4/22/2012

[biz] 再雇用義務化に伴う現役賃金削減

NTTグループが、再雇用者分の人件費捻出のため、賃金体系を見直して30代半ば以降の昇給を抑制する方針だそうで。まあ、そういう話も出てくるでしょうね。近く導入される見込みの65歳までの再雇用義務付けに対し、一様に採算悪化及び事業自体の規模が縮小する環境下にあるところの大半の企業としては、総人件費の増加抑制に走らざるを得ないだろうし、仮に新規雇用数を据え置き、かつ総人件費を従来以下に止めるものとするならば、当然ながら一人当たりの年あたり収入を削減する他はないわけです。その対象に主力たる30代が含まれるのも、ある種当然の帰結でしょう。

しかしもちろん副作用はあるわけで。只でさえ時間外労働の禁止抑制策やら緊急対策と称して頻繁に実施される臨時の賃金カットが横行する現状、さらに本件のような恒久的かつドラスティックな賃金削減がなされれば、当然労働者側としても身の振り方を再検討せざるを得ないでしょう。その結果往々にして、実績ある中核的な社員程その能力の高さ故に残留以外の選択肢を見出す事に成功して流出、組織にしがみつくしかない程度の非生産的な社員の割合が増え、あえなく組織自体が機能不全を来して業績が悪化、そしてまたリストラ、さらに悪化・・・という負の循環に陥ってしまうんですね。その至る先は様々であるにせよ、好ましいものではないだろう事だけは確実、残念な事です。

もっとも負の循環自体は今に始まった話でなし。本件も既に陥っているその循環、その中の多少目に付く程度に大きいだけの一サイクルに過ぎないのかもしれません。そもそも本件のような措置が俎上に乗るのは年功序列的な賃金体系を維持してるところだけなわけで、成果主義に移行した所は本来関係の無い話なのだし。でも成果主義の所でも無理やり導入しようとしたりするんでしょうか。もしそうなら全く以って意味不明ですけれど、道理が通らずともやりかねない、というか多分にやりそうだと思わせるあたり、もう基礎的な部分が崩壊しちゃってるんですかね、と今更ながらに空しくも思われる次第なのです。

NTT、30代半ば以降の賃下げ計画 再雇用費に充当