3/18/2014

[biz] マレーシア航空機失踪を巡る憶測の洪水

Malaysia Airlines機失踪の件、誰も彼もが根拠もない思い込みを好き勝手に主張し、デマも同然の推測が飛び交う混乱の極みにあるようで、見るに耐えません。

そもそも、本件に限らず、トラブルに対処する際の一般論として、何よりもまず実行すべきは状況の把握であって、基礎となる事実を冷静に確認し、確実と考えられる事実のみを認識する事が求められるわけです。そして、その把握された事実を基礎に考えうる仮説を列挙し、その上で、現実性を主軸として仮説に優先順位を付け、実行可能性を考慮しつつ原則として優先順位に従い一つずつ検証を進める、もしくは実行不可能と判断して諦める、といった行動計画に基づく対処により確実な対処がなされるべきところなわけです。というか、そうでなければほぼ確実かつ即座に混乱に陥って収拾が付かなくなるのであって、そうしなければ何事も立ち行かないし、とりわけその問題が深刻で規模の大きい場合には絶対に必要なプロセスである、その事は、それなりのトラブルに対処した経験のある向きならば当然に弁えている話でしょう。

しかるに、事実と推測とデマが混然として区別されないまま飛び交い、また各国の各機関がてんでばらばら好き勝手場当たり的に振る舞い、対立すら当たり前、な現在の状況は完全に真逆、論外もいいところです。元はと言えば、そのとりまとめをすべきマレーシア政府自体がそもそも事実と推測の区別や整理以前に現状の把握から全く出来ておらず、自らデマを発生させ混乱を助長し続けているものとも言えるわけで、それは非難されて当然なところでしょう。

そういう、拡大悪化の一途を辿り、既に混濁もして収拾不能に見える今の構図は、何か企業における障害対応等のトラブル発生時における最悪の対応パターン、その拡大版のように思えて、であれば本件もその種の混乱と同様の結果すなわち破綻へまっしぐらな先行きも確信せざるを得ないわけで、心底うんざりさせられるのです。実際のところ、もうダメでしょうとも思います。巻き込まれた自衛隊はじめ関係者各位におかれましては、誠にご愁傷様としか言いようがありません。南無。

憶測で溢れかえり混乱する現状において事実と言えるのは、南シナ海上空で消息を断った、という所までのようです。周辺を捜索したものの見つかっていない、と言っても、その範囲は殆ど海面上のみで、海の底まで確認したわけでもない以上、単に海に沈んだものと考えるのが最も自然だし、可能性が一番高いように思われるところです。そして、仮にそうだとして、実際問題としてそれを確認する術は無く、またそうでないとしても、仮説も満足に立てられず、従って場所の絞り込みもままならない以上は、捜索自体が不可能なわけで、であればもう諦める他ない、そう結論付けるべきもののように思われるのです。

中国あたりは当事者として引くに引けないでしょうから、どう責任を他所に転嫁してトーンダウンするか、あるいは固執するか、悩ましいところなんでしょうけれども、日本あたりは元々捜索に参加する義務も義理もなかったのですから、かような状況であれば、もう一抜けた、して撤退してもいいように思われるわけですね。

無論、本件に巻き込まれ失踪した乗客とその関係者は同情に値するし、生存の可能性が残る以上、それを見捨てる事は人道に悖る故にまだ継続すべき、とそういう心情、理屈がある事は十分に理解出来るところですが、それに従って継続するとしても、最低限の前提というか見通しは必要だし、進め方と言うものがあると思うのです。それが全く無理なのであれば、如何な心情があろうとも、その行動、手段は支持しようが無い、とそういう事です。そして、その行動における判断と対処はともに状況に応じて速やかに行われるべきだと思うのです。

ともかく、続けるにせよ、諦めるにせよ、この見苦しいメディアの、報道とは到底言えないデマの山の拡大生産垂れ流しだけは、一刻も早く止めさせて欲しい、とそう心から願う次第です。