12/08/2011

[law] 米銀行からの現金詐取多発、大量逮捕

米TD Bankにて、システムの不備を悪用した総額約百万ドル程度の詐取が発生して、94人が逮捕されたとか。不備の概要は、実名で開設した新規預金口座への小切手すなわち当座預金からの振込金について、振込元の口座に残高がない場合でも、即座に同人の当座預金口座へ移す事が出来る、というもので、これによって、口座が空の当座預金口座があれば新規預金口座経由でその利用枠を詐取する事が可能になった、ということですね。

当然ながら簡単に足がつくからその時点でお粗末、かつ一件あたりの被害も小切手の利用枠限度になるからさほど大きいものではないし、何より銀行でシステムを修正してしまうだろうから再発も考えにくいしで、社会的にはさほど気にする程の話ではなさそうです。一応はシステムをハックした恰好ではあるし、クレジットカードの信用枠換金等と違ってCredit ratingの低い人でも実行出来る点は目新しい、という位でしょうか。殆ど涙ぐましい努力、というか常識的にはそこまで手法を考えて実行する能力があるなら他の事に費やすべきだろうと思うわけで。あと、そもそも本件に利用出来るような当座預金口座が多数ある、と言う時点でねえ。というか金に困った人達が売ったのかとも想像されますけれど、その対価はせいぜい数百ドル程度でしょうに、そんなに追い詰められてるんですかね。

一方の銀行側にしても、100件近く発生するまで逮捕されなかった、というのは鈍すぎる気もしますけれども。似たような詐取は米国にあっては日常茶飯事だし、あまり敏感になっても仕方ないし後から取り返せばいい、とかいう感覚なのかもしれませんね。

あっちもこっちも、何とも色々と微妙な話です。

94 Indicted in Scheme Exploiting a Bank