8/07/2012

[law] パキスタンの法廷で被告妻が弟に銃殺

これはまた・・・。当該法廷での被告はZulfiqar Sehto、殺されたのは妻のRaheela Sehtoで、二人は妻の家族の同意を得ない結婚をし、妻が家族に連れ戻されたために略取を訴えたところ、逆に妻家族から捏造として訴追されていた、その法廷で妻家族のうち弟Javed Iqbal Shaikhが被告妻(姉)の頭側部を銃撃し殺害したとのこと。これだけでもう無茶苦茶な話ですが、さらに驚くべき事には殺害犯たるJavedは弁護士だっていうのです。

当然Javedはその場で逮捕され、共犯4名も逮捕されたそうですが、反省後悔の情は殆ど見せず、曰く家族の名誉を汚され自失した、等と供述しているとのこと。そもそも凶器の銃を法廷に持ち込めた理由については、彼が特に威圧的で粗暴な弁護士として悪名高かったために、入廷前のチェックを拒否出来たからと。

先日のイギリスでの娘殺害の件といい、このところパキスタン人の無法な女性殺害が横行する現状が注目を浴びていますが、本件はとりわけその異常性、人権以前に法の概念そのものが存在しない未開地域、無法社会の理不尽さが際立って見られます。確認してみれば、パキスタンでのいわゆる名誉殺人による女性の殺害件数は2011年に確認されているだけでも約1000件にも上るのだとか。

無論、通常の法概念を持つ他の社会からすれば到底容認し難い状況であって、各方面からとりわけ強い非難もなされているようです。しかし、そもそも公法、成文法とそれに基づく司法自体が事実上形骸的なものに過ぎず、とりわけ結婚制度に関連する社会弱者の人権を保護する仕組み自体が存在しない社会構造、そこにこの異常性の基礎があって、各個人がそれが正しいと信じ込んでしまっている以上は、如何に非難が集まろうとも改善が望めよう筈もないし、人自体が入れ替わらない限りはこの状況は続いてしまうのでしょう。極めて無念な事ですが。

とはいえ流石に目に余る恰好になってきてはいますし、無法状態の改善を強制する動きが出てきて然るべきようにも思われるところです。何よりも必要なのは第一に被害女性を早期に保護するシステムの導入、また同時に司法の公平運用を強制する規制の追加とその厳格な運用、その2点に集約されるように思われます。その実現のためには、まずパキスタン政府と司法関係者の入れ替えが必要になる筈ですが、それにすらいつまでかかるのか、その可能性がどの程度存在するのか、想像するだけで絶望的な心持ちになってしまうのです。そもそもこういう無法状態はパキスタンに限らず多くのイスラム圏や現旧共産圏に共通する話なのですし、亡命制度の拡大運用とかででもないと対処出来ないんじゃないかとも思われるわけですが・・・。

A Pakistani Woman Was Shot Dead In Court By Her Brother For Dishonoring The Family