8/10/2013

[PC] 電源の入らなくなったノートPCを修理

今回はノートPC、それもマザーボードの修理です。個人の工作としてはかなり難度が高い部類の作業ですが頑張りました。ええ頑張りました。

事の次第は、先日、知人から、ノートPCが突然電源が落ちてそれから起動しなくなってしまった、しかも運悪く保証期間が丁度過ぎたところでメーカー修理は高くつきすぎて×、何とか直せないか、という事で相談を受けたんですね。

電源ボタンを押しても何の反応もない、そもそも電源ランプすら付かない、というその症状から、故障箇所はマザーボード、より具体的にはよくあるコンデンサーの破損だろうと推測され、その交換作業は出来なくもない範囲ではあったので、駄目元でいいなら、と言うことで修理を請け負ってしまったのでした。

機種はThinkpad EdgeシリーズのE530。Lenovo製PCはとても有難い事に分解手順の記載されたメンテナンスマニュアルが公開されています。その手順に従ってマザーボードを取り出し、それらしいチップコンデンサに適当にテスターを当てて導通テストをしてみると、回路が短絡しており、従って原因は予想通りコンデンサの破損だろうと判断、交換作業にトライ。

まずは破損箇所の特定。幸か不幸か、変形や焼損等目に見える程に壊れているコンデンサは見当たらなかったため、どのコンデンサが不良なのかは分からず、短絡しているチップを一つずつ外しては残りの回路の導通チェックをする面倒な手順を踏む羽目に。一個ずつ進めること10数個目、下図で左下端、赤丸マークしたコンデンサを外した時にようやく回路の短絡が解消されたのでした。こんな端の極めて安価なチップが一個壊れただけで全損扱い、というのには多少なりと理不尽にも思われてなりません。もうちょっと融通の効く構造にできないものでしょうか、ってThinkpadブランドとは名ばかりの廉価PC、コスト的に色々困難ではあるんでしょうし言っても詮無い事と理解してはいるんですけれども。


なお下図はそれまでに外したコンデンサの一部。


この種の修理のセオリーに従うならば、不具合が出たロットのチップは全交換しておくべきところなんでしょうけれども、破損チップが特定された時点でまだ3/4以上のコンデンサは外しておらず、予防のためだけにその全ての交換を行うのはとても億劫に思われた事、また自分のいまいち頼りない技術ではその交換作業の中で却って周辺の回路を破壊してしまう危険の方が高いように思われたため、ここまで外した分のみの交換にとどめ、残りは交換しない事に決定。まあ再発したらその時でいいでしょう、知り合いのだし、金銭を貰ってるわけでもないし、とかそういう感じで。

そして交換、というか取り付け作業に着手。取り外したチップの容量を計測したところ、二種類の大きさがある対象チップコンデンサの内、2012型のが4uFと10uF、1608型のが0.1uF位、と判明。2012型が手持ちに無かったため4.7uFと10uFを急いで発注、その到着を待って作業開始。緊張で時折手をプルプルさせながらピンセットとはんだごてで取り付けること小一時間、作業完了。元通りに組み上げ、ドキドキしつつ電源を入れてみると、見事一発で起動。ばんざーい。


ちなみに、一連の作業の中で一番大変だったのはこのチップコンデンサの取り付けで、最初は上手く行かず難儀したのです。色々と試行錯誤した結果、あらかじめチップの両端子にはんだを少し付けておき、それをコテで基盤側のはんだにちょんちょんと押し付けるようにして接続するのが一番やり易く感じました。このやり方だと使用するはんだの量が多くなりがちで、見た目は不格好なんですけどね。チップと基盤、いずれか片方だけだと縦方向に斜めになったりして上手く付いてくれないんだから仕方ない。果たしてどうやるのが正解なんでしょう。うーん。

ともかくも、当然ながら数ミリ単位で部品が密集する基盤上のこと、すぐ近くの他の部品にコテやはんだが当たらないように配慮しつつの作業は精神的にとても疲れるものでした。しかしそれだけにやはり電源が入った瞬間のカタルシスは半端なく、とても満ち足りた気分に浸ることが出来て幸せです。後は不具合、火を吹いたりとかしない事を祈るのみ。

というわけで工作の時間でした。お子さんの夏休みの課題ネタとしてお勧め、はとても危険過ぎて出来ない大人の工作、スリルもやりがいも満点なのですよ。故障時にはショックというか血の気が引いて涼めるところも夏にぴったり、とか。持ち主本人には洒落にならないでしょうから言えませんけれど。