8/07/2014

[biz] スカイマーク、成田から完全撤退

一連の経営不振と、それに端を発するエアバス社との契約破棄に伴い、破綻が殆ど確定視されているスカイマーク社ですが、間髪入れず成田からの撤退を決定したそうで。一応米子空港は神戸ほど比率が高くはないとはいえ元々少ない路線がさらに減るというので、慌てた関係者が維持要請とか出したみたいですが、あまり意味は無いでしょう。

というのもこれ、路線の一時休止ではなく、事務所まで閉鎖してしまう完全撤退とのことですから。関空からは既に撤退済みにつき、これで国際線への進出は事実上不可能になりました。という事で、それ用の機体であったところのA380調達、その復活の可能性も消滅。従って手付金の回収不能、及び違約金発生も不可避に確定してしまったわけです。ついでに撤退費用も発生します。完全に債務超過です。

問題は、撤退以前ですら今回発生する負債の数分の一に過ぎなかったところの売上高が、本件撤退によって更に減る、というところでありまして。達成可能な営業益はどんなに頑張っても年10億かそこらでしょう。しかるに仮に報道にあるところの違約金700億が事実とすると、手付金と合わせて1000億近くにも見積もられる巨額な負債をどうやって返すのかと。当面は借入金で対処するとして、その利息だけでも少なく見積もっても年数十億、営業益を越えてしまいますから、赤字を多少減らした所で、利息の返済すら全く出来ない計算になるわけです。

一応、社債の発行とか増資とかも資金調達の手立てとしてはあって、それによれば利息を抑えうる可能性もあると言えばあるんでしょうけれども。しかし本件が発覚する前ならまだしも、この期に及んでそんな低金利で社債を発行出来るとは思えませんし、さりとて増資も、引き受け先の有無以前に現在の資本金142億に対して調達すべき額が大きすぎで現実的ではありません。じゃあ身売りは、と言っても、こんな本体より遙に大きい負債が付いてる会社を何処が買うんだという話で。

どう考えてもやっぱり詰んでるとしか思えません。本件の成田撤退も、もはやリストラというより清算に着手したと見るべきもののようにも思われるところです。そうだとして、最終的にいつどのような形での処理に落ち着くのかが気になるところですが、このどうにもならなさ加減と、元々代替もあり、そもそも弱小で社会の大多数にとっては消滅しても問題の生じない同社の立ち位置からすると、時期的には近いうちにあっさりと消滅で決着するのかな、とも。ただ、スカイ社の事ですから、おそらくは一々見苦しくも色々と揉めるんでしょう。最後まではた迷惑というか騒がしいというか馬鹿馬鹿しいというか、むしろその方がらしいと言えばらしい気もします。ともあれ、もうすぐお別れ。個人的には嫌いじゃなかったですよ。搭乗は面倒だし、乗り心地も最悪でしたけど。

スカイマーク、成田路線撤退へ…国際線は断念
スカイマーク米子6路線維持 県幹部が6日要望

そして後日発表された詳細スケジュールによれば、10月の変更時に成田撤退、さらに残りの路線にもまさかの大幅値上げをぶちかますそうです。数割から7割程度とか、正気じゃありません。ついでに予備等の削減も。唯一の売りとも言うべき低料金まで捨てて、只でさえ不安のあるバックアップまでも減らすとは。。。いくら当面の現金確保が必須だからと言っても、値上げすれば当然客は減るだろうし、またいわゆる削ってはいけない備えの部分に手を付けてしまっては、何かトラブルがあったら即死です。それを知った顧客はなおさら敬遠するでしょう。しかも、そこまでやってなお赤字の補填にすら全く足りないのだから救えません。もはやどうにもならないでしょうから、この上はせめて潔く廃業すべきだと思うのです。重大事故や取り込み詐欺的な何かをやってしまう前に。

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