3/13/2014

[biz law] GMのリコール隠蔽、巻き戻される破綻の悪夢

GMのリコール隠蔽の件、その後米議会等を巻き込んで順調に追求が進んでいるようですけれども、多数準備が進められている民事訴訟に関して、GMが2009年に破綻・再生している事が法的にちょっと問題になっているようです。

というのも、再生処理を経た事により現在のGMは破綻前のGMとは法的に異なる新会社なのであって、また従前の債務は一旦清算されている事になっているため、本件に関する責任、賠償債務等を問うにあたり、その前提として新旧GMの連続性が必要となり、その是非から確認が必要になる、というわけです。で、その処理のため、再び破綻処理そのものを法廷で蒸し返す必要がある、と。もっともではありますが、面倒な話です。

とは言っても、破綻の前後におけるGMの相違点といえば、不良債権の有無程度であって、経営体制等、事業体としてはほぼ完全に引き継いでいるのだし、その同一性には疑いの入れる余地はないところです。また、本件破綻処理の際にGMがこの不具合と死亡事故を把握し、そして隠蔽し続けていた事もまず疑いようのないところです。従って、本件そのものに関しては、その実質的な論点において殆ど争われるべきものではなく、単に面倒というだけの事なんでしょうけれども。

本件自体というよりは、本件によって部分的にせよ破綻処理における清算の合意が覆される結果、2009年移行の処理そのものの妥当性、正当性が失われる側面もある、その部分の方が問題かもしれません。もし本件隠蔽がその破綻処理における判断に影響を与える重大なものだったと評価されれば、処理そのものが覆される可能性すらあるし、そうでなくてもその他諸々相当な範囲に波及する可能性は高い、というわけです。額も性質も史上最大なGMの破綻処理についての事ですから勿論尋常ではないわけで、考えるだけで恐ろしいものです。全て終わった筈の話、それもとびきりの悪夢と言うべき話とあっては尚更。

さらに、GMはその不具合を従来より数年早く、開発段階の2001年から把握していた、とかいう話も流れて、巻き戻す時間の拡大に伴い、その規模、悪質さ、深刻度をますます深めつつある本件、歴代の当局、米政府諸共に致命傷になって後には誰も残らなかった、とかいう結末も十分にありそうで、目先の利益に目が眩んで多数の人命を軽んじた報いとしてはそれでも不足に思えるところ、冷めた目を以って眺めざるを得ないのです。

Lawyers Prepare for G.M. Suits With Novel Strategies
G.M. Reveals It Was Told of Ignition Defect in ’01

[関連記事 [biz law] 米GMのリコール、隠蔽10年間に死者13人の因果応報]