3/17/2014

[biz] 中国でのニコンD600の黒点問題蒸し返しに

盛んに報道されている通り、NikonのD600が中国で欠陥商品と認定され、これを受けて上海当局が販売禁止命令を出したそうですが、何で今更、と首を傾げざるを得ない謎な話です。

ニコンのフルサイズ普及機である件のD600に、撮影画像中に黒点が写り込む不良が多数報告されていた事は、当時Nikonの主力機種として注目を集めていたのもあって、ユーザは無論の事、一般にもよく知られていたところでありました。完全に解決したという話も聞きませんし、今回の動きにも根拠の無いわけでは全くない事は明らかです。しかし、それはもう一年以上も前の話で、既に後継機のD610もリリースされて時間も経ち、D600も終息に向かいつつある今となっては、ユーザ以外には概ね忘れられていたようなものだった筈なわけで。かく言う私もこのニュースを聞いてそういえばあったねそういうの、と思い出した位なのです。

しかも、思い返すにこの問題自体、撮像素子等に不良があったのではなく、多分に後から機体内に入り込んだ細かい埃等が写り込んだだけのものが大半だろうと見做されていました。そうであれば、それは明らかな欠陥と言うよりはレンズ交換式カメラの避け難い性質で、各自の日々のメンテで対応可能な、またそうすべき範囲の軽微な事象と言えるように思われる程度のものなわけで。一部個体には、そのゴミが内部で発生しやすい場合がある事を指して欠陥だろうと指摘する向きもあって、事実なら尤もな指摘とは思いますが、それも推測に過ぎなかった筈ですし。

無論、だからと言って、サポートを疎かにしたり、対処が困難なユーザを突き放したりして良いわけは全くないでしょうけれども、Nikonも修理や交換等には普通に応じていたそうですし、概ね常識的な対応はしていたように思われるのですね。もとよりD600の購入者なんてコアな上客、そんな粗末に扱うわけは無いでしょうし、その辺の不手際を疑う理由は認め難く思われるところです。

かように、その影響の範囲程度共に大きいとは言い難いように思われる、それも過去の問題に対し、今回突然起きた中国での一連の動き、特にその規模には、俄には釈然とし難いものを感じるところであります。どういう事なのでしょう。競合他社のネガティブキャンペーンとか?と言ってもこのカテゴリでNikonに対抗し得るメーカーなんてCANON位しか無いし、そもそもこの種のゴミの写り込み等の問題はメーカー問わず多かれ少なかれ起きるものなのだから、多分に自爆にもなってしまうでしょうし、少々非合理に過ぎるように思われるところです。それとも、中国ではいい加減な対応をしていて、誰か中国の偉い人の恨みでも買ったですかね?はたまた単に製品の販売サイクルや関係する諸々の伝播にそれだけの時差があるってだけかもしれませんし。うーん。考えようにも情報が無いので何ともわかりません。

ともあれ。実際の事情がどうであれ、また如何に釈然とせずとも、現に中国国内でそのように見做されてしまい、実際に行政措置まで採られてしまっている以上は、Nikonとしては否応なく速やかかつ十分な対応をせざるを得ないわけで。元来から話の通じない中国社会相手に、さらに日本のメーカーとして排斥的な扱いも重ねて受けるだろうNikonが今後如何なる対応をするか、そしてその成否がどうなるか、とりわけその説明の仕方には、企業経営における危機管理の注目すべきモデルケースとして、興味を惹かれるところです。

D600は普及モデルとは言ってもその中では最も高価な製品ですし、そのユーザ数はそんなに多くないでしょうから、本件自体はユーザ毎に丁寧に対応すれば問題ないでしょうけれども。それよりは副次的に懸念されるところのNikonのブランド自体に対する悪影響を、如何に緩和し、回復を図るか、その辺が腕の見せ所でしょうね。さて。

中国、ニコンの一眼レフ販売停止命令 欠陥報道受け