3/27/2013

[biz] GSユアサ製自動車用リチウムイオンバッテリー発火

EV、PHV等、車用のリチウムイオン電池で発火事件が発生したと。当該電池は三菱向けGSユアサ製、国内の主要メーカーの車ではこれまで同様の事象は殆ど確認されていなかったところ、長らく懸念されたバッテリーの発火リスク、それがついに顕在化してしまった事になります。もっとも、同様の発火事象は、そのエネルギー密度の高さから、携帯デバイス類から先日のBoeing787まで、ほぼ全ての搭載製品で起こってきたものですから、容量も使用環境も従前のそれと同等以上に厳しい車用でこれまで特筆する程の事象が発生しなかった、その事の方が奇跡的だったというべきなのかもしれませんけれども。

既存例として車で同様のバッテリーの発火トラブルが大きな問題になったのは米GMのVolt位ですかね?ただあれは一応建前としては事故後の場合だった筈ですから、工場内で未使用の個体から発生した本件では、問題の規模、深刻さが全く異なってしまうわけで。損傷が無くとも製造段階から、すなわち全個体が同様に発火する可能性がある結論になるんですよね。特定ロットの製造ミス等が確認されれば範囲が限定されますが、まだ原因も判っていないようですし。しかし発表してしまった以上は予防措置すなわちバッテリーのリコールを実施せざるを得ないだろうわけで、一個数百万にもなるリチウムイオンバッテリーの価格を考えると割と洒落にならない事態に思われるところです。

とはいえ、EVにしろPHVにしろ、リチウムイオンバッテリーを搭載した車種の販売台数は幸か不幸かさほど多くはないし、従って全交換でも高々数百億程度の損失で済むでしょうから、現時点でそれほど大騒ぎする必要はないんでしょうけれども。少なくとも三菱は。ただ、部品メーカーとして他ユーザーからも同様の懸念と保証やら補償の要求を突きつけられるだろうGSユアサだけは本気で洒落にならないかもしれませんね。只でさえ787の件で危機なのに。まあでも懸念はされてた事ではあるし、それでビジネスをやってる以上はこういう事態への対応も当然の義務、適当に誤魔化して後々大惨事、なんて事だけは避けて頂きたく願うところです。本当に。

三菱自、EVやPHVのリチウムイオン電池で発火・発熱

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リコールも視野に、と三菱経営陣。まあそうですよね。とりあえず直接の該当車種であるハイランダーPHVとiMievは止めるそうですけど、さてどこまで延焼するか。隠さなかっただけ三菱も少しは進歩した、と思いたいところですが、実は隠しきれないと判断せざるを得ない程の事象が裏にあるんじゃないの、というような懸念も禁じ得ないあたり、一度失った信用というのは回復しないものなのですねとしみじみ思います。

三菱自取締役、PHEV「リコールの可能性ないと言えない」

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関係者もメディアも焦っているのか五月雨式に情報が流れていて少々げんなりします。 とりあえずユアサの製造ラインに責任をなすりつけようとしている様子ですが、製造段階で不良品が発生するのは当然の話、その選別も当然なされていなければならない筈で、本件のような納品後の異常はそこで不良品を通してしまった品証の責任だと思うんですけど、ユアサがどういう体制なのか少々疑問を覚えます。検査が難しい事情はあるんでしょうけどそれは言い訳になりませんし。あと、787のバッテリーとは工場も構造も違うから関係ない、とか言ってるそうですが、それだとむしろ逆に工場によらず製造方法とか検査体制とか基本構造そのものとか、製造ライン固有の不備より遥に深刻な問題があるものと解釈せざるを得なくなってしまうわけなんですが、いいんでしょうかそれで。いや良くないんでしょうけど。大分錯乱してる感じがしますねえ。

三菱自、原因は供給元製造ラインでの問題の可能性 電池発火

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