6/02/2011

[biz] サプライチェーンにおける日本孤立論

震災以降、一時期はほぼ完全に供給が止まり、今以て回復の程度も極めて低い、日本における主に工業製品の生産とその海外への供給について、その影響は当初思われていた程高くなかった、との分析が出始めているようです。一言で言えば、グローバルなサプライチェーンにおいて、日本は孤立している、と。日本不要論的な読み方もそこかしこでされています。

もちろんこれは一つの極論には違いないのですが、概ね事実とも言えるでしょう。実際、他ならぬ日本企業自身が生産を海外に移し続けて来ていて、国外に競合もいない、日本国内でしか生産出来ない製品というのは確かに存在するけれども、その割合は非常に低くなって来ていたし、質、コスト等が異なるものも含めれば、競合品、代替品は当然海外でも生産されているわけで。

そういう事はずっと前から認識されていたし、だからこそ産業界を中心に、ドラスティックな新興国シフトが加速していたわけだけれど、今回の震災でその背景、世界の工場と言われた日本国内の衰退と孤立、それが図らずも事実だと確認された、とそういう事なのでしょう。

震災による被害を受けて、国外へのシフトがさらに進む、それは間違いない。それが、日本と海外の繋がりを再生する方向に働くのか、それとも逆に日本国内を見捨てる形でさらに孤立させる結果になるのか、それはまだわかりません。ただ、生産を通じて世界に資し続けて来た、地域としての日本の姿は、もはや幻となりつつある、その事実の前に、一抹の寂しさを感じずにはいられないところなのであります。

Japan Appears Dispensable as a Supplier