8/12/2010

[biz] 電子書籍は日本では共倒れしそうな気が

するんですよ。ひしひしと。

だって、デバイスがそもそも全く普及以前に確立すらしておらず、
デファクトも無い状態で、課金の話ばっかりしてるんですから。捕
らぬ狸の皮を取り合ってるようにしか見えないのですよ。

デバイス面では、可能性が一番あるのはiPadですが、漢字やら図を
表示するには解像度低すぎです。Kindleも同様。事実上アルファベッ
ト専用ですね。事業面での唯一の候補である携帯も同様。

これでは駄目、というか話になりません。そもそも、電子書籍を消
費者が必須と思える環境が全く整っていないのですから。従来の書
籍から乗り換えるだけのものにならなければ話にならないんですが、
そうなりそうな気配が全くしないのです。

何故か?これは想像に過ぎませんが、電子書籍の話を進めようとし
ている人達は、元々書籍を読まない人達が大勢を占めている事が一
因にあるのではないでしょうか。情報は全てネット、モニタ経由で
十分だと思っていて、書籍を実際に読まず、その利便性やビジネス
の仕組みを理解せず、それをベストとして利用しているユーザの事
がわからない、そういう人達が、単に金儲けが出来そうだ、と群が
って、手持ちの道具を無理矢理、思いつきや願望に基づいて当ては
めようとしている、そんな印象を受けます。

紙媒体の何が良いか?散々言われている事ですが、電子媒体との比
較で言えば、何よりもまず読みやすい事です。読みやすさの点で、
電子媒体、その表示デバイスは紙に圧倒的に劣ります。

対して、電子媒体のメリットは、即時性にあります。つまり、読み
やすさを犠牲にするデメリットを、配信の利便が上回って初めて意
味を持ちます。

このメリットは、通常の書籍には当てはまりません。一般の書籍は、
毎日更新されるようなものではないから、即時性はそもそも求めら
れていないのですから。ニュースやクチコミ等、限定的な情報の場
合にのみ意味があります。

もっとも、電子書籍の場合は保管スペース等が不要、というメリッ
トもあります。しかし、これは個々の本の利用時の話ではなく、読
み終わった本を保管する際の、副次的な話に過ぎません。個々の本
を買う時に、誰もがまず考慮するような事ではないでしょう。自炊
派の人達の多くも、まず書籍で読み、読み終わってから保管、アー
カイブ化のために電子化するのです。最初から電子版だけが欲しい
わけではない。

現状では、デバイス面でも、利用者の必要性の面からも、電子書籍
はまず読むための媒体として、一番に利用される可能性がない。ま
ずはその点をクリアしなければ話にならないのに、行われているの
は、生まれてもいない狸の皮の奪い合い。全くもって話にならず、
その先には共倒れしかないように思われるのです。