8/19/2013

[biz] 福知山花火大会の出店爆発事故の影響、これから

福知山の花火大会における爆発事故、残念ながら重傷者が複数死去する惨事に至り、また同時に出店の保安に関して運営側の管理、予防体制が皆無に等しかった事実も早々に確定し、そのあまりに大きい瑕疵を前にして、社会的にもこのまま単なる一業者の過失による事故としては到底片付けられないものと思われるわけですが、その予想される具体的な影響について少し。

まず責任の所在について。当然ながら第一に直接の責任は当の事故を起こした出店の業者にある事は明白です。その他に責任を負うものがなければ、後は被害者と当該業者の間のみで完結すべき話になるわけです。具体的には民事による賠償と刑事による業務上過失傷害致死です。この部分には一般の事例と比較して本件に特段の問題があるわけではありません。

しかし、この種の屋台は通常の独立した店舗ではなく、イベント運営の一環として営まれていた事で、当然にその運営組織全体にも一般の管理責任が生じています。それら組織の本件事故に関する責任が否定されるには、予防等の十分な措置が講じられていた必要があるわけですが、報道を見る限り十分どころかほぼ皆無であったものと考えざるを得ず、従って運営組織側にも民事の責任は認められ、刑事についても現時点で否定は困難であろうものと思われるところです。

すなわち、運営と業者は連帯責任にあるわけで、また本件屋台の加入していた損害保険の上限額は1000万程度との情報が事実であれば不足する賠償の補填を求めるだろう結果、今後提起されるだろう損害賠償請求訴訟においては当然に双方が被告となるだろう事はほぼ確実でしょう。有責性は殆ど争う余地もないでしょうから、問題は認容額の程度でしょうけれども、さてどうなるか。
 
さて。以上が本件単体に予想される先行きですけれども、この想定を踏まえると、色々と同種のイベント運営一般に影響が及ぶだろう事が予想されます。というのも、この種の出店、また運営のあり方は、縁日をはじめ、日本全国のあらゆるイベントに凡そ共通するものだからです。

本件運営組織である福知山商工会議所は、前記の責任を追求される結果、賠償等とは別に、今後の同種イベント運営において、相当の予防措置を義務付けられるでしょう。業者に対する安全確保体制の点検並びに各種証明提出、無制限の保険加入あたりはまず確実に義務化されるものと予想されます。そして、同様の出店について、全国で同様の規制がかかるでしょう。法制化されるか否かは不明ですけれども、社会的な圧力は相当なものになるでしょうから。

そうなれば、その帰結として、それらの規制に対応出来ない、いわゆるテキ屋と呼ばれる類の非正規性の強い業者は排除されるケースが増える筈です。暴力団排除の一環として既に実施した自治体では出店が激減した旨の報道がなされていますが、それと同様の光景がより広く一般に見られるようになるのでしょう。

ただ一方で、祭りの風情等としてこの種の出店が多くの人から愛されている事も事実ですから、一時的に不正業者が排除され減少したとしても、その後は正式な営業形態の、すなわち株式会社等として正式な法規制の下に運営される業者が保険も含め十分な与信を備えて新規参入を図り、出店自体は回復していく可能性は高いでしょう。その際に予想される排除された業者の妨害等を規制する法制も必要でしょうけれども、正式な法人であればそのあたりは容易でしょうし。いっそ非営利限定でもいいんじゃない、とも。

そういう変化を、管理社会化だ、として忌む向きもあるかもしれませんが、それよりは単にあまりに杜撰な運営組織が当然の修正を迫られただけと見る方が妥当な気がしますし、個人的には早急にそうなって欲しいとすら思う次第です。余程ましだと思うのです。こんな事故を見せられるよりは。

それに、そうやって一旦消滅して再生を果たした後、人々の愛した風情がそこにあるかはその時にならなければわかりませんが、仮に元と同じではなくとも、より愛すべき風俗がそこにないと考える理由はないだろう、とも思うのです。祭りは祭り。出店が入れ替わろうと、その本質は何も変わりませんよきっと。