4/12/2011

[biz] 独でStreetViewアップデート停止

世界各国ですっかりプライバシー論争の象徴となったグーグルのストリートビュー、ついに独で停止との報道。停止と言っても、アップデートを取りやめるだけで、現在のデータはそのままにする、という事らしいので、停止と言うと語弊がある気がしますけれど。元々リアルタイム更新と言う訳ではなかったのだし、域外の人には違いは分からず、大体の街並み、目的地周辺の経路等を確認する程度なら普通に使える状態なのですから。逆に、これで現地の反対してた人達が納得するのか疑問ではあります。

かように微妙な話ではありますが、とはいえ、あれだけ頑なに進めて来た本サービスの拡大方針の転換という事で、グーグルとしては基本ポリシーに関わる話、その意味合いは小さいものではないでしょう。特に、法的には合法とする判決が独国内でも出ていたとの事、すなわち世論に押されての自主的な、極めて曖昧というか、経営戦略的な方針転換と読めますから、なおさら意味深な感じがします。他国でも反感を買っているサービスですし、波及も十分に考えられますね。日本はそれどころではありませんけれど。

ただ、何故今になって?と疑問も沸きます。もう十分に網羅したからか、というとそうでもなさそうです。今ちょっと見てみた所では、網羅出来ているのは大都市のみで、少し郊外に出ると殆ど点でしかカバー出来ていないようですし。それよりむしろ、費用対効果の面で、カバー範囲の拡大やアップデートに伴う人や車のコストが見合わなくなった事によるリストラ、と見る方が自然なような気がします。その口実、建前として市民世論の反発を利用したと。だとしたら、あまり良い印象はありませんけれど、誰も損はしないし、妥当なところなのでしょうか。

個人的には、田舎道も全て網羅する所まで行って欲しかった気もあるのですけれど。全部網羅出来れば、ロボット関係とか、色々と応用の夢が広がる、というのはあるので。確かに地元の人しか見ないような郊外や田舎の道は、大都市と比較して格段に利用頻度、密度が薄く、その意味で相対的に必要性が低いという事情に加えて、防犯やプライバシーへの意識も様々で問題が多いのだから、なおさら難しい、というのは想像出来ますし、仮に網羅出来たとしても、応用はどれも実際には困難なのも事実ですし。この辺を意識していた研究者や企業の面々はご愁傷様、という程ではないでしょうけれど。

しかしドイツの市民、世論の倫理感の強さ、その実際の影響力の強いこと。原発の廃止も実現しそうな勢いで、その責任を伴った理性的な動きには、尊敬の念を禁じ得ない所です。

Google Halts Street View Service In Germany