、その傲慢な性格と相俟って、明らかに誤った認識とそれに基づく行動を周囲の協力を得て修正もしくは抑制する事すら困難。その、素人相応の振る舞いを続けるだけの彼が、現時点で米国の次期大統領の最有力候補である、という事実が、今でも理解出来ない、という人は少なくないでしょう。

もっとも、そのような人物とその振る舞いは当然にごくありふれたものであり、それだけにその狭い見識や、衝動的で短慮な言動は一般人にも理解しやすく、従って一般に共感を得やすい面はあって、それによって他の候補と差別化され、支持を得ている面もあるのでしょう。しかしそのような人物は、ごく小さなコミュニティですら不和と衝突をもたらし、時に破壊してしまう事も珍しいものではありません。それがよりにもよって米国の最高意思決定機関に就き、同様の独善的かつ自己中心的で明らさまに排他的な性格に従ってその権限を振りかざし、如何に破滅的だろうと実行出来てしまう、という事がどのような帰結をもたらすのか。その想像するだけでも悲惨なというか、非現実的さに目眩がするのです。対外的には無論、米国内でも暴力的な衝突の頻発すら有り得るでしょう。

ただ、ここ最近の発言は明らかにタブーの域に踏み込んでいますから、流石に容認出来ないとして致命的に支持が離れる可能性もあるのかもしれません。しかし、Ted Cruzら他の共和党候補の状況を見るに、まだまだこれで終わるとは思えないのがまた。Jeb Bushは言うに及ばずですし。とはいえ候補者レースはまだまだ続きます。従ってTrumpの舌禍も、さらに過激の度合いを強めつつ続くでしょう。次は何か。お決まりの人種差別でしょうか。ロシアや中国への宣戦布告でしょうか。それとも核攻撃の脅迫あるいは行使でしょうか。気に入らないものは排除するのみ、という点で一貫するTrumpならば、きっと安易にそれを口にし、その時に実行が可能ならばそうしてしまうのでしょう。第三者としては、それが、彼が実際に権力を得た後の事、すなわち現実のものとなる事のないよう願うばかりです。もう手遅れかもしれませんが。さて。

11/24/2015

[IT] DELL製PCにSuperfish類似のセキュリティ無効化の仕込みが発覚

DELLよお前もか、と落胆した人は多かろうと思うわけです。

DELL製の複数のPC製品に、以前大惨事を引き起こしたLenovoのSuperfishと同様のバックドアが仕込まれていた事が発覚したそうです。早速Superfish2.0とか呼ぶ向きもチラホラ。

具体的には、SSL等の秘匿化に用いられる証明書の中にeDellRootという名前のルート証明書を登録し、これで署名された通信を全て信頼する設定にする一方、本来発行者側のみが保持するはずの秘密鍵もローカルに保持し、これによって任意の通信を信頼するものに変換出来る構造にしていた、というものです。要するにセキュリティが完全に無効化されて外部から弄り放題。証明書を入れ替えもしくは発行して、さらに悪用を容易にする事も可能とされています。最悪ですね。

対象は調査中との事ですが、Inspiron5000、XPS15、XPS13で既に確認されているようです。

これは勿論、DELLが故意で仕込んだものです。目的は、サポートを充実させるため、としていて、実際これによって遠隔操作等でサポートを行う事も可能ではあるのですが、そのためだけに入れるというには目的に比して色んな意味でリスクが大きすぎますし、建前な事は明白ですね。NSA等の監視目的か、商業目的か、いずれにせよ何らかの情報すなわち、個人情報や機密の取得を目的にしていただろう事は容易に想像されるところであって、少なくとも大多数は既にそのように認識しているわけです。万が一そのような意図が無かったとしても、その種の目的に悪用可能な事が明らかな時点で大差無いわけですけれども。

一応、現時点ではSuperfishで見られたような広告等への悪用は確認されていないとの事なのですが、気休めにもなりません。折角諸々の個人情報窃取の露見を通じてLenovoが信用を決定的に失って凋落し、相対的にDELLを含む競合メーカーにシェアが移りつつあった所に発覚した本件、まさかの自殺行為と言えるわけですが、さてユーザーはどう受け止めるのでしょうか。自分で自分の首を締めるのは勝手ではあるのですが、ユーザーに取っては困った話なのです。

個人的には、LinuxがメインOSかつ自作が大半につき実際の所影響はないのですけれども、それでも古くて対象外ながらDELL製のPCも保有してはいますし、気分はよろしくありませんね。別に信じていたわけではありませんが、それでもLenovoよりは信頼出来るだろうと思っていました。誠に残念です。

Two Dell laptop models are shipping with a Superfish-style certificate hack

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11/22/2015

[note] Lenovo製PCのBIOS更新で無線LANカード不適合エラーにより起動不能に

瑣末な話で恐縮なのですが。 以前Wifiカードを増設したノートPCで、それ絡みのちょっとしたトラブルがあったのでメモ。

何かというと、当該PCは5年位前に購入したThinkpad L512なのですけれども、時折フリーズするようになったのです。で、その対策をあれこれ試行している中で、LenovoからリリースされているBIOSのバージョンが結構上がっていた事に気づき、電源管理面等で安定性が上がる事を期待して試しに適用してみたところ、再起動時に増設したWifiカードがホワイトリストに載ってない、としてBIOS起動時にエラーが出て立ち上がらなくなってしまったのです。うぎゃー。

BIOSのバージョンは、元が1.35で、新しく入れたのは1.39でした。当該WifiカードはRTL8188CEBチップ を使ったもので、同じThinkpadシリーズのE530ではRTL8188CEが純正品として搭載されている事もあって互換性は十分な筈だったのですが、ここ2,3年の間に各機種それぞれ厳密に純正品でなければ動かせないようにする措置が採られてしまったようです。なんて余計な事を。

この種の制限はユーザの自由を奪うものですし、故障等の際、純正品が入手困難な場合には修理が困難になる等、致命的な問題を起こしかねないのですから、不具合の防止のため、現実的に問題がある場合に限って例外的に許容されるべきものな筈です。しかるに、今回の場合は、別機種とはいえ同ブランド内の類似製品で正式採用されている純正品と同系統のチップにつき、少なくとも互換性の面で不具合など起こりようがないケースなわけで、これは正当化し得ないように思われます。誠に遺憾な限り。

メーカー各社揃ってPC事業が不振ないし存亡の危機にある昨今、利益率の高い純正品の販売ルートを保護し、互換品を潰すべくこの種の制約を入れたがる、とそういう事情は嫌というほどわかるのですけれども、これは明らかにやりすぎです。あくまで建前に合致する範囲ですべきものですね。修理や整備も自由に出来ない、或いは過分に費用がかかる、という事は、長期運用上のデメリットが大きいという事に他なりません。そのような認識が広まれば、法人等の純正品を買うようなユーザはなおさら購入を避けるようになるでしょう。それは本末転倒というものです。ユーザに喧嘩を売るというか、大多数のユーザから反感を買うだろうやり方も極めて不適切に思われます。スパイウェアの連発といい、Lenovoの事業方針自体に不信感と疑問を抱かざるを得ないのです。今更な気もしますけれど。

・・・と、それなり以上に憤りつつ、 起動しないものは仕方がないので、一旦Wifiカードを外して起動し、念の為準備しておいた元バージョンのBIOSイメージを使ってBIOSを元に戻し、しかる後にカードを挿し直して復旧したのでした。勿論元通りにはなったのですけれども、酷い徒労感が残りました。BIOSの更新には慎重の上にも慎重であるべき、と改めて思い知った次第なのです。当たり前の話ですけれどもね。とほほ。

[関連記事 [note] Lenovo製ノートPCに汎用wifiカードを増設]

11/18/2015

[note] Win10メジャーアップデートの適用とCortanaの無効化

先日リリースされたWindows10のメジャーアップデート[1511 10586]を入れてみました。問題が無いわけが無いだろう事は分かり切っているのですけれども、サブのテスト用PCで実験がてらということで。

で。やってみればわかるんですがこれ、アップデートと銘打たれてはいるものの、その実はOSのアップグレードと同等のものなのです。データの取得には一部ファイルの取得とはとても思えない位に時間がかかるし、実行時には再起動後にアップグレードの際と同じ円環のプロセス進行画面が表示され、ファイルのコピーやら設定やら、これまたアップグレードの時と同様に一時間単位の時間がかかります。当然その間は作業不能になるので、実行のタイミングには要注意。気軽に実行したら業務が止まった、とか洒落になりませんから。

とはいえ、基本構成の大部分は同じなため、windows7,8.1からのアップグレードの時のような互換性欠如による不具合は基本起こらない筈なわけで、さほど身構える必要はないものとも思われるところですけれども。実際、私の場合は時間はかかったものの、それ以外には特に問題なく完了しました。

しかしそんなもの成功して当たり前の話なのであって。windows10のコンセプトからすれば、当然色々と罠が仕込まれているだろう事は明らかだし、面倒なのはここからです。何はともあれ真っ先にすべきは当然にプライバシー関連の確認、という事で色々見てみたら案の定、今回の更新の目玉であるところの公式スパイウェアCortanaに関連する項目や通知関連の設定がリセットされ、プライバシー侵害機能が復活してしまっていました。という事で面倒に思いつつ設定項目を全て再確認し、Onに戻っていた項目を全てOFFに。後、以前対処した外付けモニタタイムアウト設定の項目が非表示に戻っていたので再度レジストリを弄って復活。さらに、タイルの色が彩度の高い下品な青に変更になっていたのでこれも変更。これでCortana以外は概ね元通りです。

で、そのCortanaですけれども、私は使わないので即無効にしてしまいました。当然ながらMicrosoftが基本機能と称して使用を強制するアプリにつき設定画面上には項目が存在しませんので、実行ファイルのフォルダをリネームして起動できないようにする方法で強制的に。手順は以下。

リネームに際しての注意点として、フォルダ内のプログラムが実行されているとフォルダのリネームが出来ませんので、その前にCortanaを止めておく必要があります。が、 Cortana等の基本的なプロセスは強制終了させても直ぐに勝手に復活してしまうので、復活するまでの僅かな時間の間にリネームをする必要があります。面倒ですが、これ以上簡単な方法は無いようなので仕方ない。

<Cortana無効化手順>

0. タスクバー上の検索ウィンドウを非表示に
1. タスクマネージャ起動、併せて管理者権限付でコマンドプロンプトも起動
2. コマンドプロンプト上でシステムアプリフォルダ(C:\Windows\SystemApps等)へ移動
3. フォルダ名にCortanaが含まれるフォルダをリネームするコマンドを準備(まだ実行はしない、というか実行してもリネームに失敗する)
 (リネームコマンド例)
 >ren Microsoft.Windows.Cortana_cw5n1h2txyewy Microsoft.Windows.Cortana_cw5n1h2txyewy.bak
4.タスクマネージャ上、[詳細]タブからSearchUI.exeを選択し、右クリックメニューから[タスクの終了]で終了させる。その直後に3.で準備しておいたコマンドを実行してリネーム。これが成功すればOK

以上です。なお、Edgeも同様にタスクマネージャ上から終了させ、復活する迄の間にCortanaと同じくシステムアプリフォルダ内のEdgeが名前に含まれるフォルダをリネームすれば無効に出来ます。ご参考まで。

しかし面倒極まりない。結局、私の場合はアップグレードの恩恵は何一つとしてなく、むしろ元に戻すためだけにこれだけ手間をかけさせられた事になるわけで、極めて遺憾に思う次第です。毎度こんな手間がかかるというのなら、win8.1に戻した方が良いだろうかとも思うわけですが、さて。なお、当初アップグレードした2台の内、win7proから上げた分は既に元に戻しています。事前に取っておいたパーティションイメージで上書きして。なので、残る1台だけが今回の作業対象だったわけですが、それでもこれだけ面倒だとね。1台位なら、と残すべきか、戻してスッキリすべきか。うーん。今回は一回目なので、とりあえず様子を見る事にします。というわけで、今回はこれでおしまい。

[関連記事 [note] Win10アップグレードという名の地雷を踏み抜いてみました]
[関連記事 [note] Win10のモニタOFFタイムアウト設定を無視する現象の修正方法]

2016年8月にリリースされたAnniversary Update(1607)では、Cortanaの仕様が変更されています。これに伴い、上記手順のうち、4.で停止させるプログラムは、[詳細]中のSearchUI.exeではなく、[プロセス]中のCortanaアプリになります。

[続き記事 [note] Win10のAnniversary Update(1607)の適用とバックグラウンドタスク等の無効化]

11/17/2015

[pol] 泥沼と無謀、暗鬱たるテロ社会は一夜にして成らず

イスラム原理主義テロとの紛争、フランスはもう泥沼ですね。いや、フランスだけではなく、EU圏やロシアも含め、ユーラシア大陸北側の大半がそうなんでしょうけれど。

といって全体を一纏めにすると広すぎて切りがないし、以下ではフランスについての話をしようと思います。まず話の背景として、フランスに限って言えば、元より過去の寛容な移民政策からイスラム教徒が社会の一部となっていたため、Islamic States等のイスラム原理主義の影響が及びやすい環境にあったところ、安易に挑発・対立に踏み込んだ時点でこのような帰結に陥るだろう事は目に見えていました。

直接的には、イスラム教のタブーを軽んじ、挑発同然の安易な批判行為を繰り返し、その報復を受けた雑誌Charlie Hebdoの襲撃事件、その後の対応が問題だったと言えそうです。過去のイスラム原理主義テロ組織との紛争の例を見れば、この種のテロ行為を避ける方法は2通りしか存在しません。すなわち、物理的に隔離するか、実力行為によって完全に殲滅するかです。それ以外の、今回フランスが採ったような容疑者の摘発強化や散発的で不徹底な空爆等の対応では、全く不十分か、効果が得られたとしても一時的なものに留まり、むしろ事態の深刻化を招く事まで含め、およそ全ての帰結が必然だったと言えるでしょう。

この種の、思想信条に基づくテロ組織との敵対関係は、一度生じたが最後、その精神性の故に殆ど永続的に対立し続ける事になるものです。和解云々以前にそもそも交渉の余地もなく、妥協も殆ど期待出来ず、信仰に基づくが故に忘れられる事もない。そのような相手との紛争にあっては、言葉は文字通り無力であり、非難や批判は、対立を生み、あるいは深めはしても、解消は無論、緩和すらも期待出来ないのです。そのような相手に対し、盲目的に対話を求め、隔離や徹底的な殲滅を忌避するに及ぶに至っては、言論はむしろ原因や障害としての面ばかりを帯びる事になるでしょう。

Charlie Hebdoの事件は痛ましいものではありますが、事件以前から度々掲載を繰り返したところの、愚劣な侮辱としか言いようのない表現の数々がその原因になった事は疑いようのない事実であり、それによる挑発、引き起こされたイスラム教徒の敵対感情が現在の環境、今回の事件発生の主要因であった事も否定し難く思われるところです。現代的な自由主義を過信し、前時代的な信仰心を甘く見た自業自得と見る事も可能でしょう。その後の政府の場当たり的な対応にも、事態を甘く捉えていたように見受けられるあたり、言論を全てに優先し、時として現実的な対応を軽んじる国民性の表れのようにも見える気がしなくもありません。あの時に、安易に全面的な連帯を表明してイスラム教徒全体との敵対に踏み出すのではなく、侮辱行為やそれを行った者と一定の距離を置いていれば多少なりと状況は変化したのでしょうか。いずれにせよ、件の事件の時点では個別限定的だった攻撃対象が無差別に移行し、しかもそれが成功してしまった以上、もう取り返しはつかないわけですけれども。

では、フランスは、EU各国は、これからどうなるのか。どうするのか。元々あった2つの選択肢の内、隔離はもはや不可能です。そうすべきとの右翼的な主張は当然のように湧き上がってはいるようですが、既に大量の難民受入れを実行してしまっているし、ここで国境を閉鎖するという事は、難民の大半を殺す事と同義です。それは実質的にホロコーストの再来とも成り得る措置であって、少数ならまだしも、規模が規模だけに躊躇いも大きいでしょうから、そのような中途半端な姿勢で止められるものとは到底思えません。当然、それに伴うテロ組織及び思想の浸透も相当な規模で継続されるでしょう。

一方、もうひとつの選択肢であったところの、Islamic Stateの殲滅はというと、これも怪しいわけです。ISは既に社会に潜伏するテロ組織ではなく、広大な領土とそれに見合うだけの軍事力を備えた国家と呼ぶに不足の無いものになっています。その殲滅には、現在行っているような空爆や遠隔からの拠点攻撃では全く足りない事は明らかであって、数十万人規模の地上戦力の投入によって面制圧的に掃討し、かつ相当期間に渡って占拠もする必要があるでしょう。加えてAssad政権とは対立している事情を考慮すれば、事実上完全な侵略占拠と同レベルのものが求められる事になるわけです。無論、フランス単体にその能力はなく、最低限英米との連合が必要になりますが、既に英米にもその余力はありません。また、Assad政権に協力するロシアの姿勢転換も必須でしょうけれども、その実現も容易ではありません。無謀と評価する他ないでしょう。

泥沼と知りつつ、無理にでも隔離を進め、国内近隣の容疑者摘発を強めるに留まるのか。それとも無謀と知りつつ、中東での殺し合いに突き進むのか。泥沼と無謀、現時点ではどちらも無理筋のようにしか見えず、従ってフランス、ひいてはEU各国には最早テロに怯えつつ徒に人命が失われゆく暗鬱たる時代が訪れるものと強く予想されるところです。では日本はどうか。地政学的な距離からして同様の事態に至る可能性は高くないだろうとはいえ、現政権のポリシーからすれば安易かつ無謀にも巻き込まれていく可能性も無いとは言えず、不安を拭い切れないのが気がかりです。もっとも既に巻き込まれていて、表面化は時間の問題というだけなのかもしれませんけれども。

10/31/2015

[note] Win10で画像を開くアプリを変更する方法について

またまたWindows10のワークアラウンド。色々と不満は多々感じられつつ、様子見程度にサブ機で使い続けているところのWindows10ですけれども、またしても利用の自由を妨げる苛立たしい問題がありまして。その対策を以下メモ。

何かというと、画像ビューアのデフォルト設定についてです。まず前提として、win7,8,8.1等従来のバージョンでデフォルトに設定されていたフォトビューア等がWindows10では置き換えられ、[フォト]アプリがデフォルト設定されるようになっています。で、これの挙動が極めて重いのです。特に初回の起動速度が滅茶苦茶遅い。画像を開いては確認、とかいう作業をしようとすると、ものすごく時間がかかってイライラさせられるわけで、作業効率は無論精神的にも非常によろしくありません。他にも、オンライン連携でプライバシーが侵害される可能性もつきまといます。で、アップグレード直後からそういった諸々が気に入らず、速攻で従来のフォトビューアに切り替え、しばらく使ってきたわけです。

しかし、フォトビューアも完全ではないのです。やはりスピードが問題。画像を開く際、その開こうとする画像のあるフォルダ内の画像全てをサーチして何らかの前処理をしているらしく、そのためフォルダ内に大量の画像がある場合、起動のラグに加え、前後の画像への切り替えが可能になるまでに数秒以上の時間がかかってしまう事があるのです。これでは切り替えた意味がありません。

というわけで、さらに軽量なビューアに切り替えよう、としたのですが・・・。ここでトラブルが発生してしまいました。画像ファイルを開くデフォルトアプリの関連付けが機能しないのです。エクスプローラからダブルクリックして[開く]際のプログラム設定ですね。[右クリック]-[プログラムから開く]-[別のプログラムを選択]で開かれる選択ダイアログ中から選択する際、[常にこのアプリを使って***ファイルを開く]のチェックを入れて選択しても、その時は開けても、以降その関連付けが保存されないのです。再度開こうとすると元のフォトビューアが。ファイルの[プロパティ]-[全般]タプ中の[プログラム:]の項目から[変更]ボタンを押しても同様の選択ダイアログが出てくるのですが、ここから選択変更しても同様。これは一体どうしたことか。

一方、Windows10で新設された設定画面には、デフォルトのアプリを設定する項目があります。[設定]-[システム]-[規定のアプリ]ですね。この中に、[フォト ビューアー]の項目もあります。そこで、恐らくはここの設定と従来のエクスプローラ等からの設定が整合しておらず、前者が優先され後者は無視される状態になっているのかもしれない、と仮説を立て、こちらを変更してみる事にしました。が、こちらで[既定を選ぶ]と表示される選択画面では、そもそもWindows公式のアプリ(フォト、ペイント、Windowsフォト ビューアー等)しか項目に現れず、かつその他のプログラムを選択する項目が存在しません。指定自体が出来ないのです。

という次第で、またしても色々と試行錯誤する羽目になってしまったわけです。結果から言えば、解決しました。レジストリの設定を手動で上書きするのです。ただ、今回は専用のコマンドが用意されているのでregeditを使う必要はありません。以下、pngとjpegの設定を例に手順を。

<1 .="">

何はともあれ、まず現状の確認。プログラムとの関連付けは拡張子毎に行われる仕様になっているのですが、内部ではその拡張子毎に識別子が設定され、この識別子がプログラムと関連付けられています。なので、まずは目的のファイル型について、その拡張子に対応する識別子を確認する必要があります。

具体的には、コマンドプロンプトから以下のコマンドで確認。例はpngの場合。なお、このコマンドは確認のみにつき管理者権限不要ですが、その後の変更作業では必要になるので、コマンドプロンプトはあらかじめ管理者権限付で起動したものを使うのが良いでしょう。

> assoc .png

すると、下記のように拡張子に対応する識別子が表示されます。

.png=pngfile

で、この識別子に関連付けられているプログラムを確認します。下記コマンド。

> ftype pngfile

で、同様にプログラム(実行コマンド)が表示されます。この場合はフォトビューアが設定されていた場合です。

pngfile=%SystemRoot%\System32\rundll32.exe "%ProgramFiles%\Windows Photo Viewer\PhotoViewer.dll", ImageView_Fullscreen %1

これを使いたいプログラムで置き換えてやればいいわけです。例として、Irfanviewの64bit版を指定した時のコマンドを下記。前記の通り、ここの実行には管理者権限が必要ですので注意。当然ながらパスは適宜目的のプログラムが存在する場所に置き換える必要があります。

> ftype pngfile=C:\program\Irfanview\iview440_x64\i_view64.exe %1

成功すれば、下記のように結果がエコーされます。

pngfile=C:\program\Irfanview\iview440_x64\i_view64.exe %1

これで完了。なお、jpegの場合は下記。assocコマンドで確認してみれば分かる事ですが、.jpgも.jpegも共に識別子はjpegfileです。

> assoc .jpg

.jpg=jpegfile

> ftype jpegfile=C:\program\Irfanview\iview440_x64\i_view64.exe %1

jpegfile=C:\program\Irfanview\iview440_x64\i_view64.exe %1

でOK。ただし、設定変更直後は反映されず、フォトビューアで開かれる場合がありました。ただ、その場合もエクスプローラから手動で変更する際にリスト中に設定プログラムが表示されるようになっていて、そこから選んでやれば以降は関連付けが機能しました。ですから、おそらくは一時的なものに過ぎないのでしょうけれども、これも不整合の一環という事でしょうか。何ともグダグダで酷い仕様だと、改めて呆れ果てた次第なのです。

しかしこれ、そもそも何でこんなユーザの自由な使用を妨害する仕様になっているのかと疑念が自然と湧くわけなのですが・・・。といって、まず間違いなくmicrosoftの自社製アプリ強制キャンペーンの一環という事なんでしょうが、これまた酷すぎて論外だと思うのです。アホじゃなかろうかとさえ。開発者なら、自前のツールを使うのはむしろ当然の話でしょうに。

勿論、従来のPCビジネス自体が斜陽を迎えた現在、microsoftとしては生き残りのため、androidやiOS等のようにアプリやサービスで囲い込んで収益を上げる仕組みを作りたい、という意図は分かるのです。が、ユーザが自由に使える事が第一の利点であり存在意義でもあるPCでそれは両立し得ない事は最初から明白なわけで。何故そんな無茶をするのか。最初からそういうものとして普及させるのと、後から強制的に制限する形で導入しようというのでは根本的に違うというのが分からないのでしょうか。いやまあ、それが分かっているからこそ、本件のように黙って強制したり、win10アップグレードのようにあくまで推奨と言いながら実質的に強制するような姑息なやり方を選択しているんでしょうけれども、逆効果だと思うんです。Macの売上が伸びるのもむべなるかな。

というか、本件も場合によっては業務妨害にも当たりうるだろうし、無論独占禁止にもあたるわけですから、法的にも到底許されざる暴挙に違いないのです。個々の問題の深刻さは然程ではなくとも、積もり積もれば致命傷にも成り得ると思うんですが、microsoftはその辺どう考えているんでしょうね?やれやれです。ともあれ、今回はこれでおしまい。

[関連記事 [note] Windows10アップグレードの無効化]
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10/24/2015

[note] Ubuntu15.10導入

半期に一度の恒例行事、Ubuntuの新板リリースがまたやって参りました。バージョン15.10、愛称はwily werewolf、ずる賢い人狼さんです。もはや動物ですらありません。Ubuntuは何処へ行こうとしているのか。ままならない現世に別れを告げ、自ら幻想の狭間に消えゆこうとでもいうのでしょうか。好きにすればいいとは思う一方、サポートだけは放り出さないで頂きたいとも思うのです。

ともあれ。ここ数年はもはや殆ど変更らしい変更もなく、ただ惰性でカーネルやアプリのバージョンアップを纏めただけの無意味なものになってしまっている事は周知の通り。リリースノートを見る限り今回もその例に漏れず、特に大きな問題もなかろう、という事でさっさと適用してしまいました。とりあえずサーバとノートPC各一台ずつ。

手順については毎度の如くupdate-managerから適用するだけです。途中で幾つかsambaやsane等の設定を更新するか否か聞かれるのも、差分を確認してそれに否と答えるのもいつもの通り。一時間そこそこで終了します。

変更内容が内容なので、致命的な問題はほぼ無く、使用感にも変化は感じられない位だったわけなのですが、一点だけトラブルがありました。何かというと、サーバの方で起動時にフリーズしたんですね。desktop managerの起動の辺りで。ログイン画面に到達出来ません。

Xが起動しない、という事態には久々に遭遇したので少し焦りましたが、OS自体の起動はしており、端末の切り替えとそこからのコンソールログインは可能でした。なので、以前にも遭遇したgdm周りの問題の類だろうと思い、gdmからlightdmに切り替えてみたら解決、すんなり起動したのです。ちなみに切り替えは下記コマンドで切り替えツールを起動してそこからします。しかる後にsudo service lightdm start。

$ sudo dpkg-reconfigure lightdm

無論、最初からlightdmの場合は問題ありません。従って殆どの場合は関係のない話でしょう。私のサーバについては諸事情によりgdmを使用していたのが災いした、というわけです。gdmを手動設定したのは11.10の頃の話だから、およそ4年前ですか。長く使っていればこういうこともある、と。しかし慣れていれば大した事ではないけれど、そうでない人が遭遇したとすれば普通に壊れたと青ざめるケースなわけで、そんな不具合が当たり前に起こる辺り、何年掛かかろうと一向に普及しないのにも改めて納得せざるを得ません。残念な事ですが仕方ない。普及なんかしなくても、サポートが切れない限り私が使う分には問題もありませんしね。

あと、これはUbuntuに限った問題ではありませんけれども、gtk3の新バージョンでまた色々とモジュールや関数がdeprecatedになったらしく、コンパイル時のワーニングが沢山出て鬱陶しいのと、今回変更になったらしいemacsの配色が非常にケバケバしいのには不満を禁じえません。が、まあそれ位の話で、機能的にはとりあえず問題ないようです。というわけでこれでおしまい。

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10/15/2015

[note] Windows10アップグレードの無効化

リリースから少しばかり時間が経ったWindows10のアップグレードですけれども。先日知人から、Windows10のアップグレードを推奨する画面出るようになったが、これが非常に鬱陶しい、どうにかならないか、と相談を受けまして。はいはいちゃちゃっとやってやるよ、と軽い気持ちで対処を引き受けて、結果から言えば成功したんですけれども、これが想像以上に面倒で、色々試行錯誤する羽目になったのです。あんな面倒なのはもう勘弁、というわけでそのキモの所をメモ。

結論としては、レジストリにフラグを立てるだけなんですけれども、一応以下順を追って。まず前置きとして、調べれば直ぐに出てくる方法である所の、更新プログラムKB3035583をアンインストールすれば完了、だったのはリリース前すなわち7月までの話で、現在ではそれでは足りません。アンインストールしても、WindowsUpdateの表示は残るしGWXも生きてるし、アイコンやポップアップは依然として出て来ます。アップグレードの準備が出来る所まで行ってしまうと別のラインが出来てしまうという事でしょうか。迷惑極まりない事です。

んじゃどうすれば、という所で、潰しても潰しても蘇る連中を前に色々と試行錯誤させられる羽目になったんですが、その辺の悲しい話はばっさり省略して結論だけ。まず準備として、更新周りを無効化した後、準備完了しているアップグレード周りを抑えます。

1.WindowsUpdateを手動インストールに設定変更し、作業途中の復活を防止
2.更新プログラムKB3035583をアンインストールのちWindowsUpdateにて非表示設定
3.WindowsUpdateの適用可能な更新プログラム中にWindows10****(Home, Pro等)があれば、非表示設定

しかる後に、レジストリに下記の通りDisableOSUpgradeを追加し、かつ値を1にして有効化(キーが存在しなければそれも新規作成の上)

<レジストリキー場所>
 HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\WindowsUpdate
<項目名> DisableOSUpgrade
<タイプ> DWORD
<値> 1

このレジストリキーの設定が肝だったのです。これを入れて再起動するとすっきり。なお、レジストリの設定に際しては、私はAdministratorアカウントのコマンドプロンプトからコマンド一発で入力しました。無論regeditから手動でも問題ないでしょう。と言っても今回のケースではこれで良かった、というだけなので、一般的に通用するのかは不明なのですけれども。復活したりしたら、とか考えるだけでもげんなりしますね。

ただし、この後でも[Windows10を入手する]アイコンは別口で、まだ表示されます。しつこいっての。当然消すべきものなわけですが、その方法も同様にレジストリへのキー追加によります。正確にはGWXアプリ自体の無効化なんですけれども、具体的には以下の場所に。上記とほぼ同じというか、お隣ですね。

<アイコン非表示レジストリキー場所>
 HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\Gwx
<項目名> DisableGwx
<タイプ> DWORD
<値> 1

ともあれ、さしあたりこれで本件は方付いたしまあいいんですが。そもそもの話として今回のWindows10アップグレード自体、ここまでしないと拒否出来ないというのは理不尽というか滅茶苦茶だと思うのです。当然ながら一般のユーザの大半はこんなレジストリ弄ったりなんて出来ないのですから。Windows10が互換性も完全、プライバシー面のデメリット等も一切ないとかいうならまだしも、そうではない事も明白な事実なのにも関わらず、ユーザに拒否の選択を与えずに推奨を表示し続ける、それはもはや不当な強要そのものであって、すなわち結局のところアップグレードの強制と言えるだろうわけなのですよ。公然とユーザの権利を侵害しています。

Microsoftとしては、思うように上がらない適用率を前にして切羽詰まってる事情はあるのかもしれません。が、だからといってユーザに不利益を強いるとは言語道断な話です。それ以前に、Windows7もWindows8もそれを売って対価を得ているのだから、ユーザには当然にそれを使い続ける権利があり、Microsoftにはサポートを提供する義務がある筈なのであって。それを事実上拒否し、義務を放棄するかの如き振る舞いは許されざる背信行為、場合によっては違法行為にも当たるでしょう。本件の如き不当な措置が速やかに撤回され、かつ二度と為されないよう強く願う次第です。ほんとユーザを何だと思ってるんでしょうか。全く以って腹立たしい限りです。

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<追記:後始末等>
 後日、復活したと連絡が。ゴミが残ってたらしく、下記処理をしたらまた収まりました。
 ・ディスククリーンアップ実行(システムファイルも含める。この時アップデート関連もチェック)
  (コントロールパネルの[システムとセキュリティ]-[ディスク領域の解放]-[システムファイルのクリーンアップ]から。Windows Update関連やOSアップグレード関連にチェックして[OK])
 ・KB3035583が復活していたので再度アンインストールかつ非表示設定
 もういい加減にしろと。

<さらに追記>
 上記の復活はWindowsUpdate上でWindows10アップグレードがデフォルトで有効になっていたからだとか。Microsoftも公式に認めつつも手違いだとか言い張ってるそうですが、あの消しても消しても復活するしつこさは故意としか考えられません。どれだけ手間がかかったと思っているのか、と怒りが収まらないのです。件の知人には、処置が不十分だったとして頭を下げる羽目にもなったのですよ。純粋にPCが使用不能になったために生じた損失も無視できませんし。

 というかこれ、法人用のPC等も当然対象だろうわけで。社内で更新を保留出来るところは別なのでしょうけれども、中小のPCだとそれはまずないし、強制アップグレードしてシステムが機能不全に陥るだとか、同様の事象、障害が普通に山程発生しているものと思われるわけです。私の場合のように対処が間に合うとしても、そのサポートコストの発生は避けられません。どう責任を取るつもりなのでしょうか。

10/10/2015

[note] 壊れたTRANSCEND製USBメモリをRMAで交換

ここ最近、割と長期に渡ってHDD類に故障が起こらず平穏が続いていた私のストレージ事情に思わぬところからの刺客。何かと言うと、予備データ用のUSBフラッシュメモリがぶっ壊れてしまったのです。

当該メモリの製品名はTS32GJF700E、TRANSCEND製の安価な機種です。容量は32GB。末尾のEはAmazon販売用モデルという意味ですね。一応USB3.0に対応はしているのですが、あまり意味が無い位の速度しか出ません。発熱が控えめなのと、やはり安価な点が長所と割り切ったモデルと言えるでしょうか。



昨今のメモリの例に漏れず、実際問題として信頼性が低いのと、そもそも速度が微妙なので常用には向かないと判断して、専らもしもの時のための保険的な予備データ持ち運び用に使っていた、というか殆ど単に保管するだけで使ってはいなかったのです。が、先日、その数カ月に一回程度のデータ更新をしようとした時に、突如として全く認識しなくなってしまったのです。USBポートに挿すと、一瞬だけLEDが光って消え、その後は一切反応なし。なんじゃそら。

この種のフラッシュメモリの壊れ方には大きく分けて2通りあって、一つは個々のセクタ等が死んでデータの欠落や速度の著しい低下が生じ、それが段々と酷くなっていくような緩やかなものと、もう一つは管理部等の致命的な箇所が壊れていきなり全く反応しなくなってしまう急激なものがあるわけですが、今回は後者に当たってしまったようです。ハード側の致命的な故障につき、ユーザの側では基本どうする事も出来ません。最悪ですね。

しかしあの使い方で、というか、書き込みもしくは書き換えの回数なんて多分100回にも達してない筈なのに。。。やはり安かろう悪かろうという事なのか。ここ10年程の間に市場価格が急激に低下し、いつの間にかMLCですら高級品扱いされるようになり、粗悪そのもののTLCが当たり前のように流通する昨今では致し方ない所なんでしょうけれども、無念です。その信頼性の低さから、消えたりして困るような重要なデータは入れておらず、安物買いのデータ失い、にはならなかったのは不幸中の幸いか虚しい皮肉か。

と、その時点でもう99%以上諦めていたものの、一応、色々とチェックしてはみました。しかしながらやはりと言うか、Windowsのデバイスマネージャにも影も形も現れないし、LinuxのPCに繋いでもdmesgのログには何も出ません。結局のところ、全て徒労に終わったのであります。時間を置いて再度試しても変わらず。お手上げです。購入から数えておよそ2年半でのご臨終でした。

というわけで、本メモリの復活は諦めて、メーカーの保証が有効かどうか保証規定を読んで確認したところ、無期限保証の対象だそうで。すっかり忘れていましたがラッキー、というかこんな壊れやすいものを無期限保証なんてしてたら、それは破綻必至なのでは、と訝しく思ったりもするわけですが、ともかくユーザとしては有り難い話です。というわけで、早速RMA手続き。TRANSCENDのHPの問い合わせフォームに従って、"RMA手続きのお問い合わせ"を選んで製品名とシリアル番号(本体の側面、下図の場所に薄く印字されていました。)や連絡先、症状及び、"保証規定に基づく修理or交換"を求める旨等を記入して送信したのです。


すると、平日の午前中に問い合わせたのですけれども、その日の午後にはメールで返信がありました。その中には故障状況の確認作業等についても記載されていて、Transcendのチェックツールを使う旨指示されていたのですが、本件の場合そもそも認識しないのだから無意味と分かりそうなものだろう、と若干違和感を覚えた次第です。テンプレだから仕方ないという事なんでしょうが、ちょっと間抜けな感じがしますね。ともあれ一応ツールを落として走らせてはみましたが、案の定デバイスが見つからない、と起動時に表示されて終了。

余計な手間をかせさせよって、と軽く遺憾に思いつつ本題に戻り、メール記載のRMA手続きのページにアクセスします。ユーザ登録をしてログインのち製品名とシリアル等を入力し、RMA番号とステータスシートの発行を受けます。で、印刷したステータスシートと本体、あと購入を証する書面(今回はAmazonの領収書を印刷したもの)の3点を下図の通り揃え、同梱して台東区のRMA担当宛に送付するのです。


ちなみに、梱包には手元にあったAmazonのメール便用のクッション封筒が丁度良さそうだったので流用しました。送付方法は、先方からは外形の破損等がある場合は保証出来ないという事もあり、追跡かつ保証ありの方法が推奨されていたのですが、流石に元の値段が値段だし追跡や保証は費用的に不釣り合いに思われたので、最悪ロストしても諦めるかと普通郵便の定形外120円で送ってしまいました。

で、待つこと数日。郵便局の窓口に差し出してから4日後にメールで受領確認の報告があった、と思ったらその翌日には代替品が到着したのです。計5日で全手続きが完了した事になります。他の人の報告ではもう少し、10日位かかるのが標準なように見えていましたから、予想外の迅速さに驚きました。ちなみに配送はヤマトの宅急便です。事の性質上、メール便で送るわけには行かないというのは分かるのですが、Amazonから購入した時からしてメール便だったのとは不釣り合いなのは事実だし、いささか大げさな気がしなくもありませんね。


開封すると、当然ながら中身は大半が緩衝材です。本体の入った封筒とインボイスは底に張り付いているだけ。受け取る側としては構わないんですけど、やはり少々の違和感は禁じ得ません。



型番は変わらず、見た目も元と同じ。なおシリアル番号が元は数字のみ10桁だったのが、アルファベットも混在する形式に変わっており、かつ桁数(文字数)も大きく増えています。RMA用に区別されてたりするんでしょうか。


とりあえず使ってみたところでは、機能面にはさしあたり問題なし。ただ、元はランプの色が黄色だったのが、代替品では青色に変わっていたのには、元の色のほうが落ち着いた感じがして好みだったなと少し残念に感じた次第です。大した事じゃないですけれどもね。今度は長く、少なくとも5年くらいは壊れないで欲しいと願いつつ、今回はこれでおしまい。

<追記>

本件に関係して、ちょっと気になった事を。というのは、今回適用のあったTranscendの保証については、何やら購入30日以内に登録しなければ無効になるだとかいう話が出回っているようで、Amazonのレビューにもその旨の記載が見受けられますが、これは明らかに誤りですね。事実、私は元々登録しておらず、購入から2年以上経った今回のRMA申請直前に登録したのですが、上記の通り何も不都合なく保証を受ける事が出来たのです。確かに保証規定には30日以内の登録を推奨する旨記載があるものの、保証の効力・期間とは別の項目で、文言上も無関係な単なる推奨としか解釈しようが無いものなのですし、何故そのような誤解がされ、かつ広まっているのか、どうにも不可解なのです。口コミの悪い面というか、自分で確認するのが面倒だから、誰かが言い出した間違いを鵜呑みにする、というのはありがちな話なんでしょうけれども、だからといって明らかな嘘を広めるのは流石にまずいだろうと思うのです。不法行為にあたるおそれも無いとは言えないでしょうし。うーん。

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9/28/2015

[PC law] 全Thinkpadにユーザ情報収集プロセス発覚

元々、殆ど創業時から常にユーザのプライバシーを侵害していると誰しもから疑われ続け、つい最近もSuperfishで多くのユーザを混乱の只中に突き落としたLenovoに再びユーザ情報収集機能の仕込みが発覚してしまいました。平たく言えばスパイウェアが出荷時から堂々と仕込まれていたというのです。

しかも今回の対象はThinkシリーズ全機種だそうで。Thinkpadは無論、デスクトップのThinkCentreも含まれます。これまでのSuperfish等では対象外だったので安心していたユーザも多かろうと思われるところ、その一方で実は堂々と情報を抜き放題されていたというわけですね。最悪です。中身は既にIBM時代とは別物、単なる廉価PCと変わらないとはいえ、Thinkpadのブランドはまだそれなりに愛着のあるユーザもいる筈ですから、取り分けビジネス関連のユーザにとっては洒落にならない話でしょう。

つくづく懲りないというか、死ねよLenovoと。いや、本件では他人事ではないのです。私の以前購入していたThinkpad(E440)も確かめてみたらバッチリ入っていまして。問題のプロセスはC:\Lenovoフォルダ以下の[Customer Feedback Program]と[Customer Feedback Program 35]の2つのフォルダに入っている[Lenovo.TVT.CustomerFeedback.Agend.exe]及び[Lenovo.TVT.CustomerFeedback.Agend35.exe]です。それにdllが少々。これらが、堂々とタスクスケジューラに登録され、毎日一回ずつ起動して情報を収集し送信しているのです。

私自身、まさかこんな堂々と仕込んでくるとは思っておらず、スケジューラの詳細な確認を怠っており、きっちり抜かれてしまっていました。不覚です。即無効化したのに加え、元々予備扱いでそれ程抜かれて困るような情報は多くなく、かつデュアルブート利用のLinux(Ubuntu)側を主に使用していたため抜かれて本当に困るデータはwindows側には入っていなかったのが救いです。とはいえ、非常に不愉快ですね。

このThinkpadは3万を切る位で安売りしていたところを予備の予備程度のつもりで購入したものですが、それでもそう思う位なのだから、他の高額モデルを購入した、特に企業ユーザの失望は半端ではないでしょう。法人周りは言うまでもなく最重要の筈、その顧客層を丸ごと裏切るとか、正直Lenovoはイカれていると思わずにはいられません。もうPC事業自体どうでもいいと言うことなのかもしれませんけれども、それでもこれはないだろうと思うのです。今後のユーザからの突き上げは半端無いでしょう。携帯事業も順調とは言い難いのにいいんでしょうか。無論、どうなろうとLenovoの勝手ではあるのですけれども。

もっとも、ComputerWorldの元記事でも指摘されている通り、ユーザ情報の収集自体もはやありとあらゆるデバイス・アプリ・サイトが競って実施している事なわけで、AndroidやiOSは無論、ThinkシリーズにしてもWindows10では山のような収集機能群がデフォルトで堂々と有効化されているのだし、それらに比べれば大したことではない、とする事も論理的には有り得ないでは無いと言えなくもないのですけれども。実際、個人レベルでは気にしない向きもそれなりにいるでしょう。Lenovoも、Microsoft自体が公式に情報収集を公表しているのだから堂々とやれば問題ないと考えたのかも知れません。しかし、少なくともLenovoは前科が酷すぎるし、元々事実上中国政府の管理下にあって、その軍事目的も含む情報収集と同一視される立場にあるのだから信用は皆無なわけであり、元よりそういう是非を論ずる俎上に乗り得ないのです。少なくとも、企業はじめ少しでも情報を保護する必要や義務がある向きには到底受け入れられないだろう事は間違いないでしょう。事前の了解があれば問題はないのですが、そんなものがある筈もないでしょうし。相応の報いがあるだろう事は必至です。さてどうなる、というかどれ位酷い事になるものやら。

ちなみに、私はThinkpadをもう一台、少し前のモデルである所のL512を所有しているのですが、こちらには入っていませんでした。実は割と最近という事ですかね。という事は色々とやらかしてからあえて本プログラムを仕込み始めたという事になるわけで、尚更理解できないのです。

<無効化方法例>

なお本プログラムを止めるには、上記2つのフォルダを移動もしくは削除するか、タスクスケジューラをいじって起動しないようにすれば良いのです。後者については、ComputerWorldの記事が推奨するTaskschedulerviewを使った場合の画面では下図のようになっているので、


[Lenovo Customer Feedback Program ...]の3項目をReadyからDisabledにします。


これでOK。これを見ると、きっちり昨日も動いてますね。やれやれです。まさかこんな堂々と。。。

Lenovo collects usage data on ThinkPad, ThinkCentre and ThinkStation PCs

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9/19/2015

[biz law] VWディーゼル車に排気ガス適合試験での不正プログラム使用発覚

ここ数年、毎年のようにGMはじめ大手自動車メーカー不正等が明るみになって訴訟その他の大問題になっている米国で、今度はVolkswagenが摘発されたそうです。

容疑はディーゼル車の排気ガス環境規制適合試験における不正。具体的には、ECUに試験時にのみ動作する制御プログラムを仕込み、排気ガス中の有害物質含有量を本来のすなわち通常運転時の制御プログラムによる走行時と比較して遥かに小さく見せかけていた、というものです。通常時だと規制基準の数十倍超過だとかいうのだから酷い話です。試験用プログラムに一本化すれば今回の問題は生じなかったんでしょうけれども、そうしなかったという事は、多分に試験用プログラムでは燃費の悪化や急激な変化に対応出来ない等、実際の運転時には許容し得ない問題があるのでしょう。

ともあれこれに伴い、当然ながらリコール命令も出されています。如何に問題があろうとも試験時の設定すなわち排気ガス制御モードで走行するよう改修が強制される、というわけで。対象は2009年から現在までに製造され、米国で販売されたVWとAudiの自動車約50万台。米国では非主流のディーゼル車のみとはいえ、販売台数世界一を争うメーカーの主力カテゴリーを直撃したにしては意外と少ない気がしなくもありませんが、それでも大した数ですね。元々VWは米国でのシェア獲得には長年苦労していて、直近でもトヨタの数分の一に過ぎない事が台数の少なさに繋がったのでしょうけれども、逆にそのシェア拡大への焦りが本件のような不正に走った原因と推測されますし、結局の所とても残念な話、と言うべきなのでしょう。

しかしこれ、米国で規制基準違反だった、というだけでは済まない筈なわけで。というのも、問題のディーゼル車自体、欧州等では言わずと知れた主力製品なのであって、しかも長年この環境性能を売りにして普及させて来たところ、それが虚偽であったものと疑われる、その影響が小さい等という事は有り得ないのです。これから欧州でも調査・追試が行われるでしょうし、その結果次第ということになりますが、その如何によっては欧州の環境規制自体が事実上虚偽だったという事になり、そのものが崩壊しかねず、控えめに言っても大混乱です。無論、VWに対する信用や製品の競争力等、あらゆる企業体力面での悪影響も半端ではないでしょうから、経済的にも大打撃必至でしょうし。

さらに、本件の発覚した経緯を鑑みれば、本件類似の調査が展開されるのはこれから。すなわち他社へも波及するでしょうし、これからこの種の試験用モードの仕込みに対する摘発も排気ガス規制以外の燃費や衝突防止機能等、広く試験一般に対して実施される事になるでしょうから、その種の不正に依存していたメーカーや部門は文字通り崩壊・壊滅の危機に叩き込まれる可能性があるわけです。

電子制御が一般に普及し、ECUのリコールも頻発する昨今、このような不正が現れる事も当然に予想されたところではありますが、実際に目の当たりにして、しかもそれがこれほど悪質とあってはやはり失望せざるを得ません。ユーザに対しては完全に詐欺なわけですから、その倍賞請求もされて然るべきところですしその額は半端では済まない筈なわけですが、メーカーにしてみればその愚行の報いを受けるだけの事です。ただ、社会・経済に対する影響もまた小さくないわけで、これにどう始末を付けるのでしょうか。もっとも、不正をしていなかったメーカーにはシェア獲得の絶好機到来とも言えるだろうし、全体的に見れば不正一掃のいい機会と見るべきなのかもとも思うわけですが。。。やれやれです。

VW Is Said to Cheat on Diesel Emissions; U.S. Orders Big Recall

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9/03/2015

[note] Win10のモニタOFFタイムアウト設定を無視する現象の修正方法

Windows10へのアップグレード適用以来、モニタOFFタイムアウトの設定時間を無視して画面がOFFになる症状にずっと悩まされて来ていまして。よくある初期OSリリースの不具合かもしれない、と様子を見ていたものの、一月が経過して尚改善されないのに業を煮やし、本腰を入れて対処方法を探してみたところ、何とか修正に成功したのでメモ。

もっとも本件、調査途中で覗いたフォーラムの内容を見るに、症状自体はWindows8時代にも割と広く発生して多くのユーザを悩ませていたものなんだそうで。解決方法も既に確立されており、それを適用すれば良いだけだったのでした。私の処のPCは元々Win8.1で、そのアップグレード前には幸いにも発生していなかったので知らなかったのですけれども、結局のところイライラしながらもMicrosoft公式の修正を期待した私が間抜けだったという事で、誠に遺憾な限りです。

ともあれ。発生条件は、

・USB等外付けのキーボード・マウスの操作によるスリープからの復帰

です。内臓のキーボードやタッチパッド操作から復帰した場合は関係なく、普通にモニタのタイムアウト設定が適用されます。外付けデバイス操作による復帰の場合、コントロールパネル等から設定出来るディスプレイのタイムアウトとは別にタイムアウト時間の設定項目が内部的にあるんだそうで、そのデフォルトが2分なのですね。私は当該ノートPCにキーボード・マウス・モニタを外付けしてデスクトップと同様の使い方をしていたので、自然と該当していた、というわけです。

そしてこのタイムアウト時間は、デフォルトでは電源設定等の項目中に表示されず、従って変更する事が出来ないというか設定可能な事すらユーザには分からないのですね。それでいて、前出Forumのメンバーの一人が問い合わせたところ、Microsoftの公式見解では本挙動は不具合ではなく仕様とのことなのです。思わず脱力してしまいました。ふざけんじゃねえよ、という怒りとともに。

怒りはともかく。というわけで、修正するには、まずレジストリを弄って設定項目を表示させてやる必要があるのです。といって、レジストリ中の以下の場所に以下の値を書き込むだけです。

<レジストリ追加先>

HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Power\PowerSettings\238C9FA8-0AAD-41ED-83F4-97BE242C8F20\7bc4a2f9-d8fc-4469-b07b-33eb785aaca0

<レジストリ設定項目・設定値>

"Attributes"=dword:00000002

無論regeditから手動で追加してもいいのですが、有志による追加設定用のレジストリファイルが下記に公開されていますのでこれを使えば良いでしょう(2.のAdd_System_unattended_sleep_timeout.regをダウンロードして実行)。なお下記ではvista,7,8用とされていますが、win10でもこのあたりの仕様は同じにつき、問題なく使えました。

http://www.sevenforums.com/tutorials/246364-power-options-add-system-unattended-sleep-timeout.html

すると、下図の通り、電源の詳細設定ダイアログ中、[スリープ]以下に[システム無人スリープ タイムアウト]という項目が追加表示されて変更が可能になります。


デフォルトではバッテリ駆動、電源接続時共に2分。


 これを、例えば下記のように好みの時間に変更します。


これでOK。ようやく解決なのです。分かってしまえば設定自体は簡単なのですが、そもそも設定項目自体が隠されていようとは。。。不親切なんて生易しいものではなく、完全に罠だと思うのです。それも悪質な。これが仕様だと言い張るMicrosoftは率直に言って正気ではないと思いますし、数年前から問題になっていることがわかっていながら、デフォルトで設定変更不可にしているのはどういうつもりなのか、全く以って理解出来ません。まさかwin10リリースについては項目自体社内でも把握していないとか?それにしたってねえ。何にせよこれでおしまい。やれやれです。

[関連記事 [note] Windows10の表示周りに不具合頻発]

9/02/2015

[law] 東京五輪、無能と無責任の果てに近づく破綻

五輪ロゴ盗用の件、ようやく一段落というか、白紙に戻ったようですけれども。

自称デザイナーの佐野氏本人は直接間接取り混ぜてのあれほど明白な証拠を突き付けられながら未だに盗用を認めず、またその後の無茶苦茶な正当化の当事者たる各委員はじめ関係者も誰一人として非を認めず、揃って責任逃れに汲々とする現状にあっては、一区切りとすらとても言えないし、代わりの選定にも相当な困難があるだろう事は間違いないわけで、どう始末を付けるつもりなのか逆に興味が湧きます。

既にロゴの使用権に投資あるいは行使済みのサプライヤーには当然その分の損害が発生しているし、広告費用等を中心にその額は少なくとも数百億にはなるでしょう。それは仮に当人が認めたとしても佐野氏一人に到底負える筈もなし、関係者全員が首を差し出す位しないと収まらない向きも多いのではないでしょうか。事の性質上、逃げようもないと思うのですけれども、どうするんでしょうね。

しかし競技場の件といい、揃いも揃って後先を考えず個々の利益追求と保身ばかり目論んで無茶な談合に走り当然のように破綻して、また見切り発車からクソのような損害の山を出し、さらに仕切りなおしすら殆ど不可能に思える程に状況を複雑にしてなお居座る阿呆さ加減には、もうね、呆れすら感じないのです。元々五輪の開催自体に否定的な私としてはそのまま失敗してしまえと思うわけですが、実際そのリスクは急速に高まっているように思われてなりません。関係者が揃って自分に都合の良い現実離れした妄想のもと、てんでバラバラに無法を繰り広げているのだから当然とも言えるだろうわけですけれども。もっともあえて突き放さずとも、これまで数年でこの体たらく、さらに事態は複雑で身動きが取れなくなっていっているのに、これから数年でリカバー出来るとはとても思えないのですが、さて。

頭が痛い今後のあれこれはともかく。さしあたり佐野氏のこれからについては、本件の膨大な損害賠償請求に加え、純粋な著作権上の紛争も山のように振りかかるでしょうし、余罪も同様に追求され続けるでしょう。当人もそれが分かっているから悪意について頑なに否認を続けているんでしょうけれども、訴訟になれば容易に有罪が立証されてしまう程度には一般人の立場から見ても容疑は明白に見えるだけの証拠があるように思われますし、すなわちもう終わっていると言うべきでしょう。無論完全に自業自得だし、これだけ社会に広範かつ膨大な損害を与えておきながら逃げおおせるなど許される筈もないのですが、この上はせめて今からでも潔く罪を認め、自ら進んで責任を取って頂きたく思う次第なのですが。。。無理ですかね。

8/02/2015

[note] Windows10の表示周りに不具合頻発

地雷と知りつつ特攻したはいいものの、何とも微妙なWindows10ですが。。。とりあえずディスプレイ等の表示周りの挙動がおかしいのです。

具体的には、

・抑えめに設定した画面の明るさが突然MAXになって目が灼かれる(ノートPC)
・設定時間経過前のごく短時間でディスプレイ電源オフでロックがかかる
 (HDMI接続の外付けモニタ使用時。1時間設定の筈が数分で)

とか。前者はグラフィックドライバ周りのバグで、後者はスクリーンセーバーの設定が効かないって事なんでしょうか。何で今さらこんな、と訝しく思うわけですが、他にも、

・自動隠し設定をした筈のタスクバーが表示されっぱなしになる

とかいう不愉快な症状も頻発します。なお、アップグレード前のWin8.1及びWin7Proではいずれも一度足りともそのような症状が発生した事はありませんでした。使用不可になるわけではないため、使用していると繰り返し遭遇する羽目になるので、精神的に非常に苛立たしいし、実際の使用・運用にも無視できない程度の差し障りが生じるので早急に除去したいのですけれども、今のところ対策のしようがありません。

いや、地雷と知って特攻したのである程度覚悟はしていましたけれどもね。これはないでしょうと。。。だってこんな瑣末な不具合、普通に設計してあれば入り込みようもないだろうし、そうでなくともリリース前に多少なりとまっとうに実地検証していれば起こりえない筈なわけで。もうわざとやってるとしか思えません。単なる見切り発車なのか、それとも嫌がらせなのか。どっちにしろ遺憾な限りです。

しかしこれ、私のメインPCはLinuxで、Win10機はいずれもサブ機だからまだいいものの、メインPC利用の方は悲惨でしょうね。南無。

(その後追記)
Windows10リリース後、初の累積アップデートKB3081424が来ました。という事で、表示周りの不具合が修正されている事を期待して早速これを入れてみたのです。結果、少なくとも画面ロックのタイムアウト設定無視については解決された様子で一安心。もっともその他の不具合については発生のタイミングが不明につき直ぐに分かる性質のものではないのでしばらく様子見が必要ですが、同様に治っているものと期待したいところです。さてどうかな。

(さらに後日追記)
・・・と思っていたら、画面ロックの設定時間無視が再発しました。数分入力していないとロックされてその都度パスワードを打つ羽目に。。。Nadella sucks.

[前記事 [note] Win10アップグレードという名の地雷を踏み抜いてみました]
[元記事 [note] Windows10アップグレードはやはり地雷]

(そして解決)

結局、自力で修正する羽目に。デフォルトでは表示されない設定項目を弄る必要があったのでした。やれやれ。

[続き記事 [note] Win10のモニタOFFタイムアウト設定を無視する現象の修正方法]

8/01/2015

[note] Win10アップグレードという名の地雷を踏み抜いてみました

さて。準備をして望んだリリース日とその翌日に渡ってほとんど放置された挙句音沙汰もなくなり、インストールの実行に辿り着く事すら出来ずに終わったWindows10のアップグレードですけれども。このまま諦めるのも一案ではあるものの、わざわざHDDのバックアップまで取ったのだから一度はやっておこうと思い直しまして。一日空け、概ね出揃った感じのworkaroundを確認の上、再トライしてみたのです。

結果から言えば、成功しました。Win8.1からとWin7Proからの2台とも。手順は概ね以下の通り、インストールメディアを作成して行うのではなく、トリガー部だけを手動で起動する方法を選択。これなら、アップグレード自体は標準のパスで行われるため自己責任にはならず、また失敗も起こりにくい筈な点を考慮したのです。それでも、失敗した時のためにメディアはPro用とHome用、それぞれ32bit64bit兼用のものを作成して準備だけはしておきましたけれども。

<手順>
1. \Windows\SoftwareDistribution\Download以下のファイル・フォルダを手動で削除。
2. コマンドプロンプトをadmin権限で開き、wuauclt /updatenowを実行。
3. WindowsUpdateからWindows 10のダウンロードが開始されるまで1-2を繰り返す
4. 順次表示されるインストーラ画面の指示に従う

まず、1が必要な理由は、WindowsUpdateがインストールの開始に失敗すると、自力で修正出来ないらしいためです。[更新プログラムのインストール日時:]の日時の横に、(失敗)とあればその可能性が高いでしょう。更新履歴の表示を見てみると、下図のように[Windows 10 Home(Pro)にアップグレード]の更新適用に失敗した旨ログが残っている筈。エラーコードは大半が80240020のようですが、Win7Proの方ではC1900208も混ざっていました。
そこでリセットしてやる必要があるわけです。なお、必ずしも一度で成功するわけでもありません。私の場合、Win7Proの方は一回で済んだんですけれども、Win8.1は7回目位でようやく成功でした。ともあれ、1-3の措置が奏功すれば、下図のような画面が出てダウンロードが開始されるのです。
なお、Win8.1では、ダウンロード終了後に現れる再起動ボタンがアップグレード開始のトリガーになっていました。一方、Win7Proの方では、途中で中断し、下図のようなチェックを促すメッセージが表示されたり、
また、下図のような開始用のダイアログが表示されたりと、少しばかり面倒な感じになっていました。何故にこのような違いが出たのかは不明ですが、挙動の不可解さについては今更でしょうし気にしても無意味かなとスルー。
Win7Proの場合に出たこの画面は、おそらく準備完了通知からアップグレードする場合と同じ、すなわち標準のパスに沿ったものだろうと思われますし、むしろWin8.1の場合にスキップされた事の方が異常だったのかもしれません。なお、上図のライセンス条項への同意等については、Win8.1の時は再起動後のインストール実行の直前に同様の内容の確認画面が出て来ました。多分、メディア経由の場合のパスだと思うのですが、まあどちらでも同じ事だろうしやはり気にする必要はなかったのでしょう。
ともあれ、こうしてアップグレードの実行にまで辿りついたわけですが、此処から先はほぼ一本道で、特に問題もありませんでした。強いて言えば、何かとレポートだとか連絡先へのアクセスだとか、プライバシーの侵害を許諾させようとして来るので、それを一々確認して解除するのが面倒だった位でしょうか。小さく表示された(詳細設定)を選択してそこから解除する仕様になってたりしましたから。

起動後も、第一にやったのはその辺のプライバシー侵害設定の解除です。スタートメニューの[設定]-[プライバシー]から数十個はあるオプションの解除と、[システム]-[通知と操作]の項目類、[更新とセキュリティ]-[Windows Defender]の[クラウドベースの保護]とか[サンプルの送信]等。いや面倒です。しかもこれ、上記で同意したライセンス条項の中に情報の送信に同意してるためか、[プライバシー]-[フィードバックと診断]の、[デバイスのデータをMicrosoftに送信する]が完全に解除出来ないんですよね。デフォルトが[拡張]で、推奨が[完全]、縮小するにも[基本]にしか出来ないみたいなのです。とても気持ち悪いわけですが、ライセンスの管理上必要なのは其の通りだろうし、これくらいはと諦めるより仕方ないところでしょうか。

とりあえず動作は概ね問題ありません。ただ、標準のフォントがどう見ても歪で、控えめに言っても美しくない点は正直残念だし、ウィンドウ枠がほぼ無くなったデザインも微妙な感じがします。他にもWin8.1はLenovoのノートPCなのですが、[Lenovo Companion]とかいう謎のアプリが勝手にインストールされてたり。その他の不要なアプリ類と共に即アンインストールしましたが、この強制アップデートはやはり気持ち悪いですね。リスクもやはり高そうですし。一部で言われてるような軽さも感じません。他にも、タスクバーが自動的に隠れなくなる不具合にも遭遇しました。Win8.1の時の一々全画面に移行する事が無くなった点は喜ばしいのですけれども、むしろそれは改悪がようやく撤回されたに過ぎないわけだし、率直に言えば、設定等の使い勝手、プライバシー周りの妥当性、あと見た目とか、概してWin7の方が上だなと思う次第です。

ともあれ。とりあえず移行は完了した事だし、まずは様子を見てみるとしますか。やれやれです。

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そして襲いかかる苛立たしい不具合。地雷だと分かってはいましたけれども、Microsoftの開発体制に疑問を感じるのです。この程度で済んで御の字と思うか、ユーザに害を成して恥じないその姿勢に遺憾を覚えるかはそれぞれでしょうが、個人的にはこれは無いと思う次第です。

[続き記事 [note] Windows10の表示周りに不具合頻発]

[前記事 [note] Windows10アップグレードはやはり地雷]

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リリースからしばらく経って、予約もしてないユーザのPCにアップグレード推奨が表示されるようになったそうで。知人のPCで対処をする羽目になったんですが、その鬱陶しいあれこれが中々消えてくれず、無効にするのに骨が折れました。その時のメモが以下。

[関連記事 [note] 迷惑なWindows10のアップグレード推奨を無効化する方法]

7/30/2015

[note] 傘の折れた骨を補修

先日、日差しの厳しい最中、日傘を差して歩いていたんですが、とある橋の上でぴゅうっと吹いた風にあおられて、ポキンと骨が折れてしまったんです。その傘はまだ数える位しか使っていなかったものにつき流石に買い換えが躊躇われまして、ここはひとつ修理してみるかと。

折れた場所とその折れ方は下図の通り。これは折りたたみ傘なんですけれども、そのリンク部分の骨が折れて外れてしまっています。只でさえ弱いアルミの骨が、さらにリンク穴の分弱くなっているところ、そこに応力がかかってあえなく折れた、というわけです。あまりに残念な貧弱さに愕然とせざるを得ません。
これを、添え木的な金具にはめ込んでつなげます。この金具、先端部分とか色々な部品が入ったキット的な形での販売が主流らしいのですが、当然ながら余計な部品は不要だし、いささか割高でもあるようにも見えたので、今回は某ホームセンターで販売されていた個別売りの部品を調達しました。和気産業製のUS-017という、大きめ(太め)の骨用の金具です。四個セット税込みで200円弱、一個あたり40円ちょい。それ位が適正でしょう。鉄製で、当然ながらアルミの骨とは段違いの剛性があります。
さてその取り付け、まずは太い方から。隙間なく嵌まるよう、ペンチで少し広げたりしておいてから骨に合わせ、爪を骨ごとペンチでカシメます。後でぐらついたり抜けたりしないよう、2つの爪を骨に食い込ませる形でそれぞれギュッと。
次いで、リンク部分と、それを挟むようにもう片方の骨を合わせ、同様にカシメます。これ、骨組みの内側だし狭いしで、ペンチで締めるのが大変。慎重かつ迅速に、少しずつ調整しながら固定していきます。
あっちから締め付けてはこっちから締め付け、を繰り返す事数分、なんとか上手く取り付け完了。リンク部分が外れたりしないか少し不安ですが、とりあえずは繋がっているようです。
開いてみても、とりあえず元と同等以上の強度はある感じ。といってこれはむしろ元の骨が貧弱過ぎると言うべきなのかもしれませんが・・・。そもそも折れたのも強風とかいうわけでもなく、少し風に煽られた程度だったのです。軽いのはいい事だけど、流石にこれはね。今回とは別の骨もまた直ぐ折れそうで不安が掻き立てられます。うーん。
ともあれ、とりあえず使えるようにはなりました。やはり不安のあるリンク部分をもう少し補強するかもしれませんが、まずはこれで一度使ってみようかと思うのです。ちょっとでも風があったら使用中止する心づもりで。あまりビクビクしながら使うのも不本意ではありますが仕方ない。というわけで今回はこれでおしまい。

[note] Windows10アップグレードはやはり地雷

さて、この程リリースされたWindows10ですけれども。予想通りというか、結構な割合でインストール失敗とか、成功しても不具合だらけだとか、酷い事になっているようで残念です。

といって、私の所ではそれ以前の段階なのですけれども。Windows8.1とWindows7Proの2台をアップグレードすべく、HDDのバックアップを取った上で予約し、当日は早朝から起動して観察していたのですが、まる一日以上経ってもインストール手続きに進むことすら出来ませんでした。その間の経緯を簡単にまとめると以下の通りとなります。

 <当日〜翌日の経緯概要>

・当日・朝方
 Win8.1の方で"Windows Modules Installer Worker"プロセスが断続的に稼働。\Windows\SoftwareDistribution\Download以下に幾つかファイルが生成されているのを確認。一方、Win7Proの方は音沙汰なし。

・当日・午前中
 Win8.1、Win7Proとも、何も動かなくなる。バックグラウンドでGWXプロセスは存在しているが、稼働率0%のまま。イメージのダウンロード等がされる兆候もない。Windows10入手アイコンからアプリを起動しても、まもなく入手可能になる旨のメッセージが表示されるだけ。「入手可能になったら通知する」ボタンを落としても何の変化もなし。

・当日・午後
 そのまま何も変わらず。

・翌日・朝方
 前日から変わらず。仕方がないので、一度再起動する。すると、 Win8.1の方ではWindows10入手アイコンが消え、バックグラウンドのGWXプロセスすらも消える。再起動を繰り返しても変わらず。\Windows\SoftwareDistribution\Download以下に前日ダウンロードされていたファイル・フォルダ類も消滅。Win7Proの方はアイコン・プロセス共存在するが、稼働しない点は変わらず。なお双方とも、WindowsUpdateに「予約が完了しました」の表示はされている、ただし詳細を表示するリンクはクリックしても反応しなくなった

・翌日・午後 (追記)
 Win8.1に続いてWin7Proの方もGWXプロセス及びアイコンが消滅。

というわけで処置なしです。この間、テンポラリのイメージ保存フォルダとされるc:\$Windows.~BTフォルダは一度たりとも生成されていませんでした。どうなってるんでしょう。覚悟はしていましたけれども、経緯の説明も何もないというのは酷すぎると思うのですよ。

推測するに、今日になってアイコンすら表示されなくなったのは、不具合頻発につき配信を一時停止したからじゃないかと思われるところです。が、それならその旨アナウンスの1つもあって然るべきだと思うのです。数カ月も前からアナウンスして予約を促し、実際に「まもなく」とまで表示しておきながら、何らの説明もなく停止して放置とか、正気とは思えません。ユーザにもそれなりの準備と対応の手間が掛かっているのですから。数十分間隔でチェックを繰り返した手間と時間を返せと。その杜撰かつ不誠実さには、今更ながらに怒りを覚えます。このままローンチに失敗して、会社ごと潰れればいいと思いますよ。ええ。そうすれば心置きなくWindowsを捨てられますから。

インストールに成功した、もしくは手動インストールした方々からの阿鼻叫喚の報告の山を見る限り、インストールに進めなかった事自体はむしろ良かったと思うべきなのでしょうけれども。何にせよ、現時点でWindows10のアップグレードは地雷と言っていいでしょう。これもタダほど高いものはない、の一種というべきか、少なくとも、様子見をした方々は、少なくとも数週間はそのまま保留にするべきものと思われます。お気をつけ下さい。

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その後、情報収集して準備の上、地雷を踏み抜きにかかりました。一応成功はしたんですが、色々と微妙な気分です。
[続き記事 [note] Win10アップグレードという名の地雷を踏み抜いてみました]

7/10/2015

[note] Ubuntuのlogin時、$TERM変数未定義エラーが表示される現象への対処について

ちょっとした備忘メモ。Ubuntuのログイン時、デフォルトターミナルの変数$TERMがundefinedな旨のエラーを示すダイアログが表示される場合があったのですが、その簡単な調査と対処法を確認したので。

具体的には、ログインプロンプトからユーザ名とパスワードを入力した後、下記のメッセージが表示される現象についてです。

"setterm: $TERM is not defined in /HOME/[ユーザ名]/.profile"

と言っても、これは単なる警告に過ぎず、[OK]ボタンを押すとそのまま普通にログイン出来ます。鬱陶しいだけなので放置していたんですけど、気分はよろしくありません。

しかも$TERM変数が定義されない、という割に、ログイン後に確認してみれば$TERM=xterm等と定義はされているのです。要するに、ログイン処理中の変数定義・チェックの順序不整合が原因と考えられるわけで、確かにそれなら大した問題にはならないだろうと。

で、.profile読み込み段階で不整合が誤検出されているというのなら、そこに修正を加えてやればいいだろう、と思われたわけなんですが、TERMの定義を追記しても変わらずエラーダイアログが表示されます。どういう事なのかと、デフォルトの/etc/skel/.profileと比較してみたところ、自分で追加した変数の定義に加え、下記のターミナルオプション設定が差分にひっかかりました。

setterm -blank 0

これが最後尾に。これはターミナルの節電用画面ブラックアウト時間のオプションで、デフォルト端末の定義云々とは本来関係ない筈なんですが、これが裏でTERM変数とかそれに関係する諸々をチェックしてるのかなと。おそらく自前で追加した変数の設定等と区別出来なかったために仕様変更時に削除されず、そのために齟齬を来していたんだろう、とも。というわけで、 これを無効にしたらエラーダイアログは出なくなりました。

解決した事自体は喜ばしい事です。なんですがこれ、.profileに自前のユーザ変数定義を書き込んでいたのが問題だった、という結論になるわけです。しかし、それは自業自得かと言うと疑問無きにしもあらずです。というのも、.profileは.bashrcを読み込む仕様になっていて、ユーザが通常通りbashを使用し、.bashrcをいじるのならおそらく今回のような問題は発生しないように思われるところ、しかし少し前に起こったbashの致命的脆弱性の件以来、私はbashの使用は躊躇われるのでcsh系のtcshを使っているのです。なもんだから、変数を設定するには.bashrcは使えず、.profileが適切なんですよね。しかしそうするとアップデートから漏れると。Canonicalからすれば、デフォルト外のシェルまでサポート出来ないと言う事だろうし、対応しようとすればコストもかかる話だから、ある程度は切り捨てるのも仕方ない事なんでしょうけど、本来シェルはディストリビューションによらず、unix系システムを使うにあたって一番ユーザがこだわるところで、自由に選択し得えて当然の箇所な筈なわけで。どうにも不満の残る次第なのでした。 ともあれ、これでおしまい。やれやれです。

[過去記事 [IT] bashに最悪の脆弱性発覚]

7/09/2015

[biz] Microsoft旧Nokia携帯部門リストラ7800人、76億$減損

MicrosoftがNokiaのスマホ事業買収時ののれん減損で76億$の損失、併せて当該部門の7800人程度のリストラを発表しました。

どうせこうなるだろうと誰もが思った結果になった、ただそれだけの事なんですが、それを認めるのに随分と時間がかかったものです。モバイル専用OSの系列自体、Windows10でデスクトップに吸収される形で消滅する運びにつき、もうこれ以上先延ばし、言い逃れは不可能になったとかいう話なんでしょうが、そこまで追い込まれないと動けないというのも、現在のMicrosoftの硬直化ぶりをよく表していると思います。難儀な事ですね。せめてもうちょっと段階的にとか出来なかったものなのでしょうか。

ですが、予想もされていた話ではありますし、資金にはまだまだ余裕のある会社は無論、リストラされる社員も贅沢を言わなければ再就職先に困る事もないでしょうから、 外野がそんなに気にするべきものでもないのかもしれません。目の前の問題は中国関連企業の方か、と言ってもそっちは全部が全部偉い事になってますし何処から見ればいいのやら。Alibabaは今のところ全体に比べると落ち方は比較的緩やかなようですが、結局のところ不可避でしょうしいつまで持つのかな、とか。さてさて。

Microsoft plans 7,800 layoffs, $7.6 billion Nokia write-down

7/06/2015

[pol] ギリシャの社会保障削減拒否、瓦解する欧州の夢

ギリシャで財政縮減策受け入れを問う国民投票が大差で否決され、改めて当国民の意思に変わりがない事が示されたそうですね。

結果としては概ね理解し得るところです。現政権の成立の経緯からしても、受け入れた場合のデメリットにしろ、国民が今更転換を受け入れられないと思うのは当然でしょうから。もっとも、これで従来通りの他国の支援は実施しづらくなりましたから、国内に無い袖は振れず、結局は実質的に年金削減等の縮減策を実施せざるを得ない点は変わりがないんでしょうけれども。

それでも、自主的な国家運営の結果か、外国の要求に屈してするかでは、やはり小さからぬ違いはあると言えるだろうのも事実なのであって。極言すれば、仮に結果としては変わらずとも、国家運営の主権を金策のために放棄する事を拒否したと見れば、それはそれで十分に正当性があると言えるのでしょう。そもそも借金を借金で返しても先送りにしかならないわけですし、現実として返済が不可能である以上、それなら踏み倒すなり破産するなり、清算に踏み込む事を含め、それにどう対応するのかは、当事者の問題、あり得べき選択というものではないかと思うのです。

そもそも、赤字だから社会保障費を削れ、というのは、借金を背負った家庭に口減らしをしろと言っているようなものであり、一般に不法なのであって、私企業のコストカット等と同じように扱う事自体不適切な筈なのです。EUの他の国も同様に困窮しているというのならともかく、そうではないのだし、この種の生活保障は国家運営上不可欠なものなのだから、EU国家間で共通して補完するべきものだと個人的には思うのですが。

財政赤字が問題なら、生産性を改善するべきなのであって。私企業経営者がするように単に切り捨てればいいというのは無責任というものです。少なくとも、国民の代表者たる政権が取っていい方針では有り得ません。産業振興策を取るなり、全体的に労働時間が短すぎるというのなら長時間労働を容認するなりすればいいのです。その前に、生活基盤たる社会保障費から削りに行くというのは、流石に有り得ないだろうと。それを拒否した今回の結果は、主権国家の国民のそれとしてはむしろ当然と理解し得るものだと思うのですよ。

もっともギリシャに取っての今後は、仮に可決されていた場合と比べても大変になるでしょうけれども。しかし単に老人を切り捨てて終わり、というのが安直で簡単に過ぎるだけなのであって、何らかの能動的な解決を図るのなら、どうしたってそれよりは大変になるのは分かり切った話、それも致し方ないところというもの。EUは社会保障費位は直接負担をするべきでしょうが、もしそれを拒否すると言うのなら、それはもはや共同体とその一員との関係ではないと言うべきところ、袂を分かつのが筋だと思われるわけですけれども、さてそこまで割り切れるのかどうか。

そもそも経済的な面だけを共通化した国家連合というのに無理があったんだろうと思ったりもするんですけれども。ロシア絡みの事といい、英国の脱退が公然と主張される事といい、都合のいいところ以外を捨象して作り上げられた欧州の夢は、やはり夢、 儚くも散る定めにあるのでしょうか。それとも踏みとどまり、今後は負の側面も正面から協力し、連帯を強めるのでしょうか。後者の方が望ましいのは無論ですが、現状では想像しづらいのがなんとも残念です。

6/20/2015

[law] 殺人犯手記出版、公然たる不法行為の異常

神戸児童連続殺人事件の犯人による自伝出版の件、てっきり速攻回収されるものだと思っていたんですが、物議は醸しつつも何となくそのまま販売継続中なようで。どういう事なんだろう、と少し首をひねっている次第なのです。

というのも、殺人等被害者遺族の精神面については過去の判例等からして法的な救済・保護が与えられるべきものと認められているのでありまして。しかるに、この種の書籍の出版は往々にして遺族に多大な精神的苦痛を与えるものであるし、実際に本件被害者遺族は出版前後を通じて明確に被害を訴え、併せて回収も求めているのですから、既に不法行為である事は疑いようのないところなわけです。出版社は公益性を主張して正当化を図っているようですが、遺族に苦痛を受忍させるに足るものとは到底認められないでしょう。実際に遺族側が裁判に訴えれば、出版の差し止めと賠償は無論として、回収等の遡及的な被害回復措置の強制までも認められる可能性は非常に高い、というか殆ど確実なように思われるところです。

なんですが、出版元の太田出版は遺族の意向を完全に無視して出版を強行し、非難を受けても逆に逆撫でするかのような反論コメントを出して当然のように継続、あまつさえ重版しようとしているんだとか。 話題性が高いのは事実だし、炎上商法として見れば今のところは成功している、と言えばそうなんでしょうけれども、それにしてもここままで明確に違法性を帯びているものを公然と強行するのはどうなんだろうと。その異常性には正直引きますし、恐怖を感じさえします。

法的には無論、社会的にも大多数からは到底容認され得ないだろうし、このまま行けば普通に起こされるだろう訴訟の結果、莫大な賠償や回収を強いられて、差し引きすればむしろマイナスになる可能性とか考えないんでしょうか。それも込みで博打を打ったか、もしくは目先の売上が目的か、はたまた単なる愉快犯か。いずれにしても論外と言わざるを得ません。それ以前に法規範を軽視する、というよりはむしろ積極的に犯し、今なお苦しむ遺族を害して恥じない殺人犯及びその共謀たる出版社の振る舞いと、それを容認する声も聞こえてくる社会の現状には、深い失望を覚えずにはいられないのです。このような不法状態が一刻も早く是正され、被害者遺族に早急かつ十分な保護・救済がなされるよう願う次第です。

本件は成年の犯行であれば当然に死刑に処せられていただろう犯人が、少年法の規定によって免ぜられた帰結でもあるところ、被害者遺族に対して被害を一方的に受忍させた挙句のこの始末。その到底正当化し得ない不均衡・不正義を前にして、近年特に高まる一方の少年法への非難がより一層勢いを増す事も殆ど必然の結果と言えるでしょう。いっそ、死刑相当の凶悪犯については保護規定を撤廃する等の改正が提起されればとも思うわけなのですが、さて。

神戸連続児童殺傷事件、元少年の手記に広がる波紋

6/19/2015

[biz law] トヨタ初の女性常務役員Julie Hamp、就任2ヶ月で麻薬密輸入し逮捕

トヨタの広報トップ、いや正確にはNo.2か。彼女が薬物密輸で逮捕された件、またとんでもない話で驚きました。

容疑者はJulie Hamp、トヨタ公式によれば、元々はGMのVice Presidentを長らく務めた後、同じくVPとしてPepsicoへ移籍して数年後に米トヨタのVP及びCCOを経由し、この春にトヨタ本体の常務役員として渉外・広報本部の副本部長に就任していた、とのこと。常務役員というのは法的な意味での役員というわけではなく、あくまでトヨタ社内での役職に過ぎないながら、実質的に執行役と同レベルすなわち各部門のトップに位置づけられる上級職に当たります。以前から政府が批判まみれでゴリ押ししようとしているところの女性の役員登用の推進、その政策を象徴する人事としてニュースにもなっていました。個人の名前まで覚えていた人は殆どいないでしょうけれども。

容疑は麻薬取締法違反、具体的には違法薬物の密輸入。成田の税関で引っかかりました。問題の薬物は、鎮痛薬等として規制されているOxycodoneの錠剤。原料はケシ類で、当然ながら幻覚作用や依存性といった麻薬一般の副作用も引き起こす危険な薬剤です。モルヒネと似たようなものと言えばいいでしょうか。従って、その所持・利用には相当の理由と、それに基づく公的な許認可が必要になる代物です。逆に言えば、予め許可を得れば処方もされ得るし、輸入も可能なのですけれども、そういった手続きを取らずに密かに輸入しようとしたところ、税関検査で露見して御用、というわけです。そうそう検査なんてされない、と高を括ってでもいたんでしょうか。

ともあれ、許可無く輸入した時点で、紛うこと無き違法行為につき逮捕は当然の成り行きと言えるでしょう。ただ、その先は少し考慮が必要です。この種の麻薬系の薬物の規制の程度は国ごとに結構違いもあって、本件輸入元であるところの米国は特にここ最近薬物の合法化が進められている事もありますから、その有責性の軽重は個別具体的に事情を考慮する必要があるわけで、氏の受けるべき非難等の程度は一概には判じ難い面もあるわけです。例えば、米国在住時には普通に処方を受けていて、日本でも別途処方を受けていたけれども、米国に保管していたストックを使い切るために取り寄せたところ、その際に事前の許可が必要な事を知らなかったか失念していた、といった事情なら、それ程悪質性は高くないものと評価され得るでしょう。

なので、逮捕の報に驚きつつも、詳細が続報されるのを待っていたのですが・・・果たしてその実は、本人にそのような強度の鎮痛剤を服用すべき健康上の事情はなく、かつ輸入に際しても品名に薬剤とは記載せず、全く関係ないネックレス等として、中身もそれらで薬を隠すようにしていたというのです。それが事実であれば、その目的、手段共に、典型的かつ最も悪質な類の、確信的な不正利用目的での麻薬密輸入としか理解し得ないものであり、従って当然にその他の麻薬犯罪と同じ程度の非難と刑罰が課せられるべき酷い犯罪と評価するしかないのです。もう色々と考えていたのが馬鹿馬鹿しくなる位の話で、全く以って時間の無駄でした。勝手に考えておいて言うのも何ですが、遺憾な限りです。

しかし、なんなんでしょうこの人。仮にも大企業グループの役員を歴任して来ておいて、何故にこんな稚拙かつ悪質な犯罪を犯しうるのか、いささか理解し難く思われてなりません。しかも広報担当でしょう?各国の法や習慣、社会の性向等に明るく、親和性も高い人物が就いて当然な筈なのですが、何がどうしてこんな(日本社会に対して)反社会的な人が据えられてしまったのでしょう。本当に件の女性登用のノルマ達成だけを目的とした人事だったという事なのでしょうか。確かに、経歴とか見た目とか女性であるとか、外見さえ良ければそれでいいと割り切った結果だとすれば、成る程そうかと理解出来なくもないところです。そう思って見てみれば、本部長ではなく副本部長というのにもお飾りっぽさが漂っていて見えて、整合する気もします。だとしたら、形式的に過ぎた、実質面で不適切な人事の自業自得として、案外この結果も必然と言えなくもないのかもしれませんね。

いや、女性閣僚の不祥事の件の際には、まさか民間ではそんな自殺に等しい愚かな真似はしないだろうと思っていたのですが。真っ先にかような人事を平然とやらかすとは。。。あのトヨタが、と意外に思うべきか、それともやはり日本を代表する企業、悪い面でも象徴的だ、と呆れるべきなのか。少なくとも愕然とせざるを得ないのです。この様子だと、他所も推して知るべしでしょうし、下の方は何をかいわんや、もっと酷い事になってそうです。いやはや。ご愁傷さまといううか、阿呆ですねえ。全く以って笑えませんが。

あと、まさかの上にもまさかとは思いますが、その薬、交際等の業務に利用していたなんて事は・・・流石にないですよね?本件の異常ぶり、というか、本件を平然とやってしまう位の人物なのだから、と有り得ないと言い切れないあたりが恐ろしい。ここから芋蔓式に、とかなったりしたらとか考えるともう。。。くわばらくわばら。まあでもいい機会なのかもしれませんし、司法関係者にはこの際徹底的にやって頂きたく思う次第です。

ビニールで箱梱包、麻薬小分け=内容物は「ネックレス」申告-トヨタ常務密輸事件

それで、本件を受けたトヨタのコメントの白々しい事。法を犯す意思がなかったと信じているだとか、この状況で何を世迷言を、と呆れる他ないわけです。むしろ何故そう思えるのか、相応の具体的な根拠とか理由があるなら是非聞かせて頂きたいものです。まさか他の役員や社員も同じ穴の狢だから、とかいうんじゃないでしょうね。

トヨタ社長「仲間を信じ、捜査に協力」 役員逮捕

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6/07/2015

[note] Ubuntuサーバに外付けHDD追加後、再起動時にエラーで止まる不具合への対処

最近、サーバにデータストレージ用に外付けHDDを増設したところ、その初期設定中にちょっとしたトラブルに遭ったのでメモ。なおサーバのOSはUbuntu(15.04,64bit)です。

と言っても、おそらくは遭遇する可能性自体そんなに高くないだろう事象なんですけれども。何かというと、初期化やマウントの設定等の後、再起動時に当該ドライブが見つからず、エラーを吐いて止まってしまうようになったのです。

その内容を説明する前に。エラーに至るまでの初期化等の手順は、大まかに以下の通りです。

1.稼働中のubuntuサーバにHDDをUSBで接続し、自動マウントされたものを即アンマウント
2.ドライブ内の初期パーティションを全て削除し、[Linux Filesystem]形式のパーティションを作成
3.作成したパーティションをext4でフォーマット($sudo mkfs.ext4 /dev/sd*1)
4.マウントポイントを作成し、手動でマウント
5./etc/fstab にUUID指定でオートマウント設定記述追加

以上の作業の後、再起動したわけですが、"Error: no medium found at /dev/sd*1"とか言う感じのメッセージと共に緊急モードへのログインプロンプトが出て止まるのです。Ctrl-Dで再実行、等ともあったのですが、試しに再実行してみても、同様のエラーメッセージが出て元に戻るばかり。再起動してみても変化もなく、仕方ない、と諦めてそこからログインして確認したところ、当然ながら追加したドライブはマウントされていないものの、ハードの認識はされています。従って、ドライブに問題があるのではなく、ファイルシステム側でマウントに際してドライブを見失っているだけ、という事になるのですが。。。これは妙な事になった、と首をひねった次第なのです。

というのは、上記5.にある通り、起動時マウントの設定はマウント先ドライブのUUIDを指定して行っているのだから、ドライブが認識されている以上、本来なら見失うなどという事は起こりえない筈なのです。どういうことなのかと。フォーラムのログを漁ってみても、今ひとつコレという情報も見当たりません。と右往左往することしばし、埒も明かず。

何らかの不具合な事は明らかながら、既知の事例が見当たらず、原因もわからない以上は自分で試行錯誤するしかないわけで。面倒な事になった、とため息を吐きつつ、workaroundの検討をする羽目になったのでした。経過の詳細は省きますが、fstabの設定を元に戻したり、その他のストレージ類を付け外して干渉の有無をチェックしたりと、色々と確認してみたのです。

その結果ですけれども。問題は解決し、正常に起動し、当初の意図通りマウントもされるようにはなりました。やれやれです。原因は、多分に推測が入るのですけれども、おそらくは上記手順の内、1.がまずかったのだろうという結論というか推論に至ったのです。具体的には以下の通り。

まず、上記1.のように既にリムーバブルドライブが接続されているところにリムーバブルドライブを追加する場合、既存ドライブより後ろのアルファベットがドライブレターとして割り当てられます(/dev/sd*の*の所)。

その状態で上記2.から5.までの作業を行うと、システム側に、そのドライブがそのドライブレターでマウントされた旨記録され、その後の再起動時にその記録を参照・照合して再マウントしようとしているようなのですね。(チェックをしているだけなのかもしれませんが、外からは同じように見えるでしょうしその辺は判然としません)

で、再起動の際、ドライブレターに変更が無ければ特にそれが問題になる事は無い筈なのですが、外付けドライブの場合、ドライブの検出順に割り振られる結果、再起動前と異なるドライブレターが割り振られてしまう事があります。※実際、私の場合は再起動前後で変わっていました。

すると、ファイルシステム中の記録と齟齬を起こし、ドライブ自体は検出されているにも関わらず、マウント対象とは認識出来ずにエラーとなってしまう、という事になっているようなのですね。

あくまで推測ですが、再起動前のドライブレターがエラーメッセージに出る以上、そう解釈する他無いように思われます。そうだとすれば、なんという間抜けな、というか。そもそもそういうエラーを避けるためにドライブをUUIDで指定してる筈なのに、それじゃ意味が無いと思うのですよ。この結論に至り、解決法を見出すまでに何回も再起動をさせられ、時間を浪費する羽目になった身としては、文句の一つ位は言う権利もあるだろうとも。なお、本件事象は、ext4だからなのかとか、具体的に何処のプロセスでの事なのかといった詳細は未検証につき不明です。

ともあれ。本件不具合の原因は、再起動の前後でのドライブレターの齟齬にある、とすれば、それを回避するには、その齟齬を無くせばいいわけです。その方法は色々あると思いますが、例えば以下の手順を踏めばいいでしょう。

f1./etc/fstabの記述を追加前の状態に戻し、再起動(各種ドライブは接続)
f2./etc/fstabに記述追加
f3.fstabに基づいて再マウント($sudo mount -a)

こうすれば、起動時のドライブレターでマウントされた状態が記録される事になります。これで解決。もっとも逆に言えば、最初に接続したあと、各種設定を行う(上記1.の)前に再起動をしておけばf1と同じ状態になるのですから、そうする方がスマートと言えるだろう話なのですけれども。後から言っても仕方のない事ではありますし、今回はあくまでトラブルとその解決方法の報告、という事でこれでおしまい。やれやれです。

6/05/2015

[biz] 新製品が相次ぐ音声操作端末に見る機能と技術の齟齬、コンセプトの破綻

何と言うこともない話なんですが。最近、音声に特化した据え置き型端末の新製品が立て続けに目に止まりまして。あれです。ホームコントローラとかパーソナルアシスタント等と称される、部屋に設置しておいて、音声で会話したり天気予報を検索したり、オーディオや各種家電を操作したりする類の端末です。どれも中身が技術的に殆ど同じような感じで、今は音声関連技術のトレンド的に一種の製品化ラッシュが起きやすいタイミングにあるのかなと、ちょっと気になった次第なのです。

特に目を引いたのが、米AKAStudy社のMusio。人型のロボット然とした外観の製品で、中身はAndroidOSを採用したスマホ類とほぼ同じ。人型と言っても機械的な動作は一切せず、ただ顔にあたる部分にモニタが入っていて、表情等を変化させる機能がついています。有り体に言えば、タブレットを人形の顔部分に突っ込んだものとほぼ等価ですね。価格はCPU等のグレードや機能の有無により、$159(basic)から$599(genius)まで。これに開発キットやアドオンボード等のオプションが色々設定されているようです。

機能は概ねその中身から当然に予想される通りで、概ね文単位の簡単な音声入力を認識し、Siriライクな応答を返す会話ロボットとしての機能を持ち、その延長として各種家電の制御や外食等のレコメンデーション機能等が実装されています。

これらの機能は、デモ映像を見る限り、それなりに動作はしているようです。一昔前までの音声認識ロボットと言えば、機能面の謳い文句は似たようなものながら、その実は特定の予め登録された個々人の音声による、少数のコマンドにしか応答しない、しかもその精度も著しく低いという、はっきり言ってお粗末で話にならない詐欺そのものの代物だったわけですが、それを思えば隔世の感がありますね。

ですが一方で、まだとても実用に耐えるとは言えないとも思うのです。理由は色々と思い浮かびますが、何よりも致命的だろうのはそのレスポンスの悪さ。音声を発し終えてから、各種応答をするまでに数秒以上のラグが生じるのです。その上、認識に失敗して誤った応答をする事も少なくないようです。これはちょっと。。。音声入力の終わりを検出して、それを認識し、その内容に応じた処理を行って、応答音声を作成する、とここまでやって初めて応答が開始出来るわけで、そのラグにもある程度致し方ない面がある事は理解出来なくもありません。ですが、それはあくまで作る側の事情に過ぎず、ユーザが使えるか否かとは関係ない話なわけで。それでも我慢強く使うという人もいないわけではないかもしれませんが、大多数がそうだとはとても考えられません。残念ながらこれでは一般向けの会話ロボットとしては成立しないでしょう。

会話ロボとしては使えないだろう以上、それでも売るというのなら、その他の機能すなわち家電コントローラやネット用の端末として利用するしかないでしょう。しかし、こちらにも看過し難い問題があります。精度の低さです。このため、努めてゆっくり話しかけ、応答まで何秒も待つ必要があるのですが、その挙句にやり直しを強いられる事もしばしば。これでは思うように操作出来ず、多くの人に取って我慢ならない欠陥品との烙印を押されるだろう事は確実です。また、デモでは殆ど確認出来なかったものの、その構造から推測される不安点もあります。雑音等、周囲に他の音がある場合にエラーが増える可能性が極めて高く、通常の利用シーンでこれが問題になる可能性が非常に高いものと思われるのです。

如何にも置物らしい外観を持ち、音声により接触せずに操作出来る事を売りにするこの種の端末を、タブレットのように一々持ち歩いたりする人はおそらくいないでしょう。通常、室内の何処か、棚の中等に設置され、その室内中の任意の場所から操作されるべきものと捉えられる筈です。しかし、室内で人が発する声は、必ずしも端末へのコマンドばかりではありません。むしろコマンドの方が少ないだろう事は明らかです。然るに、ある程度離れた場所から、また様々な方向から届く声の中から、どうやってその端末へのコマンドを選別するのか。まさか端末を置いた部屋では電話も独り言もするな、とでも言うつもりでしょうか。そして、ここでさらに問題になるのは、そもそも当然ながら室内は無音ではないという事です。客人等、複数人が居れば会話もなされますし、テレビや各種オーディオから音声が飛び交って当然の環境なわけです。この中から、端末へのコマンドをどう判別するのでしょうか。

これは従来から音声入力を操作に用いるデバイスでは問題になって来た点で、例えばGoogle Glassでは、操作者からの距離で環境音との区別を図り、かつ入力前に"Ok,Google"とトリガーを発声する仕様にして本人の発する声の中からコマンドを判別する仕様となっていましたが、それでも誤認識は解消出来なかったそうです。今のところ、音声のみによる操作を採用したデバイスで、この問題を十分に解決する方法を発見し得たという話は聞きません。必ず、音声以外の情報による補助、離れた位置からの音声は除外し、マイクアレイ等によって方向を限定し、さらに画面等のタッチによるトリガーを加える等、何重もの限定処理を加えてなお誤りを排除し得ない、というのが現状と言います。要するに、任意の位置から任意のタイミングで発せられる音声には対応出来ないというわけです。ここ最近のデバイスも、おそらく例外ではないのでしょう。

これはすなわち、そういうコントローラやネット端末としても、そのコンセプトに沿った使用には到底耐えないだろうという事になるわけです。そりゃそうです。何らかのコマンドを入力しようとする度にその場の全員が声を潜め、テレビやBGMを全てミュートにしなければならないコントローラなど、誰が使うというのでしょう。しかもそれがラグまみれのうすのろで、声を発する度に無音の状態を何秒も待たされるというのですから論外です。従来通り、ボタン等の確実に動作するリモコンやスマホを取り上げて操作する方がよほどスムーズかつ確実で、合理的なわけですから。

もし、周りでどのような声や音が飛び交おうとも、その全てを適切に認識し、自身へのコマンドや呼びかけを適切に拾い、応答を返す事が出来るというのならば、遅延は酷くとも全く使えないという事もないのでしょう。しかし、実際の所それは技術的にあまりに困難である事は明らか、watsonレベルのデータベースとプロセッサが当たるならまだしも、一般向け程度の端末にそのような処理能力があろう筈もないわけで。

おそらくはむしろ逆、すなわちそういう処理能力の低さ、精度の悪さが拭い難いものであるが故に、頻繁に誤りがあっても許されうる用途として"会話"を主機能に出しているのではないかとも思うのです。そう考えると、何とも残念というか姑息というか。本来、会話というのは十分な知性、言い換えれば認識の精度や速度といった能力が基礎としてあって初めて成立するものであって、簡単な文を機械的に認識し、応答を返すだけで成立するとはとても考えられないのですが。。。要するに、製品のコンセプトが矛盾を来し、もはや破綻していると思うのです。

なお、中のハードはじめ技術的には殆ど同じと言えるだろうAmazonのEchoは会話を排し、というか外観からしてロボットというより音声認識機能を付けたスピーカーというべき代物で、機能面もネットショッピング等コントローラ端末に特化しているため大分毛色が違いますが、それはそれでやはり音声認識等の速度・精度面で難がある事には変わりなし。特に誤認識率の高さについては、そんな不安定なものを買い物に使うのは怖いと思う人は多かろうし、こちらもコンセプト自体に齟齬があるんじゃないかなとも思うのですが、Amazonはどう考えているのでしょうね。

あと、何かタカラトミーが20000位で似たような機能の会話ロボを子供向けに投入するって話も聞こえてきましたが、価格からして、おそらくMusio以上のものでは有り得ないでしょう。 子供向けにしては高い価格と、その酷く舐めた感のある嘘満載の機能・性能が広く受け入れられるとはとても想像出来ないのですが、果たしてどうなるやら。

そんな感じで、一見洗練されているように見えなくもないものの、どれもやはり技術的にまだ実用になっているとはとても言えず、コンセプトが破綻しているだろうものばかりでがっかり、なのです。Siriに始まったボイスアプリがスマホ上でそれなりに定着した事を受け、これを使って次のビジネスを生み出したい、という意図はよく分かるのですけれども、作ればいいってものではないでしょうと。こういうシーズ先行でニーズ無視、かつ過大広告で失敗した例は数しれず、とりわけロボットで言えばペットロボは、失望の果てに跡形もなく消えました。汎用技術を基盤に採用している分安価になったものの、基本的な性質は同じもののように見える本件、結果も同じになるのか否か。さて。

Adorable AI-powered robot Musio just wants to be your friend
タカラトミー、会話ロボを家庭へ ドコモと連携

6/02/2015

[IT] 年金情報流出125万件、故意すら感じさせる国と公務員の無能

年金がやってくれました。被保険者計125万人分の個人情報流出とのことです。

本件流出情報の具体的事実は各所で十分に報じられていますから省略。原因は日本年金機構の職員が、ウィルス付きのメール、おそらくはその添付ファイルを誤って開いたために感染し、さらにそのPCから発せられたウィルスメールを受け取った別の職員がこれまた誤って開いて二次感染、これにより年金番号や氏名、住所等が記載されたファイルが流出したとのこと。

いやまあ、もはや云々するのもアレな話なんですけれども。わかっていましたけれどもね。そもそも情報を取り扱っているのがリテラシーの概念自体持っていないような人達である以上、一度攻撃を受ければ、容易くこういう事態に至り得るだろうという事は。新種のウィルスにつきアンチウィルスソフトが反応しなかったとか言い訳をしているそうですが、聞くに堪えません。

そもそも、そんな情報をメール操作のような一般業務を取り扱うPC、もしくはそれと常時接続しているようなサーバに置いているというのも論外ですし、さらにそれをオープンなネットワークに晒しているというのも滅茶苦茶です。その上、パスワードの設定すらしていなかったというのにはもう。。。言葉もないわけです。閲覧の制限すらもないというのですから。管理云々以前に、そもそも組織的に流出させる意図があったとしか思えませんね。

年金の基盤システムへの不正アクセスは確認されていない、とか一応の予防線的な付言もあったようですが、そもそも物理的にもソフト的にも閲覧制限が無く、権限も管理されていない情報に対して、何を以って適正もしくは不正と判断するというのでしょう。一々真面目に考えるのも馬鹿らしくなりますが、確認されていない、ではなく、確認出来ない、であるのは疑いようの無いところであって。むしろ、125万件以外が流出しなかったと判断し得る根拠は全く無い、とも言えるでしょう。

要するに話になっていません。一から十まで。これから導入される予定のIT企業向け税金横流し事業ことマイナンバー制度にも懸念が生じるとする意見もあるようですが、今更何をと。国の機関、またその人員には、そもそも管理する能力も意思も無い事は最初から明らかのだから、流出防止策など考えるだけ無駄というものです。

取りうる対応としては2つしかありません。当然に流出が起こる前提で、流出しても問題ない制度設計にするか、そもそも情報を持たせないか、です。要するに管理しよう、させようとするだけ無駄なのだから、最初から管理させないのです。誠に遺憾ながら、それより他に取りうる手段はないでしょう。あるなら知りたいというか、それすらもうどうでもいいような最悪の気分です。ああ馬鹿らしい。

年金情報流出:内規違反 55万件にパスワード設定されず

[biz] IntelがFPGA大手ALTERAを買収

Intelが珍しく大型買収とのことです。FPGA大手のALTERAを16.7Billion(約2兆)で。

このところ、クラウド等サーバ用の大規模高速処理向けにシフトし、汎用と特化の間で確固たる強みを有していた同社の価値が低くない事は明らかではありましたが、それにしても年間売上の約10倍、利益比約30倍というのは驚きの高評価です。昔はメディア処理用のボードとか、そこかしこでALTERAロゴの入った大きな銀色のチップが見られたものですが、その種の需要は衰え、個人の目に止まる頻度は激減していました。しかし、似たような位置づけにあった各社がそうであるように衰退したのではなく、むしろ時代に適応する事に成功していたと言うべきなのでしょうか。にしても回収出来るんでしょうかね。それなりの成算あっての事なんでしょうけれども、とそれはともかく。

従来のPC向け需要が急激な減退期に入ったIntelが似たような感じでクラウド等大手向けビジネスの強化をますます強める中、両社の方向性がマッチしたと判断されたのでしょう。IntelはFPGAを取り込んで事業を大幅に拡大しつつ既存ビジネスとの連携による強化を図ると同時に、ALTERAのFPGA事業はIntelの圧倒的な製造プロセス技術を導入する事で飛躍的な性能強化及び生産性の向上が得られる、というわけです。メリットは明らかな上、重複の懸念はあまりなく、敵対性等の今後に不安を残す要素も殆ど見受けられませんし、ステークホルダーにも規制当局にも概ねすんなり受け入れられるのではないでしょうか。実際そんな雰囲気ですし。

しかし本件、IntelがFPGAを本格的に取り込みに掛かったという事で、ARMに食われつつあるとはいえ今なお圧倒的なシェアを誇る高性能CPUをはじめとしたPCの基本アーキテクチャに加え、付加価値と将来的なものを含め需要の極めて高いエキスパートシステム的な部分も自前で賄えるとなると、関連業界内のパワーバランス的にも相当なインパクトがある筈なわけで。それがこうもあっさり受け入れられる空気になっているというのは、独禁法絡みで一々大騒ぎになっていた以前と比べると隔世の感があります。

それでもやはり波紋は大きいでしょう。FPGAの一方の雄Xilinxはこれにどう対抗するのか。普通に考えれば到底太刀打ち出来ないだろうと思われるわけなのですが、上手く居場所を確保出来るのか。AMDやARM陣営はただ静観するのか。また、今回の買収、それによるIntelの事業強化の恩恵を受けつつ、一方で競合の懸念もあるだろうIBMあたりはどう動くのか。非常に興味深いところですが、そのビジネスの性質上、外野からは個別具体的な経過は見えず、結果になるまで分からないのが少し残念な気がします。むーん。

ちなみに買収額は、直近の株価に10%程のプレミアムを付けた金額とのこと。普通それ位は付けますよね。改めて思い起こしてもスタバの件は無茶苦茶でした。

Intel Agrees to Buy Altera for $16.7 Billion

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5/29/2015

[biz law] 日本ハム、特許の効果捏造がバレて取り下げ

日本ハムが虚偽の効果を謳った特許を申請・取得し、数年に渡りライセンス収入も得ていたところ、その嘘がバレたので取り下げた、とかいう信じ難い話が。なんじゃそら。

具体的には、豚用の飼料への添加すれば従来比3倍の免疫機能向上効果が得られるとして申請し2010年に取得した乳酸菌の新種に関する特許について、申請後に内部検証で効果が無い事を認識しておきながらそのまま取得、さらに製薬会社にライセンス提供し、これまで2268万円のライセンス収入を得ていたところ、効果が無い事が露見したんだとか。

当然ながら特許は取り下げ、ライセンス料は返還するとの事ですが。製薬会社は本件の乳酸菌を配合した飼料を販売するに際し、特に免疫向上を謳ってはいない、とか言っているそうですけれども、わざわざライセンス料まで払っておいてそんなわけないだろうし、その営業トークに騙されただろう購入客にも賠償が必要でしょう。また、優良誤認につき日本ハムには刑事罰も併せて課されるべきでしょう。

しかし阿呆にも程があろうかと。恐らくは先日の理研のSTAP細胞捏造と同様、研究所の開発部隊が多分に保身のため、成果を焦ってやった事なんでしょうけど、企業の特許なんて効果が十分なら即製品化されるものだし、製品になれば当然広く利用され、効果のあるなしも真っ先にユーザの実地検証を受けるもの、早晩露見する事は目に見えていたでしょうに、何故そんな稚拙な嘘を付いたのか。免疫機能の向上というのは把握に時間がかかる面はあるにしても、隠し果せると考えた事自体が理解し難いところです。畜産業自体を舐めていたのか、単に無知だったのか、それとも先の事は何も考えていなかったのか。いずれにしても話になりません。

もっとも、毎年多数申請される特許が全て特許の名にふさわしい新規性や効果を備えているはずもなし、おそらくは本件のように単に研究・開発職のノルマ達成のためにでっち上げられた無意味もしくは虚偽の特許も特段珍しいものではないのでしょう。それらの特許群と本件との違いは、その謳った効果の高さ、実用性の点だけなのではないでしょうか。すなわち、他の虚偽特許は、効果が微妙だったりして実用に至らないために、検証もされず、従って露見もしない、それだけの事だと思うのです。

どちらも特許には値せず、無駄なものであって、公益の観点からは害悪でしかないし、その意味でいずれも非難を免れない事に変わりはないでしょう。ただ、本件や理研の捏造は、その後始末も含め直接間接に現実の被害を生む点でより悪質だと言わざるを得ません。本件の犯人たる研究者達が何を考えてその業務に従事してきたのかは知りませんが、その資格も適正もない事は明らかなのだから、即刻職を辞し、然るべき裁きを受けて頂きたいと強く思う次第なのです。 というか、犯罪に手を染めてまでその職にしがみついたところで、一体何になるというのでしょうか。全く以って理解出来ませんし、容認も出来ません。合理的に考えれば、そんな状況に追い込まれる前に潔く辞めて、他の職を探すべきと分かりそうなものに思うのですけれども。。。困ったものです。

日本ハム、豚飼料用乳酸菌で効果偽り特許登録 取り下げへ 

[関連記事 [note] 研究開発における捏造の必然性について]

[biz law] FIFA汚職立件に見る国際組織摘発の困難性

サッカーの国際組織、FIFAが大変な事になっていますね。長年、その高い経済的価値から、国際大会の開催地選定等を巡って各候補地やスポンサーから委員への贈収賄等の汚職疑惑が絶えなかった同組織ですけれども、その長年のツケを払う時が来た、という事でしょうか。

本件はいささか規模の大きな話につき、その全容を挙げて論じるのは止めておこうと思います。各所で解説はされていますしね。私が気になるのはただ一点。この種の国際組織が摘発される事自体がとても珍しい話なわけですが、どういった方法、建前でそれがなされたのかというところです。

本件の摘発に当たったのは、直接的にはスイスの当局です。FIFAの会議がスイスで開催されていて、嫌疑のかかっていた委員達がその出席のためスイスに集まっていたところ、そのホテルに踏み込んで一斉に逮捕したのだとか。管轄的には現地の担当なのですからこれは当然と言えますが、しかし本件の実体面での捜査を担当というか主導していたのは米FBIなのですね。

報道されたところによると、FBIから告発された容疑は主に贈収賄に絡んだ資金洗浄で、ニューヨーク等の金融機関を経由してなされたとの事。これに絡んで米国の各金融機関が主な捜査対象に含まれています、というかむしろそちらから発覚したと考えるべきなのでしょう。具体的には、南アフリカW杯の開催地決定選や中南米での国際大会、またそれらに関する放映権の獲得に関して、それらの金融機関を経由して隠蔽を図りつつ成された委員向けの贈収賄、特にその過程での資金洗浄が違法とされる、との事。ここで米国の金融機関が関与しているため、米国の捜査機関に管轄が生じた、という建前なのですね。で、FBIは贈収賄については特に言及しておらず、そちらはスイス当局が起訴時の罪状に挙げているようです。

米国側での主たる容疑は贈収賄ではなく資金洗浄、というところが本件の特徴的な点と言えるでしょうか。資金洗浄と贈収賄では、一般に後者の方が重い罪と見做されるものでしょう。けれども、FIFAは特定の国に属しない国際組織であり、従って贈収賄により侵害される公益の所在も特定の国に専属するわけではなく、従ってその管轄が必ずしも明確でないために、各国とも自国内での公益侵害を問う類の罪による検挙はし難い筈なのです。如何に世界の警察たる米国、その司法当局と言えど、その国に属する機関である以上、国内法の管轄内でなければ罪に問い得ない、というわけですね。対してFIFAの本部が立地し、直接的な管轄があるスイス当局にはより広範で一般的な管轄があるため、贈収賄による起訴が可能だと。逆にスイス当局にはおそらく資金洗浄についての管轄は無い筈なのですけれども。

といって、米国が贈収賄を全く問えない、というわけではないでしょう。ただ、FIFAは米国の組織ではないため収賄での検挙は困難な筈であり、直接罪に問えるのは贈賄側、それも米国籍のある者に限定されます。このやり方、すなわち贈賄側からの摘発だと、贈賄者の属する各国の司法当局が各々の管轄の被疑者をそれぞれ摘発する、という極めて煩雑な手続きによらなければならないのですね。それは流石に現実的でなく、やるとしても容疑が具体的に明らかになってからでなければ難しいでしょう。このため、今回は実現可能性や効率を重視し、米国と現地当局の二者のみで、贈収賄と資金洗浄とに容疑を分担する形で摘発したのだろう、と思われるわけです。それでも大変だったでしょうに、よく頑張りました。その努力は素直に賞賛したいと思います。
 
ただ、これで終わり、とはとても考えられません。こういう、その法的な摘発のされ難さが、国際組織を一種の安全地帯にし、それが汚職の土壌になっただろう事は殆ど疑いようの無いところで、組織の構造自体が原因である以上、その影響がごく一部に留まり、その他は清廉である等という事があり得よう筈もないのですから。本件にしても、やはり米国が主たる役割を担っているからか、摘発の対象は米国の金融機関を経由した部分が中心で、その他は必ずしも十分に捜査されたわけではないものと思われるのですし。実際、具体的容疑に挙げられた大会や逮捕された委員は中南米関連ばかりで、従来から汚職疑惑が掛かっているところのカタールやロシアはじめ候補地に関連したところが全く含まれていません。そもそも贈賄側や各スポンサーはじめ企業周りは殆ど手付かずですしね。VISAはじめ、スポンサーからの撤退検討を表明した企業も複数あるようですが、それが潔白の証明になるわけでなし。

そちらはそちらで、残りとかそういうような生易しい話ではなく、どれも国際的な企業だったり国家そのものだったり、罪に問うのも捜査するのも、管轄から色々と、本件にも増して大変な話になるだろう難物なわけです。むしろ中南米より余程摘発が困難で、かつ手を入れた後の影響が甚大だから今回は見送って、摘発が容易で影響も限定的な部分から手をつけた、と見るほうが自然な気がします。これからの案件であり、普通にW杯の開催が白紙になりかねないロシアとか中東とか、既に脅迫まがいの予防線を貼りまくってる様子から察するまでもなく普通に死人が山程出るでしょうしね。米国司法の手にすら余るだろう話に見えるのですが、各国が連携して一斉摘発、というのも中々想像しづらいところ、さてどうなるのやら。どうせFIFAの委員は会長以下殆ど全員黒なんだろうし、いっそ、本件から芋づるで一気に全員逮捕して組織は一端解散、位までしないとすっきりしないと思うんですが、当局は何処まで、どうやって頑張ってくれるんでしょう。あまり期待しないで、しかしその工夫には注目して待つとしましょうか。

The most damning bribery allegations from the bombshell case against FIFA
Putin, on Guard for 2018 World Cup in Russia, Denounces FIFA Arrests
FIFA、9大会で汚職…放送権受注で

[biz law] 北越紀州製紙子会社で15年24億超の横領発覚

北越紀州製紙の子会社で多額の横領が発覚したそうです。

容疑者は、北越紀州製紙の不動産関連子会社である北越トレイディングの経理担当部長。正確には懲戒解雇されていますから元部長ですけれども、虚偽の手形を振り出して換金し着服していたそうです。この種の横領、それ自体は昨今では取り立てて珍しいわけでもありませんが、本件はその期間と額が凄いのです。聞けば実に15年、総額24億超にもなるんだとか。

北越紀州曰く、長年同一業務担当でチェックが働かなかった、との言い訳をしているそうですが・・・。いくら不動産関連の事業はスパンが長く、かつ子会社の決済権限者の犯行につき発覚しにくい、と言っても、無理がありはしませんかね。子会社だから本体とは隔離されていた面はあるにしても、北越は紀州を2011年に吸収合併していて、少なくともその際にはグループ全社にそれなりの監査が入っていた筈なのですし。一般的に言って、その部長の権限がどのようなものであれ、一管理職程度が単独で隠し果せる額ではないと思うんですが。怪しすぎます。

しかもその目的が遊興費等の専ら費消するだけのもので、自転車操業ですら無く、従って実体的には何ら誤魔化せる要素が無かったというのですから尚更です。仮に監査の類いが形式的なものだったにしても、本件の手形周りの操作は全く帳簿上に残らないわけでは当然なく、物品の購入にせよ、下請の依頼にせよ、何らかの取引を仮装して振り出された事になっていた筈。その全てが一切、実際の発注も検収手続きもされずに成し得る仕組みだった、という事なのでしょうか。それともその確認等も全てこの部長が単独で担当していたというのでしょうか。経理部長が?仮にそうだとして、棚卸等はどうやって誤魔化したのか。部下や発注等の各業務の担当は居なかったのか、もし居たなら、それら担当者の全てが気付かない、等という事が有り得るのでしょうか。

結局のところ、この規模の仮装取引が、何がどうなっていればこんな長期間見過ごされ得るのか、全く以って不可解と言わざるを得ないのです。一体どういう事なんでしょうね?

北越紀州製紙 子会社元幹部が24億円余着服

5/25/2015

[note] John Nash、事故により逝去

数学者のJohn Nash氏がこの世を去ったそうです。享年86、ノルウェーでのAbel prize授賞式からNew Jerseyの自宅へ帰宅する途上、乗っていたタクシーがガードレールに衝突する事故を起こし、おそらくシートベルトを着用していなかったために車外に投げ出されたとのこと。同乗していた妻のAliciaも共に。

多少なりと応用数学に触れた者ならば誰しもが感銘を受けただろうNash均衡の概念提唱をはじめ、氏の業績はあまりに偉大でした。その人生の終わりがこのような、その魂にふさわしいとは到底言えないだろう形になった事は極めて残念ではありますが、氏がこの世にもたらした恩恵に感謝を捧げつつ、冥福を祈りたいと思うのです。R.I.P.

John F. Nash Jr., Mathematician Whose Life Story Inspired ‘A Beautiful Mind,’ Dies at 86

5/21/2015

[IT biz] 信金ネット傷害、東日本50信金のサービス停止

信金ネットが久しぶりに傷害を起こしたそうです。勘定系の一部サーバが起動せず、これに伴って関東を中心とした東日本の50信金でATMやネットバンク等の各種サービスが朝から昼前まで、半日程に渡って全面的に利用不可に。

またNTTデータ&富士通の仕業ですか。。。前回は2012年でしたっけ?あの時止まったサービスは確か法人向けネット決済のみでしたけど、その代わり全国の142信金が対象で、まる一日止まりもした筈ですから、被害の規模としては差し引きしておよそ似たようなものと言えるでしょうか。普通に大惨事です。

体制や担当はまさかあの時と同じではないでしょうけど、仮に同じなら無責任・無反省も甚だしいし、さりとて変更されていたとしても、それはそれで同じように再発したからには無意味であって運営する組織の構造自体に問題があるものとも考えざるを得ないわけです。いずれにせよ、非難は免れないというか、これを理由に見限られても仕方ない失態というべきでしょう。ホント懲りませんね。困ったものです。

東日本にある50の信用金庫でシステム障害

[関連記事 [IT biz] 信金ネット決済が障害でダウン]

[law] ドローン撮影配信の少年、業務妨害容疑で逮捕

結局はこうなるんですね。配信用映像撮影のため各地でカメラを搭載した無人ヘリ通称droneの遠隔操作によるイベントの空撮を繰り返して、一度は行事の只中に墜落させて社会中から非難を集めもし、幾度と無く警察の指導・警告を受けながら、全く反省もせずその後も挑発的に飛行・撮影を続けていた少年が逮捕されたそうで。

容疑は威力業務妨害。先日開催された浅草・三社祭に際し、事前に撮影の予告をして開催者に撮影自粛のアナウンスや掲示等、諸々の対応を強いる事で運営を妨害したものとされています。本来なら墜落のあった善光寺の件も同罪に該当する筈なのですが、その際は善光寺側が予告等を認識せず、従って事前の被害は無かった事、また当日の墜落やそれ以降の騒動についても、単に善光寺側が告発を控えた為に刑事化が避けられたに過ぎませんでした。あの無反省ぶりからすれば、いずれはこうなるだろう事は当然に予想されたところであって、特に驚くべきものではないし、それ自体は有り触れた単なる愚か者の不法行為が、たまたま話題性あるデバイスを使用し、また個人映像配信を介したがために注目を集めた、というだけの話なのでしょう。

とはいえ本件の社会的影響は小さくないわけで。すなわち、遠隔操作ヘリに関して、その犯罪に悪用され得る負の側面が広く社会に印象付けられ、その対策のために法による強行的な規制の導入を是とする論調が急速に高まっている事は周知の通りです。無論、これまでも官邸屋上へのデモを意図した墜落等を経て規制が導入されつつはあったものの、産業発展への配慮もあってか、概ね重要な施設等での個別限定的なものに留まっていたし、一般的な規制については必ずしも強く意識されていたわけでは無かったように思うのです。そこに現れた本件。それら個別の規制ではとても対応し得ず、従って一般的かつ広範な規制を求める根拠足り得る具体的な事例として認識されてしまった、いうわけですね。

しかし、一般的な規制を導入する、と口で言うのは簡単ですが、実際には相当に面倒な話だろうものと懸念されるのであって。予想される規制の内容としては、大まかに言って、使用者及び機体の登録制導入や、私有地外における飛行可否の条件や各種注意・管理義務の制定、事故等の発生時における規律、各種損害保険への加入義務付け等が考えられますが、それらを満たすために利用者に求められる知識の複雑さは相当なものと思われます。加えて、仮に事故等が発生した場合、基本的に高所からの重量物落下であって、さらにプロペラの破損や高容量バッテリーの発火等により深刻な被害に直結し得る危険性を考えれば、資格制又は免許制が導入される可能性も低くはないでしょう。

もっとも、自宅敷地内での私的利用についてはさほど厳格にする必要もないだろうし、実際にそこまで規制するのは困難でもあるでしょう。その困難さから、従来法制すなわち本件同様個別に業務妨害や過失傷害等による規律で足りるとして放置するという考え方も無いではないだろうし、それは流石にまずかろうという意見も強かろうし、果たして何処までどう規制するか、あるいはしないのか、それを検討するだけでも、とても一筋縄では行かないだろう話なわけです。

ましてその後の運用、特に費用周りの面倒さについては何をかいわんや。人件費だけでもどれだけかかるか、その予算は何処から捻出するのか。ドローン税とか導入する?と言っても、現時点では国内に保有されている機体は数万台に過ぎず、そんな大掛かりな手間を掛ける程の経済的な利益は無く、従って税収も期待し得ないわけで。社会的にはもう面倒だから、と一律禁止になってもおかしくない状況に見えるんですが、さて立法と行政は頑張ってくれるのでしょうか。

正直に言えば、あまり建設的な結果は期待しづらく思うところなのです。けれども、元々遠隔操作ヘリ自体が個人より産業的な利用の方で役に立ちやすい類のものだろうと思うし、リスクやコストが過大になるというのなら、未普及な今の段階で思い切って切り捨ててしまうのもそれはそれで是認すべき判断と言えるのかもしれません。

こういう規制導入の是非やその程度に関する議論は、3Dプリンターで製造される銃器類を巡って起きたものと構造としては類似のものだろうと思うのですが、それに比べても本件のドローンは危険性や違法行為との関係性が有意に高いし、同様の結論が妥当とは考えづらいんですよね。うーん。どうなるのでしょう。

ドローン飛行示唆、15歳逮捕=浅草・三社祭の業務妨害容疑-動画で配信・警視庁

(追記)

ちなみに外国ではどうかというと、やはりそれなりに規制されているのです。操縦者から100m以内でなければならない、とか、一定以上の密度で人が密集している所の上空は禁止だとか。例えば英国だと1000人以上が集まるイベントでは不可になっているそうで、サッカーの試合を撮影していた人がこれに引っ掛かって逮捕される事件が少し前に起きもしたのです。本件の少年は英国なら普通に逮捕される事になりますから、国内導入されるだろう規制もそれに倣うというのも一つの候補になり得るでしょう。今の論調を見る限り、必ずしも多人数相手でないテロや示威行動の懸念も強いようですし、それを踏まえるともう少し厳しいものになりそうですけれども。

Man arrested for filming Premier League matches with a drone

そういう、ドローンの規制云々や少年の罪状とは別に、その活動の動機であり資金源でもあるところの動画配信周りに議論が飛び火しているようで。一応幇助や教唆の容疑は掛かりうるのですから無関係というわけではないものの、主に責任の所在に関してむしろそちらの方が問題視されつつあるようです。確かに、本件は未成年者の犯罪という時点で、監督義務のある保護者はじめ、周囲に一定の責任が帰せられるべきものではあるし、多少なりとその動画配信システム、またそれを通じて教唆や資金提供が成されたというのであれば、それぞれが相応の責任を問われて然るべきところかと思われるわけです。しかるにサービス自体が犯罪の温床になるというのであれば、規制が掛かるのも避け得ないところなんでしょう。経済的、社会的に見れば、ドローンへの規制よりもむしろこちらの方が影響が大きいかもしれませんね。逆に言えば、動画配信サービスの仕組み自体に内在する問題が表面化したのが本件と言えるのかもしれません。そうであれば、本件の発生は偶然ではなく必然の帰結だった、と解釈すべき話になるわけですが、さてどうなんでしょう。

[関連記事 [law] 銃作成対策に3Dプリンタの販売規制とかいう愚論]

5/20/2015

[biz law] タカタ製エアバッグ全面リコール、責任逃れの果て

全面リコールを頑なに拒否し続ける事半年余り。その間安全が確認されるどころか逆に問題は拡大の一途を辿り、新たな死亡事故も発生するに至ってもはや産業犯罪の様相を呈していたタカタ製エアバッグの件ですけれども、ようやく全米でのリコールに応じる運びになったそうです。しかしGMの件といい、自動車業界の人命軽視と不祥事の隠蔽ぶりは目を覆わんばかりです。一体どうなってるんでしょう。

本件の対象台数は約3380万。従来のおよそ2倍、リコールの規模の巨大化が著しい昨今にあってもなお突出した数字で、GMが連発した不具合に伴うリコールの合算に一件で匹敵するという凄まじい案件になりました。しかしこれは米国単独の話で、他地域のものも合算すればさらに増えるというのもまた。。。聞くだけでも恐ろしい話です。タカタ並びに各自動車メーカーが被る損失にも、それほど多くのユーザーが今なお危険に晒されているという事実にも。

しかしタカタ自身については、当然ながら同情の余地はありません。問題が広く認識され、あれだけの批判と要請を受けてなお頑なに対応を拒否し続け、この事態を招いたのはタカタ自身なのですから。あまつさえ、10年以上前に少なくともこのような瑕疵が存在する可能性を認識し、その上で隠蔽に走っていたとされるのであって。結果、少なくとも米国においてタカタへの信用は最早欠片も存在せず、むしろ自社の金銭的利益を人命に優先する社会の敵と評価されるに至っています。

本件でタカタが被る損失は、リコール費用だけでも数千億のオーダーに上るだろう事は確実。巨額の損失ではありますが、しかしそれが一時的なものであれば、まだ存続は十分に可能だったでしょう。しかし一連の対応を通じてメーカー、ユーザー、各政府機関等、すなわちおよそ社会全体から評価や信用を決定的に失って、一体これからどうやって事業を続けていく事が出来るというのでしょうか。

そもそも、この期に及んでタカタは本件不良の原因は未だ不明としているのです。原因も把握せず、ただ新規に製造した部品に交換したとして、それで安全になるなどとどうして言えるのでしょうか。本来なら、誠実な対応をしていれば得られただろう社に対する信用がその担保になり得たのでしょうけれども、それすらもないのですから。その結果、自動車メーカーの中には、タカタを見限って他社製品への交換を宣言する所も出ています。只でさえこの種の供給先は一端切り替われば容易に元に戻る事は無いのですし、ここに至る経緯と現状を鑑みれば尚更、これから先同社製エアバッグを再び採用する可能性が極めて低いだろう事は確実でしょう。

結局、本件によって、タカタは巨額のリコール費用として目先の金銭的な損失を被ると共に、将来に渡ってその事業の拠って立つ基盤をも失ったというわけです。代わりに得たものは不信と憎悪、あるいは被害者や遺族の恨み等、およそ事業継続の障害になる不利益ばかり。リコール費用は不具合を出した時点で避けられないものでしたが、それ以外は違います。誰もがそうなるだろうから速やかかつ誠実に対応せよ、と諫言していたのにも関わらずのこの始末、全く以って救い難いと言わざるを得ません。リコールが完了次第、速やかに退場願いたく思う次第です。

Takata will declare 33.8 million vehicles defective due to exploding airbags

[関連記事 [biz law] リコールを拒否するタカタ、その主張の非論理性]

5/19/2015

[biz law] 富士通、NEC含む5社、東電の通信設備整備工事で談合し公金騙取

懲りない面々再び。通信設備関連事業5社が、東京電力の社内における通信設備の整備工事を受注するに際し談合を繰り返していた、として公取の立ち入り検査を受けたそうです。

被疑対象は富士通、NEC、大井電気、扶桑電通、中松商会の五社。期間は過去数年、規模は年数十億につき計百億程度でしょうか。

東電発注工事での談合は無論今回が初めてというわけではないし、珍しい話ですらありません。むしろ少し前に送電線工事で談合が摘発されたばかりにつき、当該期間中は多少なりと東電の調査・警戒があった筈で、公取から重点的に監視されてもいただろう、その只中での犯行というわけです。何とも大胆というか無謀というか、そんなもんバレて当然としか言いようが無いし、自殺同然の愚行にしか見えないのですが、一体彼らはどういう訳で犯行に踏み込み得たのか、また多分に隠し果せるものと考え得たのか。あまりにも不可解で、非難云々以前に困惑させられてしまう次第なのです。

あれですかね。原発事故からこっち東電の事業運営、殊にこの種の発注も含めた支出の取り扱いについては、事実上公金が注ぎ込まれている都合上、各方面から強く抑制圧力がかかっているのは間違いないところだし、最低価格を下げたり、業者間の競争を奨励する傾向にはあるだろうから、それに対抗すべく業者側が談合に走った、とかそういう事情なんでしょうか。であれば、少し前の車部品業界で起きた談合と実態としては同じような格好と言えるでしょう。しかしそうであっても、何らその所業が正当化されるわけもなし。同様の犯罪は過去幾度と無く繰り返され、その度に罰則や非難が加えられ、各企業は揃って反省を口にしますが、実態は何ら是正されないまま、こうして犯行は繰り返されるのです。救い難い事甚だしく、もう一々非難するのも馬鹿馬鹿しく思いますね。

何より、今の東電は、その大部分が事実上税金で維持されている公共事業なのであって、その事業資金は国民の多大な犠牲によって賄われる公金に他ならず、それを不法に収受して恥じない倫理の欠落ぶりにしろ、そのような犯罪を犯すにあたってもおよそ過去の教訓や周囲の状況を全く顧みない愚かさにしろ、その醜悪さは見るに耐えないものと言わざるを得ません。もう改善を期待する気も失せました。厳重な処罰が加えられるべき事は無論ですが、このような事が二度と起こらないよう、全社を永久に受注禁止にすべきだと思うのです。そうでもしなければまた繰り返されるだろう事は殆ど疑いようが無いのですから。

(追記)

続報によれば、東電では原発事故後に随意契約から指名入札に切り替えがあって、そのタイミングで談合も始まったものと見られるそうです。何という安直な。本件が発覚しなかったのは偶か、担当者の隠蔽が比較的徹底されていたからか、いずれにせよ時間の問題だった事は間違いなさそうです。いやはや。

東電発注工事で談合か=NEC、富士通など-5社に立ち入り・公取委

(再追記)

反省を口にしながら、余罪を隠していたようです。半年以上経ってからあえなく再摘発されてしまいました。

[続き記事 [biz law] 富士通、NEC、大井電気ら、談合の余罪隠蔽に失敗し再摘発]

5/17/2015

[pol] 大阪市廃止案否決、橋下氏及び維新の終焉

大阪市廃止案は否決だそうです。賛否の差は1%程度という僅差ですが、否決は否決。保守的な判断が上回った結果、これまで通り大阪市は存続する事と相成りました。否決時の政界引退を公言していた橋下氏以下、維新は存在意義を決定的に失い、今後は辞職なり解党なり、消滅していく流れに乗ったものと言ってよいのでしょう。

様々な意味で注目を集めまた物議を呼び、一時は地方分権による国家システムの変革を先導するものとして高く期待もされた本構想も、結果を見れば、ただ大阪内部で深刻な分裂を呼び、その過程で多大なコストを消費した挙句、無為に帰して終わり。まさに骨折り損のくたびれ儲けと言うべき始末です。結局どれだけリソースや費用をつぎ込んだのでしょうか。

こんな筈では無かった、とは言うなかれ。橋下氏以下の振る舞いは、少なくとも地域社会における住人間の相互協力関係の維持発展に関しては、独善的、独裁的という言葉が生易しく感じられる程、悪意に満ちたものであって、最初から合意形成を放棄し、批判を敵対行為と断じ、対立と分断を深めはしてもその逆を生じ得るものではありませんでした。その姿勢を幾らかでも改め、今少しでも協力者を得るか、敵対者を減じていたなら、今回の投票は可決に終わっていた事でしょう。

その意味で、今回の否決は必然的な結果と見る事も出来るだろうし、また見方を変えれば、そんな住民同士が先鋭かつ深刻に分断され対立した状態で可決され、その後反対派の意思が取り返しが付かない形で、それも真逆に抑圧されたままで事が進み、地域社会の分断もまた固定されてしまうような悲惨な未来が防がれた点において、相対的に望ましい結果に至ったものと理解する事も可能でしょう。少なくとも、本件のような地域社会の構成員全員に重大な影響を与える事案において、半数近いような多数を数の論理で抑圧するなど許されるべきものではないのであって、仮に僅差で可決されたとしても、その先に望ましい未来があったわけではない、その事は分かり切っていた話なのです。

今後は、地域社会を敵味方に分断するのではなく、協力し合って維持発展させるよう、少なくとも維新の取ったような、その稚拙な手段が改められる事を願う次第なのです。部外の傍観者の立場ではありますが、以前からのそのやり口と合せ、とりわけ本件は見てて不愉快でしたからね。いくら住民の自由であって、その決定方法が多数決によると決められているのだとしても、わざわざお互いを疎外し合うようなそのやり方は幾ら何でもないだろうと。

[関連記事 [pol] 大阪市住民投票、地域の自治権放棄は同意され得るのか]

[pol] 大阪市住民投票、地域の自治権放棄は同意され得るのか

大阪市廃止の是非を決する住民投票が実施されました。無論、部外者が賛否についてどうこう言う筋合いでは無いのですけれども、傍観する立場から思う所を少し。

本件は、政令指定都市である大阪市を廃止し、その代わりに大幅に権限を限定した5つの特別区を設置するというものです。縮減された権限並びにそれに伴う予算については、府が吸い上げる事になります。この特別区は東京版のそれに若干権限を拡大させたような感じですね。

特別区の権限は、東京版に比べれば裁量があるとは言え、政令指定都市のそれとは比較にならない程限定されています。そして、その他の行政機能を担う事になる府政は当然ながら大阪市以外のその他市町村との合議体であるので、特別区に対する諸々の政策は他区域代表の同意無しには決定出来なくなりますから、地域住民の決定権は大幅に縮減されざるを得ません。とりわけ、拒否権が事実上無くなる点は無視し難い変化と言えるでしょう。デメリットのある施策、例えば核廃棄物の処分場や軍事施設を設置するとかいう話が出た時に、各区域は単独で拒否する事が出来なくなってしまうのですね。

予算についても、区外地域と共有する形になります。本来共有というのは一方的なものではなく、区域内から出る分と入る分と双方向の流れが発生する筈なのですが、現時点で大阪市内とそれ以外との間で人口も経済規模も相当な格差がありますから、差し引きで事実上区域内から区外へ予算が流出する形にならざるを得ないでしょう。

というわけで、今回の大阪市廃止及び特別区への移行は、基本的に大阪市民にとっては予算を含めた各種裁量が縮減される、すなわち相当の不利益が発生するものと推測されるのですね。

対して、推進側が掲げるところのメリットであり目的でもある筈なところの府市二重行政の解消による余剰リソースの削減については、全くの零ではないものの、具体的に見てみると微妙な感じです。

まず議会関連のコストについては、大阪市議会が消滅し、各特別区の議会が設置されるわけですが、各区議会の定数次第としか言えませんから、今の所コストが削減されるとも増えるとも判じられません。人口比例で従来と同程度の議席数とするのであれば議員歳費については基本変化なしという事になりますが、一方議会の数は増えるので、その分コスト増と言えるかもしれません。ただ、権限と予算の縮減に伴って区議会の活動量は従来の市議会に比べて少ないものになるでしょうから、その辺との差引きになります。中立的に見れば、殆ど変化なしと仮定して良いかもしれません。また、基本的なインフラ等の住民への行政サービスの面については、原則変化なし。というか変化があってはまずいでしょうし、総じて、不明もしくは変化なしに留まるものと考えるべきかと。

従って、確実かつ有意な変化が期待し得るのは、各種政策のうち、特に府の権限で成される広域的な施策であって、かつ市が独立で同様のものを実施していた部分だけであろうという事になります。これについては確かに市が消滅し、府の権限に一本化される事によって余剰が解消されるでしょう。ただ、具体的に何が、というと、これがまたよくわからないのです。元々、各種の経済的な施策は殆どが市の裁量で実施されて来たらしく、そもそも府の権限で行ったケース自体があまり無いのだそうで。

そういう現状を踏まえて、これからは大阪市とそれ以外の区域に跨るような施策を推進する事で地域経済を発展させたい、とかいう話なら、確かにそういう施策を実施しやすくなる面はあるだろうし、分からないでもないんですが、それは今云々されている二重行政の解消によるコスト削減とは全く別の話なわけで。そもそも現状広域的な施策の実施が困難というわけでもなく、まして大阪市が決定的な障害になっているとも言えない以上、今現在において多大なコストを払ってまで大阪市を廃止する現実的な必要性を説く根拠にはなり得ないものと言わざるを得ないように思われるのです。

結局のところ、行政面でのコストやリソースの削減については、必ずしも期待出来るとは言えないように思われるのですね。一応、他にメリットが無いというわけでもなく、行政システムが若干整理される結果、大阪府全体で見れば行政運営の円滑化が期待出来る面はあるだろう筈なのですけれども、それは上記の通り特別区内住民の裁量すなわち権利の制限・放棄と引き換えになるのであって、言い換えれば犠牲を強いるものなわけです。

そして、決定権はその住民にあるのであって。となれば、通常その過半がみすみす不利益だけを被るような判断を進んで取るものとは考えられません。ですから、成立するとすれば、他ならぬその住民にそれ相応の補償的なメリットがもたらされる必要があるのですね。

で、その補償ですけれども。以前であれば、橋下氏以下の個人・組織的な信用と期待を担保にして空手形を切る事で、いかに怪しく錯覚めいていようとも、少なくとも精神的にはその補償が与えられる形に出来たわけなのですが、数々の失態を経て既にそのような信用は失われ、現実的な補償が必要な状況になっているように見えます。でも、それに代わる何かが提示されているわけではない、と来れば、自ずから結果は推して知るべし。実際、事前調査ではそういう結果になっていました。むしろ賛成派が多くて驚いた後、それはやはり既存の公務員や議会への反感がそれだけ強いという事なんだろうなと納得し、そんなアンチ感情だけで行政システムの解体に踏み切っていいのかと戦慄したりもしたのですが、それはともかく。

以上の様に見てみると、やはり住民に特段のメリットがなく、デメリットは決定的なまでに大きいように思われる本件、可決される見込みは非常に低いだろうと予想せざるを得ないところ、果たして結果はどうなるのか、見物を決め込ませて頂こうかと思う次第なのです。結局、どうなろうと当事者たる地域住民の問題なのですし、社会調査としては興味深いものなのですしね。 さてさて。

(追記)

そして結果は否決。やはり容易に通るものではありませんでした。骨折り損のくたびれ儲け、お疲れ様でした。同時に橋下維新は終了確定。

[続き記事 [pol] 大阪市廃止案否決、橋下氏及び維新の終焉]

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5/14/2015

[biz law] 岡三証券、顧客に嘘の株価を伝え続け元本3割損失させる

岡三証券が馬鹿をやらかしたそうです。仙台支店の営業が、1年以上に渡って顧客に虚偽の株価を伝え続けて損失が拡大するに任せ、最終的には投資額1000万に対し310万の損失が発生していたのを隠し、56万と伝えていたのだそうで。酷い話ですね。

しかし投資先はツイッターやグーグル等海外社の株という事ですが、海外株と言っても株価は検索すれば直ぐに分かるのですし、よくそんな長期間騙し果せたものだと。その辺、被害者は高齢の方らしいですし、自分で確認しようとしないのか、出来なかったという事なんでしょうか。海外ハイテク株は株自体の値動きの激しさに加え為替の変動も加わってリスクは極めて高い部類の資産なのですし、普通は気になるものだと思うんですが、そういう前提知識がそもそも無かったのか、それとも余程営業のやり口が巧妙だったのでしょうか。それにしては露見したきっかけが件の影響の不審な言動というあたりはいささか不可解な気がしないでもないですけれども、それはともかく。

発覚は14年11月、その後被害者が証券・金融商品あっせん相談センターに和解の仲介を申し立て、今も事件は係属中とのこと。

顧客に負わせた被害を賠償する事は当然として。本件は紛うことなき犯罪、それも相当に悪質なものですし、社会的には正式に告訴を受け、司法の裁きを受けるべき案件だと思うのです。岡三証券は「個別の事案につき」とか言って説明すら避ける始末、反省など全くしていない事は明白なのですから。

大体、犯罪に個別も何もあろう筈もないのです。証券会社として絶対にしてはならない犯罪を犯して顧客を裏切り、業界ひいては社会の基礎たる信用を損なった以上、もはや当事者間だけの問題ではなく、社会に対して償うべき責任が発生しているのですから。それは今後ともその業を続けようというのなら最低限果さずには済まされない義務なのであって、あくまで自発的にしないというのなら司法側から摘発がなされるだろう話ではあるんですが、せめてさらに迷惑を重ねる事なく、悔い改め、進んで罪を償いつつ、その経緯と処罰、また更生のために取るべき措置等を公表し、二度と顧客を裏切ることのないように自ら正される事を願う次第なのです。

岡三証券うその株価報告 顧客に1年間

(追記)

とか思ってたら、既にもう手遅れなんだそうで。本件以前にさらに高齢の方に対し、事故により認知能力が低下し判断が殆ど不能であるのをいいことに次々と社債等の取引をさせ、700万以上の損失を負わせたのだそうです。既に訴訟のち和解も成立しているとの事ですが、にもかかわらずこれとは、救えませんね。他にも調べてみたら成年後見の宣告取り消し直後の高齢者にも同様の取引で損失を負わせて訴訟になり、敗訴した前科もあるそうで。この種の高齢者を騙す営業が同社において常態化している事に疑いを入れる余地は無いように思われるところです。なんという反社会企業。

岡三証券、事故で判断力ない80歳女性と取引か

[biz] 赤字2223億で資本消滅、錯乱するシャープ

進退窮まりつつあるシャープの2015年3月期決算が発表されました。2223億の赤字だそうです。よくもこんなに毎年のように赤字を出せるものだと逆に感心してしまいもするわけですが、それはともかく。

周知の通り前期時点で既に累積で欠損が発生していましたから、これが丸々上乗せされる結果、2300億程度の債務超過という事になります。予定ではみずほとMUFJが2000億出資し、さらに減資が総会で承認されれば1200億程が加わりますから、差し引き1100億程残る計算になります。

で、来期の予想は公表されていませんが、今期の損失の主要因であるところの液晶と太陽光発電パネル等の状況が改善する見込みは今の所ありませんし、追加発表された3500人分のリストラ費用等も発生しますから恐らくは赤字で、一部では1000億程度になるものと予想されています。

という事は、来期の損失も合わせると、今回減資と追加出資で拠出される資金は殆ど相殺されて消滅し、債務は消えるものの、同時に資本も無くなる計算になってしまうわけです。勿論設備投資に回る資金なんてありません。従って事業は全く強化されないどころか立て直しすらされず、おそらくは衰退するのみです。シャープの事業はどれも設備投資が切れると競争力が著しく失われるものばかりですから殆ど致命的でしょう。もっともJDIも赤字で共倒れっぽいし、相対的な競争力はさほど変わりないのかもしれませんが、にしてもそれでいいのか、その先はどうするつもりなのかと、見ているこちらの方が困惑させられてしまうわけです。といって、手を打ちたくともこれ以上はもう鼻血も出ないという事なのかもしれませんけれども。

大体、あれだけ削減したここからさらに国内3500国外1500計5000人リストラって。。。この期に及んでそんな人員に余剰がある筈もないし、希望退職だからコアな人材は軒並み流出必至で開発も生産も崩壊する、というか既に崩壊してるでしょう。どうせ生産しても売れないからそれでもいいって事なんでしょうか。だとしたらもう時間の問題、それも長くなかろうと思わざるを得ないわけですが、さて。何処が何を引き取るのかとか、後始末の方を気にしたほうがいいのかもしれませんね。

そういえば、社内の英語公用語化ってその後どうなったんでしょうか。確か研究開発部門が対象でしたっけ。きっとそれで愛想が尽きて去った人もいるんでしょう。今となっては最早どうでもいい話ではありますけれども、あの頃もっと真面目にやってれば少しは違ったのかもね、等とふと思ったりしたのです。

しかし減資の計画を見直した、と言うから見てみれば、非大会社化は非難が強いから1億はやめて5億にするって、この期に及んでそんなどうでもいい体面を気にするというのには唖然としてしまいました。資本金が無くなって事業継続が困難になる事には変わりないし、追加出資額からすれば過半数をみずほとMUFJに握られて、実質的にシャープの決定権は失われ、今後は身売りも切り売りも銀行の思うがまま。その上、当初主目的とした筈の節税効果も失われる、というのですから、無意味というより自爆というか、実質的には銀行に身売りしてそのまま清算手続きに入ったも同然に見えて意味不明なわけなのですが、一体彼らは何がしたかったのでしょうか。多分に個々の人や部門、組織等が夫々に錯乱しつつ場当たり的に保身を図っているだけで組織としての合理的な活動自体が存在しないのかもしれませんが、何にせよ無残なものです。

シャープ最終赤字2223億円 15年3月期、設備の減損かさむ
シャープ、資本金5億円に大幅減資 主力行には優先株2000億円発行

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[biz] 東芝の粉飾、インフラ部門のみ公表最低500億

東芝が大規模な粉飾決算をやらかしていた件、一部ながらようやく数字が出たそうで。と言っても本当に一部の概算だけで、具体的な内容は今以って不明。遅すぎです。たったこれだけの情報を出すのにどれだけかかっているのかと。投資家の不安を和らげるためとかだそうですが、到底信じられません。どうせ舐めて掛かって出すつもりもなかったけれど思ったより非難が強烈だったから慌てて出したってだけなんでしょう。全く以って遺憾な限りです。

ともあれ。発表によれば、現時点では東芝本体のインフラ事業について3年間でおよそ500億の利益が虚偽だった事が判明している、とのこと。インフラ事業というのがどの部門を指しているのか判然としませんが、仮に電力システム社及び社会インフラ社だとすると、概ね売上高の1%程度という事でしょうか。営業利益率の約四分の一で、純利益率を上回る位です。という事で同事業は一気に純損益赤字転落。これは酷い。

当然ながら、その他の部門や子会社については含まれていません。しかし同社自身が調査の必要性を認めている点からして当然そちらも含め手広くやっていた事はほぼ確定だし、額はまだ増える筈なわけで。仮に同じく1%程度の粉飾がなされていたものとすると、電力システム及び社会インフラ、あとコミュニティソリューション周りも一部含むとして、売上高比率は全社売上の四分の一から三分の一程度なので、粉飾額もざっくり三倍〜四倍、1500〜2000億規模と見積もられる事になります。といって実際にはそんな単純なわけもないでしょうけれども、少なくともそれ位は覚悟しておくべきなんでしょう。大きな問題ではないとは到底言い得ない、どころか史上稀に見る規模の粉飾になりそうです。

額もヤバいですが、最も問題だろうのは本件が会社、というか上から下までグループぐるみの犯行なのがほぼ間違いないだろう点でありまして。従って責任の所在もグループ全体に渡ってしまうのだから、夏頃に始まるだろう後始末は大変どころの騒ぎではありません。あまりに悪質だからクビにしないわけにもいかないでしょうし、部門によってはいっそ組織を一旦解散した方が早い、とかいうレベルじゃないでしょうか。総会とかどうなってしまうんでしょう。東芝自身はどうなろうと自業自得ではあるのですが、せめて外部に死人が出ない事を祈ります。いやはや。

東芝、営業益500億円減額も 不適切会計での3年間

[関連記事 [biz] 粉飾の東芝、未だ不明の内容を巡って膨れ上がる疑念]

5/11/2015

[biz] 粉飾の東芝、未だ不明の内容を巡って膨れ上がる疑念

周知の通り、東芝で大規模な「不適切な会計処理」が発覚し、その子会社も含むとされる範囲の広さ、また複数年度に渡る期間の長さ等により調査に相当の時間が必要として2015年3月期決算の報告が出来ず、これに伴って無配にもなって大混乱中な件ですけれども。

これ、調査に時間がかかるのは仕方ないとして、問題が発覚してから一ヶ月以上経とうというのに未だに概要すら発表されないというのはどういう事なのでしょう。「不適切な会計処理」、というのはぶっちゃけ粉飾してましたという事なわけで、周囲に著しい影響を与える事は無論、程度によっては会社の存続に関わり得る重大事案なのだから、ステークホルダーは多かれ少なかれ誰しもがその程度を早急に把握する必要がある筈なのですが、第三者による調査だとか色々ヤバげなアクションが聞こえてくるばかりで、肝心な粉飾自体の具体的な内容については全く発せられません。普通はブチ切れるでしょうこれ。高齢の個人株主なんかは心労が酷い事になってそうです。南無。

公式の発表がそんなのだから、外野としては殆ど当てずっぽうな感じながら推測するしかないわけですが・・・。今出ている情報だけからしても、ネズミ一匹、で終わりそうに無い事だけは確実なように思われるところです。とりわけ、主力中の主力であり、ここ数年の安定した好業績を支えていた筈の電力システム社と社会インフラ社が対象に入っている時点で本件の対象になる売上は数兆にも上り、従って仮に粉飾額が売上のコンマ数%弱程度だったとしても数百億の規模に成り得るのだし、他部門や東芝テック等の子会社にも波及しているとの事ですから、もう一桁上も有り得るものと推測されるわけです。もしそうであれば、ここ数年の利益が吹っ飛びかねない、というか実はそんなもの元々ありません、嘘でした、となる結果、その収益の安定性から得てきたところの同社の高評価が丸ごと反転してしまうわけで、東芝という巨大グループ会社の立ち位置自体が崩壊しかねない酷い話になるのですね。信用もガタ落ちです。そもそも犯罪でもあるし、時を同じくして評価を落としているシャープと比較しても非常に悪質と言えるでしょう。

ただ、これは問題の内容が単なる付け替え程度、すなわちおよそ規模としては最小限と想定されるケースの場合の話です。もしそうではなく、例えば特許庁案件のような炎上プロジェクトで隠蔽されていたのが抑えきれなくなって大噴火したとかいう話だとすると、もっと桁違いに酷い事になってしまうのですが、どうなんでしょう。さっぱりわかりません。こういう疑念が膨らむのも、その辺の情報が全く出されない帰結なのですが、その辺東芝はどう考えてるんでしょうか。全く以って遺憾な事と言わざるを得ません。

考えても結論の出ない話はともかくとして。この規模の粉飾が事実であった場合、その後も大変になります。各事業部門の担当、責任者は無論の事、経営陣も丸ごとクビになって、かつ株主から大規模な損害賠償請求訴訟を起こされるだろうのもほぼ確実でしょう。そこに至るまでにも、内部では悪あがき的な言い逃れとか責任の押し付け合いだとか諸々の内紛も普通に発生するでしょうし、社員の方々も大変だろうなと。一応、単なる会計上の処理に留まるとか、経理周りの責任に限定される可能性も無いではないのかもしれませんが、進行基準における費用の過小見積もりなんて、現場の協力が無ければおそらく無理だろうし、まず無いでしょうから。

そういうあれこれの後々支払う事になる被害の甚大さは、粉飾で得られる利益では全く割に合わないものだと、少しでも考えれば分かりそうなものなのですけれども、こうして表面化した以上はもう取り返しは付きませんし、元より自業自得な話、この上は潔く罪を認め、速やかに賠償なり後始末が付けられるよう願う次第です。その前に、まずは早いところ内容を明らかにしてもらわなければならないんですけれども。本当にどうなってるんでしょう。

東芝、全上場子会社の決算発表延期 不適切会計問題で

さらに舐め切った態度が続く事数日。ようやく現時点で判明している分、すなわちインフラ部門の直近3年分の粉飾額が公表されました。500億だそうです。部門売上高の1%強。

[続き記事 [biz] 東芝の粉飾、インフラ部門のみ公表最低500億]

[関連記事 [biz law] 特許庁新システム案件、完成予定2022年で仕切り直し]

5/09/2015

[biz] 追い詰められたシャープ、狂気の99%超減資

周知の通り、毎年のように巨額赤字を連発し、財務的に存亡の危機に追い込まれた電機大手シャープが、99%以上の大幅な減資に踏み切る運びになっているそうで。1218億を1億にするという、狂気の沙汰的な減資なんだそうです。

理由は明白、積み上がった債務の返済に充てるという事です。がしかし、当然ながら資本金は株主にとっての会社の主たる価値そのものであって、対外的には資金調達等も含めおよそ全ての営業活動の担保となるべき会社運営の基礎、一言で言えば信用なわけです。それをほぼ0にするいう事は、すなわち信用が無くなるわけで、その意味では倒産と等価ともいうべき、決定的な措置なのですから、単に債務を返済して終わりになる筈もありません。

本社はじめ不動産等の資産は売却済み、工場等もとうの昔に売却乃至抵当に入っている筈な現状、もう目の前の資金を調達出来なければ倒産する他無いところまで追い詰められている、という事なんでしょうけれども、それにしても無茶をするなと思います。驚き半分、呆れ半分といったところでしょうか。

そういう事情は殆ど周知の事実ですし、ともかくとして。本件はこの規模の会社では殆ど前代未聞の措置ではあるわけですが、本当に実現するんでしょうか。減資の法定要件は株主総会での特別決議、すなわち別段の定款の定めがなければ議決権過半数の株主が出席した総会での2/3以上の賛成となります。然るに減資は株主にとっての保有株の換価価値そのものであるところの資本金(及び剰余金)を配当するどころか逆にみすみすほぼ全て放棄する事になるのですから、いくら破綻の危機と言われても、容易に同意が得られるものとは考え難いところです。

とはいえ、現実として資金面で破綻の危機にあるのは間違いないのだから、その回避を図るに当たって他に取りうる手段が無い、として説得が不可能なわけでもないでしょう。ただその説得が容易ではないだろうのが問題なわけで。これが、創業者一族だとか、ある程度大きな割合を持つ大株主が中心なら、手間はかかるけれども個別に交渉すれば何とでもなるのかもしれません。けれども、現在のシャープの株主構成は個人も機関も入り乱れていて、国内の個人だけで4割、外国人も2割にもなっています。決議の成立要件から考えれば、その膨大な個人株主のうち相当割合の出席及び賛成が必要になるわけですが、これはとても個別に説得し得る数ではありません。その達成は控えめに言っても困難で、いっそ至難と言ってもいいもののように思われるところですが、果たしてシャープ経営陣にどれ程の成算があるのでしょうか。少なくとも銀行周りの後押しはあるのでしょうから、数割程度は確保済みなんでしょうけれども。

ともあれ。その成否はひとまず置くとしても、少なくともこの話が出てしまった以上、来週以降シャープ株は紙くず同然の評価を受けるだろう事は必至です。減資すれば、PBRで見れば超絶な割高になってしまうのですし、評価する投資家も大変でしょうね。というか、東証はどうするんでしょう。一応、時価がそれなりにあれば上場継続の可能性もある筈なのですが、予想される諸々の混乱を考えれば、上場廃止にすべき案件だと思うのですけれども。一時的な取引停止は当然として、減資成立後はやはり廃止でしょうか。何せ前例の無い話なので予想しづらいですね。事業の実態面からは先行き復活の可能性が全く無いとも言えない点もその混乱に拍車を掛けるでしょう。さてどうなってしまうことやら。

あと、仮に減資が成立したとして、それで終わりになる筈もなく、その後の営業にも色々と困難があるでしょうから、その行方も気になるところです。とりわけ、資本金が無いも同然なのだから、借金をしなければ当座の資金すらまかなえなくなる点は誰が見てもヤバい、というか紛うことなき自転車操業になってしまうのに問題にならないわけがありません。元々シャープの事業はどれも巨額の設備投資を要し、従って資本のサイクルがとても長く、にも関わらず非常に市場の変動が激しく不安定なものなのだし、安定して黒字を出す事が困難な性質の事業である事は明らかなのです。しかし、減資によって資本金が無くなり、従って当座の運転資金も含めて全て借金によって賄わなければならなくなるがゆえに、その金利の支払い分も含め、安定して黒字を確保する必要があるわけです。でなければ運転資金すら得られないのですから。それに、減資で得られる資金は1200億強、剰余金が2000億強。ここ数年で毎年出す赤字を賄うには全く足りず、しかもこれは本当に最後の手段で、次は無いのです。もはや短期長期問わず、些細な失敗すら許されません。ここ数年の決算を改めて見るまでもなく、この期に及んでそんな理想的な経営が出来るとは到底思えないのですけれども、シャープ経営陣は正気なのでしょうか。

もっとも、個人的には上記のような自転車操業に陥る時点で既に終わっている気もするのですけれども。正直に言ってしまえば、あっという間に資金がショートして即死する未来が見えるかのような。多分に、無理に資金を注ぎこんで延命させたとして、その追加資金も含めて不良債権が増えて、破綻した時の被害が増えるだけなんじゃないかと思うのです。

ならば、いっそ一旦破綻して、再出資を受けるなりして出直す方がましなのでは、とも思うのですが。。。そんなに整理分割されたり海外資本に買収されたりするのが嫌なんでしょうか。嫌なんでしょうね。hong-hiの話も未だに決着してないみたいですし。でもそうだとしても、今現在のSHARPの動きは、どれもあまり意味のない悪あがきに過ぎないように見えますし、このままだと結局は同じ末路に至りそうにも思われるところ、あまり他所に被害を拡大させない内に始末が付けられるよう願います。無論、その辺はどう足掻くも当事者の自由ですし、他人がどうこう言うべき話ではないのですが、話が話だけに、やはり興味は惹かれてしまうのです。本当にどうなるんでしょうね。

シャープ大幅減資、増資で株主持ち分減少も 

(追記)

減資の要件について補足。減資の要件は原則として上記の通りですが、定時株主総会で欠損との相殺をするのであれば普通決議で良い特例があるので、今回はそれを使うという事なんでしょうか。であれば、上記より大幅にハードルが低くはなります。それはそれでいいんですが、もしそうだとすると、シャープの前期における欠損は200億強につき、今年は1000億以上の欠損が発生したという事にもなるわけだし、運転資金を借金で賄う事になるとかの実体面での追い込まれっぷりについては変わりない、というかやっぱり終わってるんじゃないかと。

(追記その2)

2015年3月期の赤字は2000億超。これを穴埋めするため、銀行からの優先株による増資2000億を受け入れ、事実上銀行の管理下に入る運びになりました。減資は5億残す方針に修正。唯一のメリットだった筈の税制優遇すら無くなり、もはや意味不明です。

[続き記事 [biz] 赤字2223億で資本消滅、錯乱するシャープ ]

[過去記事 [biz] hong-hiがシャープ出資契約無効を主張]