12/20/2014

[IT biz] Sony Picturesハッキング、愚かで哀れなソニーと無責任なオバマ

ソニーの映画事業子会社Sony Picturesがハッキングされた件、そろそろ全容が明らかになってきた感じということで、少しまとめと所感を。

被害の内容は同社内部情報のおよそ全て。未公開映画の元データや脚本、他社との交渉記録、従業員や出演者等のssnを含む個人情報までがほぼ完全に流出したとの事。犯行はGuardian Of Peace(GOP)なるどこぞの政党と同じ頭文字のグループが声明を出しているものの、詳細は不明。ただ、その公開中止要求の対象たる映画The Interviewの内容が北朝鮮指導者の金正恩の暗殺を扱っている事から、北朝鮮の機関である事が確実視されています。正直、それだけで決めつけるのはあまりに短慮に過ぎるように思われるのですが、それはともかく。

で、社外秘どころか関係者外秘の絶対に外部に漏れてはいけないあれこれを全部握られてしまったSony Pictures社はその要求を受け入れ、当該映画は公開中止となってしまいました。損失は少なくとも数億ドルに上るものと見られています。数年分の利益が吹っ飛ぶわけですけど、少なくとも短期的には映画一本丸々損失になった上に、ジェームスボンドシリーズ次回作とか計画中の案件までお釈迦になった、とあってはそれも仕方ないでしょう。むしろ各方面への賠償等を考えたらそれで済むのかと疑問に思う位です。Picturesの事業存続が危ぶまれるのは当然として、ソニー本体にとっては数少ない黒字部門の一つが爆死してしまったわけで、本気で早晩金融専業ともなりかねない勢いです。どうするんでしょう、といってどうしようもないし、なるようにしかならないんでしょうけど。

ところで、そのハッキングの手口について、内通者の手引きによる内部からのものらしい、との噂が流れています。今のところ真偽不明ではありますが、尋常でない流出の範囲・規模や態様からしてありそうではあるし、本当だとすればそれはもう仕方ないのではないかと思うわけです。実際、その手のソーシャルハッキングを防ぎうるフィジカルセキュリティまで完備してる所なんて、政府、軍や金融関係の一部、あと大手のデータセンター位のものでしょうから。 民間会社なんて狙われた時点で詰みだと言っていいでしょう。誠にご愁傷様です。

なんですが、政府関係とかセキュリティー専門家とかの外野の反応は、同情どころか非難の大合唱。オバマ米大統領なんかは某番組のインタビューで、テロに屈した云々的に公な非難を加えたそうで。そんな無茶な、と思うわけです。現時点で早々と北朝鮮の犯行と決めつけているのもアレですし、仮にそうだとしても、テロリストの要求に応じればエスカレートするだけだ、というのはそうなんでしょうけど、何ら対抗する術を持たない一民間会社にどうしろって言うんでしょう。実際問題として、下手に逆らえば、事業的には無論の事、個人情報もがっちり把握された関係者について物理的な危険すら生じるわけです。それを保護もせず、損失を補償する気もない癖に一方的に非難だけを加えるとは。。。米政府もつい最近クラッキングされたとかいう話もあるし、実際迷惑なのはその通りなのでしょうけれども、そもそもそういう外敵の攻撃から市民を守るのはお前らの仕事だろうと、あまりの自己中心かつ無責任ぶりには驚愕せざるを得ません。そりゃ支持率も地に堕ちようというものです。

ただ一方で、ソニーをして単に不運な被害者と言う事も出来ないわけで。よりによって北朝鮮の、それも現在の指導者を題材に作品を出した時点で国を挙げての反発を買うだろう事を予想出来なかった筈はないし、その反発が一民間会社に向けられる事の意味、その帰結を甘く見ていたというのなら、それは救いようもない愚行なのであって、まだ人命が失われていないだけマシだと考えるべきなのですから。その動機にしても、センセーショナルな作品を売り出す事で利益を得ようとしただけに思われますし、特に汲むべきものもないでしょう。タブーに突っ込む時はそれなりの覚悟と備えが必要なわけで、それを怠ったソニーの自業自得とも言えます。そうでないと言うのなら、それなりに攻撃を防ぐか、要求を無視して公開を続けたか、いずれにせよこのような結果には至っていなかったでしょうから。

まだしばらく後を引くだろう本件、いずれの関係者も見るに堪えない惨憺たる有様で、もうどうにでもなればいいんじゃないの?と、うんざりするとともに、冷やかな思いを抱くだけなのです。

How The Hackers Broke Into Sony And Why It Could Happen To Any Company

んで結局、オバマの殆ど脅迫同然の要請に従う形で公開、当然のように北朝鮮は反発、と。勿論その辺はソニーの勝手ですから、それならそれでいいんでしょう。一連の報道による広告効果は半端ではないし、流出済みである点を差し引いても興行収入は相当に見込めるでしょうから。ただ、一般論として、一私企業に過ぎないソニーが、当然ながら非合法の強行措置を全く辞さない類の国家相手に正面から喧嘩を売っておいて、このまま炎上マーケティング大成功、で終わるとはとても考えられないわけで。さてどうなることやら。そういうリスクより目先の利益を取っただけの話だし、何があろうと同情する事もないんでしょうけどね。

評判を聞く限りでは、作品とも言えない駄作との評が大半のようなのですが、色々と愛国心やらに駆られて見てしまった人にはご愁傷様。なお個人的には、この手の悪趣味な映画には全く興味が沸かないので見てませんし、これからも見るつもりはありません。

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