6/20/2017

[pol] まさかの悪い所取り、豊洲・築地併存決定でさらに積み上がる損失

東京中央卸売市場の件、小池知事がようやく方針を発表したそうですが。意味が分からなくて困ってしまいました。

結論としては、豊洲への移転は実行し、しかし築地は存続させ、将来的には築地へ戻す、というものです。何を言っているんだ、と。いや、事前に散々報道されてはいたので、実際驚いたわけではないのですが、まさか本当に、と思わずにはいられなかったのです。いやほんと、なんでこうなっちゃったんでしょう。

もとより本件の焦点は、移転した場合に生じる損失と、移転しない場合に生じる損失のいずれを取るか、という点にありました。すなわち、その深刻な土壌汚染及びそれにより不可避的に生じるだろう流通への悪影響と、豊洲の整備等に費やした巨額の投資の減損をはじめとした金銭的損失との、どちらを許容するかが主要な問題だったわけです。少なくとも、大多数はそのように認識していたでしょう。

しかるに、今回の案によれば、一旦豊洲へ移転する以上、前者の移転により生ずる損失は当然発生しますし、後者の金銭的損失についても、明らかに余剰となる築地を併存させるための維持・整備費、及び将来的な再移転時の費用に転じる形で生じる、というか、これから相当期間併存させる分、むしろ単に移転を取りやめた場合よりも損失は増えてしまいます。要するに、両選択肢の悪い所取りをしたような事になっているわけです。多額の損失を生じさせてまで移転を延期した結果がこれ、というのは、いくら何でも酷すぎるものと言わざるを得ません。頭おかしいんじゃないの?

大体、将来再移転した後には豊洲を別用途に転用する、というのであれば、今そうすべきところだろう、と。わざわざ巨額の費用が生じる移転を何度も繰り返したり、その間設備を余剰に保持して損失を積み上げるなど論外です。

本気で意味がわからないし、知事の意図も理解しづらいわけなのですが。。。これはあれですかね、作ったものを使わずに損失処理するのがもったいなくて出来ない、という話なんでしょうか。それとも、移転延期に伴う批判等や、豊洲への移転を中止した場合に東京都に生じるだろう損害賠償等の責任を回避したい、という話なんでしょうか。いずれにせよ、目先の損害に目が眩み、知事や東京都の保身のためだけに全体的な損失を積み上げる最悪の判断と断ぜざるを得ません。いやあ、酷いですね。

そもそも、高度に汚染されている事が分かっている場所を市場にする、という時点で現実と風評とを問わず、流通等に相当な被害が生じるだろう事も確実なのですし。。。あらゆる意味で誰も救われないものと言うべきその判断に、まさかここまで愚かとは、と呆れざるを得ないのです。

検査の改竄疑惑についても未だ説明すらされないままですし、なすべき事をせず、取り繕いややり過ごしを重ねた結果、既に事は破綻していて、それが都議選を前に無理にでもまとめざるを得なくなった事で表面化したのが本件、と解する事も可能でしょうか。何にせよ、無残なものです。

どう見ても都民ファーストとは言えないだろう愚行ぶりでもあるわけですが、さて都議選はどうなるのでしょうね?只でさえ実績もなく、有象無象の寄せ集め集団に過ぎない同集団が、それでも単に代表たる都知事のイメージだけを頼りに何となく支持を得る事になるのか、流石に幻滅されてあえなく散るのか。維新の顛末も記憶に新しいところ、未だ具体性すら覚束なかった同会がようやく実体を備えたと思ったらこれ、という話でもあるので、常識的に考えれば駄目だこれは、と見切られても不思議ではないように思われるところですが、さて。

小池都知事、豊洲移転を表明 築地も再開発

[過去記事 [law] 過去の検査結果改竄疑惑の高まる豊洲汚染]
[関連記事 [law] 東京中央卸売市場の豊洲移転頓挫に]

6/09/2017

[pol] May首相自滅、立ち往生してしまった英国

周知の通り、英国の総選挙(下院)が実施されました。結果は、与党Conservative(保守党)の明らかな敗北。第1党は維持し、かつLabour(労働党)をはじめとする野党勢力にしても一枚岩ではなく全野党の連立は困難と思われ、従って政権交代が起こる程ではないだろうことから、必ずしも壊滅的な大敗とまでは評価されないものの、単独過半数を失い、今後は連立なり個別案件での妥協なり、政権運営につき強い制約を受けるだろうところとなりました。

よりによってBrexitの手続の最中、国家の先行きを左右する重大な意思決定を山ほど行わなければならないこのタイミングにあってのこの議会・政府の機能不全をもたらすだろう変化は、誰にとっても好ましい事ではないでしょうけれど、致し方のないところなのでしょう。今回の選挙は、現首相のTheresa Mayが前首相のDavid Cameronの辞任後に議会によって選任されたものであり、しかも元々は本命ではなく他の有力候補が自滅したために消去法的に選出された首相であったところ、国民の信任を得てその政治基盤を確立すべく打って出たのが裏目に出た格好なわけですが、その元々の経緯やいわゆるHard Brexitを指向する若干荒っぽい政治方針からすれば、ある程度の反発が生じていたとしてもそれは自然な結果とも言えるところなのでしょうし。というか、元々からしてギリギリ過半数だったのだから、このような結果になりうる事は十分に予想出来た筈なのですが、May首相は一体どういうつもりだったのでしょうね?Brexitの国民投票実施を決断し、それが裏目に出たために失脚を余儀なくされたCameronの二の舞とも言えるような話でもありますし、それが頭をよぎらなかったわけは無い筈なのですが。謎です。ともあれ、既に終わった事です。さて、これが英国、EU、ひいては世界に対し、どのような帰結をもたらすのでしょうか?単にどうにもならなくなるだけかもしれませんし、特段の変化もないのかもしれませんけど。

ところで、2大政党の陰に隠れて、SNP(スコットランド国民党)が半減近い大敗を喫しています。 SNPはBrexit反対の急先鋒であるところ、その敗北によってEU残留派の伸張が相当に相殺・抑制された側面もあるわけなのです。この点、英国民としてはBrexitへの信任はいまだ不十分なものの、それ以上にScotlandの独立には否定的であると解釈すべきでしょうか?なかなかに複雑というか、面倒な事になってるというか、ますます混沌を深めるUKは一体何処へ行くのでしょうか。

UK election 2017: Conservatives lose majority

5/15/2017

[biz] WDの売却差止請求への東芝の言い分がデタラメ過ぎて

もう駄目なんでしょうか。そう思わざるを得ないのです。

2016年度3Qに続き、期末の決算も監査なしの大本営発表をして破滅へと突き進む東芝、その相変わらずというか、いちいち突っ込むのも面倒になる惨状っぷりにはもはや何をかいわんやですが、その説明会見でまた無理のあるトンデモな主張をしたようで。何かというと、メモリ事業の協業先であるところの米WesternDigital社による東芝メモリ売却に対するクレームへの対応の件です。

本件は、WD社(に吸収合併された旧SanDisk社)が、東芝のメモリ事業の主要拠点である四日市工場の共同運営につき締結した契約中、事業譲渡に際しては同社の同意が必要な旨を定めた条項に基づき、同事業の売却等に同意しないとして、事業の分割及びその譲渡につき共に差し止めを求めているものです。

これに対し、周知の通り遅くとも1年以内にはメモリ事業売却を完了させなければ破綻必至の東芝は、同契約は旧SanDisk社とのもので、WD社は行使出来ないだとか、行使出来るとしても、会社全部が吸収される場合は同意が不要な事から、子会社全部の譲渡には同条項が適用されない、等として拒絶の旨主張しているそうですが。。。そんな馬鹿な、と唖然とさせられたわけです。

法的に見れば東芝の主張に無理があるのは殆ど自明のように思うのですが、一応具体的に解釈してみましょうか。まずWD側の主張の是非について。WD社は旧SanDisk社を吸収合併したのだから、その権利義務共に全てを包括的に承継している事になります。よって、旧SanDisk社との合弁契約が有効である以上、WD社は当該契約に基いて権利を行使する事ができ、東芝はそれに拘束されるところとなります。すなわち、WD社は同条項に基づき譲渡への不同意を有効に主張できる、という事になるわけです。旧SanDisk社のものだからWD社は不可、とする東芝の主張には根拠がありません。というか意味不明です。

次に、分割後の子会社全部の買収の場合は適用対象外とする主張の是非について。今回東芝はメモリ事業を分社化し、その株式(の大部分ないし全部)を譲渡しようとしています。これは、実質的に事業の分割譲渡もしくは吸収分割と同等と言えるだろうものです。そして、それらはいずれも、法的には吸収合併のような会社全部の権利義務の包括的な承継とは解されず、一部の事業の譲渡(売買)にあたるものとされています。すなわち、原則として同条項で同意が必要とされる事業の譲渡につき、その実行にはWD社の同意を要するもの、と言えるでしょう。従って、包括的な譲渡だから同条項で同意が必要とされる譲渡には該当しない、とする東芝の主張はこれも失当となります。

そもそも、前者の主張では吸収合併について包括的な権利義務の承継を否定する一方で、後者の主張においては、明らかにそれより部分的であり限定的な筈の分割譲渡(の全体)について包括的な承継を肯定していたりして、論理の一貫性すらありません。控えめに言っても無茶苦茶です。一体誰がそんなデタラメな主張を作り出したんでしょうか。弁護士等の法的な知識のある者が近くにいるならあり得ない話だと思うんですが、東芝にはそういった専門知識のあるアドバイザーは一人もいない、とかいうことなんでしょうか。まさか、とは思うものの、監査法人との対立の様子からするとあり得ない話ではなく思えるのがまた。何にしろ、戦慄すべき事です。

ともあれ、おそらくはその話の通じなさに呆れ果て、またその経緯の説明すら殆どされない不誠実さに不信を極めただろうWD社は、早々に当事者間の対話による解決を諦め、司法に解決を求めるべく仲裁を申立ててしまいました。仲裁判断の申立てには当事者双方の合意が必要ですから、あらかじめ契約条項に紛争時には仲裁を申し立てる旨が規定されていたという事なんでしょうけれども、この種の条項が実際に行使されるというのは本当に珍しい話です。その珍しさが、今回の東芝のデタラメさ加減をよく表している、とは言えるかもしれません、とそれはともかく。

本件申し立てに伴い、おそらく権利保全のため、売却手続の一時差止等が請求される可能性は低くないでしょう。仮にそれが認められれば、少なくとも判断が下されるまでは売却は出来ず、当然ながら債務超過の解消も出来ない事になります。国際仲裁裁判所の仲裁は一審制で上訴不可につき、それなりに早期に決着するものと予想されますが、それでもこれだけこじれて当事者間の対立も激しく、また規模も大きく複雑な案件が、東芝にとっての文字通りのデッドラインである所の数ヶ月とかで決着するものなのでしょうか。そうでなかった場合、その結果の如何によらず、その前に東芝は即死してしまうわけなのですが。。。まあその辺は今更ですかね。元々あらゆる面で山のように無理がある事は明らかなのだし、そもそも間に合ったところで東芝が勝てる可能性の方が明らかに低いのですし。さてどうなることやら。

(注・追記)

ちなみに、同裁判所における仲裁の過去の例では、スズキがVWを相手取って起こした株式の売却請求の仲裁に関して、申し立てから決着までおよそ4年もの時間がかかっています。もっともこれはVW側が遅滞戦術をとったためとも言われていますから、一般にそれほどの時間がかかるとは言えないのでしょうけれども、それでも数ヶ月で決着すると考えるのは無理がありそうです。

米WD、東芝の半導体売却差し止め請求 再建計画遅れも
米WDが差し止める根拠ない、メモリー売却で東芝社長

[関連記事 [biz law] 監査なしの決算発表という違法行為]

5/12/2017

[law] 共謀罪がビッグブラザーを連れてくる

今まさに国会において組織犯罪処罰法の改正が決議されようとしているわけですが。本改正案はいわゆる共謀罪の、殆ど新設と言うべき大幅な拡大がその中核を為しており、従来の刑法の体系を崩すものである事、またその濫用の恐れが極めて高い事等から、国会内は無論、広く社会上で批判、反対の声が上がって来ていたものです。

しかし、このまま行けばそれらの批判、反対の声を無視する形で強行採決によって成立となるだろう事はほぼ確実なように思われるわけです。それ自体は、如何にその法案に問題があろうと、選挙によって与党にそれだけの議決権が与えられているのだから、致し方ない事なのでしょう。そして、現実に成立する運びにある以上は、その内容を正確に把握しておく必要があるわけです。将来的には濫用の被害が及ぶ事が確実視されるのであれば尚更。

まず、本罪の要件について。これは、実行準備行為を伴う組織的犯罪集団による重大犯罪遂行の計画、と題して新設される第六条の二に規定されています。客体は、組織的犯罪集団の活動として、もしくは組織的犯罪集団を利する行為を二人以上で計画した者が対象とされています。組織的犯罪集団の構成員ではない、協力者や賛同者等の外部の者も含む事から、実質的に一般人も対象となるものと解されています。また、人数の要件も二人以上と単独以外の全てを含みます。既遂要件は、その計画に基づく資金・物品の手配、場所の下見等の実行のための準備行為の実行となっています。未遂は罰せられませんが、これはそもそも共謀行為自体が基本的に着手即既遂になり、未遂を観念する事が困難であるためでしょう。この点、行為者をして共謀の時点で既遂になってしまうため、共謀行為自体には一定の予防効果が期待される反面、計画をしてしまった場合については、その時点でもう犯罪者になってしまったのだから後には退けない、と実行を決意させやすい効果を生む懸念もあるのですが、それはともかくとして。

この要件に照らして典型的な例を考えると、例えばネット上で情報を確認する等の下調べ等をしつつ複数人で計画を練った時点で既遂となって本罪の対象となる、という事になります。爆薬や薬物の製造法を確認する、等も該当するでしょう。単に話をするだけの場合は対象外ですが、通常は書籍なりネットなり、何らかの情報の収集と平行して計画が行われるものでしょうから、むしろ話だけの場合の方が例外的であり、その範囲は極めて広いものと解すべきでしょう。組織的犯罪集団の活動or利する行為という点も、実行者側からの一方的な、共感する程度のケースも含まれるだろうところ、殆ど制限にはなっていないように思われます。

かようにその適用範囲は非常に広く、他者との交渉を絶っているような人物以外は全て潜在的な対象と捉えうる要件になっているわけです。つまり一般市民は殆どが容疑者足り得るものと想定されており、摘発ないし防止の対象となる、という事です。ここで問題になるのは、司法によるその摘発又は防止のための活動がどのようなものになるか、です。上記のような共謀活動を察知し、その証拠を捉えようとするならば、自然と市民の日常生活全般に対する監視が必要になります。そうである以上、必然の結果として、公と私を問わず、各種の通信、会話、日々のあらゆる言動、活動に対して公権力による監視が行われるものと予想されます。

そして、そこで捉えられた言動、活動をして、上記の共謀罪の要件に適合すれば、およそ既遂となっているだろう以上、その真意を問わず逮捕等の摘発は避けられず、あるいは刑罰の適用も避けられない事になるでしょう。一度容疑がかかった後で、それを覆す事は一般市民にとっては極めて困難であり、それが多くの冤罪をも生むだろう事も想像に難くありません。そのような事例が1件でも生じれば、多くの人をして無用に強く脅えさせる事になるでしょう。

換言すれば、今回の共謀罪の拡大は、まさに官憲がビッグブラザーと化し、市民生活におけるプライバシーの消滅をもたらす可能性が極めて強いものと言えるだろうわけです。おそらく一般市民の中にそれを歓迎する者は、一部の破滅主義者を除けば殆どいないでしょう。しかし、本件法案の成立は既に殆ど確実となってしまいました。この上は、冤罪を防ぐべく、自衛を図るより他にどうしようもありません。

具体的にすべき事は、と言っても範囲が広すぎて一々挙げるのも大変なのですが、、、一般的な点に限って言えば、テロや戦争絡みの話題、また会社等の組織に関する発言は極力避け、また通信は監視の目にかからないよう、WhatsApp等のP2Pでかつ秘匿されるものを使用し、オープンな場での発言や活動は可能な限り控えるべき、という事になります。面倒な事ですが仕方ありません。

そういった言動に直接関係する事項の他にも、個別の法令に関して注意すべき、あるいは控えるべき事項は多数に上ります。著作権法違反も対象であり、既存類似の表現の使用を計画しただけで逮捕される可能性があります。気をつけましょう。もとより組織であるところの会社関連の犯罪はその多くが対象とされています。経営陣は株主等に配慮をしようとしたり、決算に化粧をしようとしただけで摘発されかねません。大変ですね?脱税は無論対象ですから、誤解されないよう会計処理は慎重にしましょう。なにせ、"チャレンジ"を計画ないし指示しただけで、その結果を問わず逮捕されかねないのですから。不正競争関連も対象になりますので、引き抜きや受け入れを画策した時点で逮捕されかねません。極力同業からの転職者の受け入れは避けた方がいいでしょう。特定目的外派遣ももちろん対象です。派遣先で迂闊にそのような業務が振られる可能性は全て廃除しておかなければなりません。児童ポルノ?当然対象です。そのような性癖を持っている人は、実際にそのような行為や画像の取得等をせずとも摘発対象となり得ます。児童ポルノの関係者なんてみな組織的犯罪集団なのですから言い逃れは出来ません。摘発されたくなければ、誰にも悟られないよう、自身の心の中に留めておかなければならないのです。

そんなわけで。あまりに対象が広すぎて、もう面倒だから人と話したりメッセージをやりとりする事自体を控えるべきかとすら考えてしまうようなものなわけです。うんざりしますね本当に。

5/09/2017

[law] 権力側がその権力をもって憲法改正を主導するという不条理

ここ最近、俄に憲法改正をすべきとする主張が活発になっているようで。その発端は周知の通り首相の談話であり、その拡大要因もまた今以って連発されている国会等における首相の発言によるわけです。

これは本来あってはならない話な筈なのです。憲法の最も重要な役割には国家権力の規律・抑制があるわけですが、首相は行政権の長であり、すなわち国家権力の担い手そのものであって、当然に憲法によって規制を受ける側なわけです。それが、自己の都合の良いように憲法を変更するというのでは憲法自体が形骸化し、無意味と化してしまうでしょう。行き着く先は、国家権力が全てに優先する全体主義的な独裁国家です。

憲法が守るべきは、人権はじめ普遍とされる各種の権利ないし価値です。国家権力は法により抑制されなければそれらの権利や価値を容易に侵害・破壊してしまうものであるところ、それを抑止するための法が憲法であり、本来、権力を行使する側は特別な利害を有することから、その改廃に関わる事すら禁じられるべきものであるわけです。実際、憲法改正の手続に、首相はじめ内閣や官庁ら権力側が関与するところは一切ありません。あくまで国会と国民の意思に委ねられている事項なのです。

なのに、今現在報じられているところでは、"首相が"憲法改正を公約に掲げ、その必要性を主張し、各所にその実行を呼びかけている、という。無茶苦茶です。全く以って、憲法の意味を理解していないとしか考えられません。野党の各議員からは弱いながらも反発が起きているようですが、これは当然と言うべきでしょう。

これに関連して、経団連が憲法改正について意見する、という話も報じられています。 これは一応民間からのものにつき、首相のそれよりはまだましではあるものの、不条理を孕んでいるように思われます。経団連を構成するのは、大企業の経営者です。日本におけるそれらの大企業は、政府と一体となって権力を行使する事もままあるし、それ以前に一般に組織を第一とし、個々の人権等をむしろその障害と捉える、全体主義的な構造を有している事は周知の通りです。その頂点にある経営陣はどちらかと言えば憲法によって規制されるべき側であると言えるでしょう。そうである以上、個人としての立場から発言するなら格別、それを超え、経団連としてその社会に対する影響力を以って憲法改正について主張し、あるいは誘導する事は、許されないものと言うべきでしょう。

それでも、内容が権力の規制強化というのならまだしも、自民党の草案では、見事に権力の強化に特化されており、それと相反する人権等の各種の権利や価値については、およそもれなくその保護を弱め、すべからく公権力に劣後させるものとなっています。それを権力を行使する側が欲するというのは当然といえば当然ではあるのですが、それを臆面もなく、さも自然の事のように主張するという狂った有様には、流石に戦慄を覚えざるを得ないのです。仮にも首相がこれというのはいくら何でもヤバすぎるでしょう。米国でトランプが無茶言ってるから、少々無茶言っても大丈夫だろうとか考えてるんでしょうか。恐ろしい事です。

[関連記事 [pol law] 強弁と虚言の稲田朋美防衛大臣を擁護する首相・与党の狂気]

経団連会長 経済界も憲法改正で年内に提言へ

[biz] はこBOON終了に見る戦慄すべきヤマトの常識外れな安易さ

はこBOONが休止だそうで。本サービスは伊藤忠が傘下のファミリーマートを窓口にして提供して来たものですが、キャリアがヤマトという事から、現在進められているところの料金値上げ及び法人契約見直しの影響である事は明らかです。

基本的にサイズフリーで重量に応じた料金制である事から、衣料品や楽器等、大型かつ比較的軽量な物品の送付に際してはコストパフォーマンスが良く、オークション等で広く利用されていました。私も使った事があります。同等のサービスは他には存在しない事から、代替への変更に伴いコスト上昇を余儀なくされる向きは相当に出るでしょう。仕方がないと言えばそうですが、またドラスティックにいったものです。

一応、廃止ではなく休止という事ですから、将来の再開の可能性もあるにはあるのでしょう。ですが、その場合も運賃の大幅な上昇ないし其の他制約が強められ、その特徴がほとんど失われる形になる事は避けられないでしょうし、一度打ち切ったものを復活させるのは言うまでもなく相当な困難を伴いますから、これはもう事実上の廃止と捉えてもいいかもしれません。

しかし、今回の件、ヤマトが契約見直しに際し、中小の法人契約で一方的に打ち切りを通告するケースが多発している事は既に報じられていましたが、このクラスの契約でも躊躇なく切り捨てている事が明らかになりました。これはなかなかに衝撃的な話です。今回の運賃等の見直しにあたり、ヤマトが個人・法人を問わず全面的に値上げ・打ち切りを行うものとしている以上、現段階で個別に妥協するのが難しく、またその目的が輸送量の削減にある事もあって、相手が何処であろうと、どのような案件だろうとを問わず、条件(値上げ)が受け入れられなければ即打ち切り、となりやすい事情はあるのでしょう。けれども、大口顧客との関係というのは、本来そんな簡単に打ち切っていいようなものなのかというと無論疑問なしとは言えないわけです。そのサービスの立ち上げや普及等にかけられたコストだけを見ても、容易に切り捨てられるような小さいものではない事は明らかなのだし、常識的には、個別の事情に照らして妥協点を探るべく、少なくとも相応の時間をかけて交渉するものでしょう。

それでもあっさり切り捨ててしまったのが本件というわけです。あまりに安直というか安易というか、この有様を見るに、ヤマトの事業にとって最重要と言えるだろうamazonはじめその他の大口顧客とのサービスも同様に打ち切りとなる可能性が相当に高いものと考えるべきなのでしょう。無論、それで利益を出そうが損失を被ろうが、その辺はヤマトの自由なんですが。。。思ったよりも大変な事になりそうというか、一民間事業者に過ぎないヤマトの経営判断によって、法人、個人問わず、ユーザたる社会一般について大幅にその活動が制約されるだろう意味で、多くの人にとって残念な帰結になりそうです。いやはや。

5月9日 はこBOON サービス休止のお知らせ

[関連記事 [biz] ヤマト運輸が荷物量増大対策に運賃値上げ、の意味不明]


4/23/2017

[note] samba4.5.0以降でwinxpから接続出来ない問題の対処について

先日リリースされたubuntuの最新版17.04へのアップグレードをしたところ、sambaにwinxpのPCから接続出来ない(パスワード認証に失敗する)事象が起こるようになってしまいまして。

具体的には、ネットワークドライブへの接続等によってエクスプローラからsamba経由でサーバのフォルダを開く際、ユーザ名とパスワードを入力しても弾かれるようになってしまったのです。windows7以降のPCで確認してみたところそちらでは問題なく、従ってwinxp以前のPC特有の障害という事になるのですね。いくらXPのサポートは既に終わっていると言っても、実際問題使えないのは困ります、のでその対処法を調査しました。

結論から言えば、本件事象の原因はsambaの認証方法周りの仕様変更(セキュリティ強化)によるものです。ubuntu17.04におけるsambaのバージョンは4.5.4になるのですが、4.5.0以降はXPでデフォルトの認証方式になっているNTLMv1がデフォルトで無効となるよう変更がなされていて、このためXPでは認証出来なくなってしまった、というわけです。

対処方法は2通りあります。一つは、sambaの設定を変更してNTLMv1の認証を有効にする方法で、もう一つはXP側の認証方法の設定を変更して、NTLMv1は使わずその後継のNTLMv2を使用するようにする方法です。

前者はつまるところ元に戻す事に他ならず、これだとクライアントは何ら変更を要せず、サーバの設定だけを変えればいいので簡単なのですが、NTLMv1はあまりに脆弱な事が既に明らかになっているので、一般にはあまりお勧めは出来ません。まあ、デフォルトで無効にされる位には危険なものだという事なのです。少なくとも、オープンなネットワークに接続するサーバで本認証方式を一般に有効にするのはやめた方がいいでしょう。そもそもXPのPCからの接続が必要になる頻度も減っているわけだし、新しい方に合わせた方がいいだろう、という事で、後者のXP側の設定を変更してNTLMv2に切り替える方法を取りました。その手順は下記の通りとなります。

<NTLMv2設定方法>

[コントロールパネル]-[管理ツール]-[ローカル セキュリティ ポリシー]の設定画面中、[セキュリティの設定]-[ローカル ポリシー]-[セキュリティ オプション]の中にある[ネットワーク セキュリティ: LAN Manager 認証レベル]を開きます。


表示されるダイアログの[ローカル セキュリティの設定]タブ中に認証レベルの設定項目があります。デフォルトでは、[LM と NTLM 応答を送信する]になっている筈。


これを、[NTLMv2 応答のみ送信\LM と NTLM を拒否する]に変更。これで、認証方法がNTLMv1からNTLMv2へと切り替わります。


変更後、再起動して完了。以降はsambaの認証が従来通り可能になっている筈です。

ちなみに、危険を承知でsamba側の設定を変更してNTLMv1を有効にする方法は、smb.conf中の適当な所にntlm auth = yesを挿入するだけです。

というわけで、元通りネットワークドライブ等にも接続出来るようになったのでした。しかし、毎度の事ながらsambaには難儀させられますね。本件の仕様変更も、セキュリティホールを塞ぐという正当な理由がある事は理解出来るのですが、何の説明もなくいきなり接続出来なくなり、原因の調査からしなければならず、そのかかる手間や迷惑具合は、ユーザからしてみればおよそ不具合と何ら変わりないわけで。とても困りますし、どうにかならないものでしょうか。ならないんでしょうね。ともあれ、今回はこれでおしまい。

※ なお、今回の事象の調査過程でログ等を見ていて気がついたんですが、mangle関連でエラーが出るようになっています。obsoleteになってしまったんでしょうか。そうだとするとちょっと困るわけですが、さてどうしましょう。。。

[関連記事 [note] ubuntu17.04導入]
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4/18/2017

[note] ubuntu17.04導入

春ですね。ubuntuユーザには恒例のアップグレードの季節です。今回のバージョンは17.04で、コードネームはZestyZapus、ピリッとしたトビハツカネズミさん(北米在住)です。ここ数バージョンは段々とファンタジー色というか不思議生物感が薄れて来ていたところでしたが、ついに完全にリアルな動物になってしまいました。つい先日モバイル版及びUnityの終息が発表されたところでもありますし、夢を見る時間は終わったという事でしょうか。

その辺の枯れた感じはReleaseNoteを見ても明らかです。Server版はopenstack等を中心にそこそこの数のアップグレードがありますが、Desktop版については実質的にカーネルの更新(4.10)のみで、新バージョンにする意味は殆どありません。プリンタ周りの一部ドライバーレスプロトコル対応で恩恵を受けるユーザは極めて限定的です。カーネルの変更に伴い、swapのファイル化(パーティションが不要)に対応した点は注目すべきでしょうけれど、後方互換性を考えると実際に使う気にはなりません(というか、本機能の使用は新規インストール時限定です)し、そもそも大半のユーザにとってはどうでもいい話でしょう。

これならば様子見する必要もないだろう、ということで速やかに適用してしまうことにしました。今回の対象はノート3台にデスクトップ(サーバ含)2台。全てアップグレードです。いつものようにupdate-managerから適用し、数件の設定ファイルの更新について応答しつつ待つこと数十分、いずれも特に問題もなく完了しました。動作確認した限りでは、特に問題はありません。前回酷い目に遭ったtcshのバグの再発もなし。前々回のIMのような不具合もなし。これは今回の変更内容からすれば当たり前の結果というべきであって、前回や前々回の不具合の方が本来ありえない話だったというべきなのでしょう。

不具合がないのはいいのですが、それはやはり変化自体がないからであって、いよいよもって新リリースをする意味自体がない感じに。。。Server版を更新する意味と必要はあり、その際にServer版とDesktop版とを乖離させるわけにもいかないという事情から、アップグレード自体を取りやめるのは困難という事情はあるのでしょうけれど、Desktop版ユーザにとってアップグレードは最早手間がかかるだけの無意味なものになってしまっています。かといって上げないでいると、いざアップグレードすべき時になってスキップ出来ずに何回も繰り返す羽目になったり、あまり長く間を空けすぎると、ギャップが大きすぎてトラブルが起きたりするしでままなりません。何とかならないものなのでしょうか。ともあれ、今回はこれでおしまい。

(追記)

アップグレードをしたサーバ(samba)に、winxpのPCから接続出来なくなる問題が発生しました。これはsambaのバージョンアップ(4.5.2)に伴い古い認証方法が無効にされていたためで、対処は簡単ですが冷や汗ものです。困りますねこういうのは。

[note] samba4.5.0以降でwinxpから接続出来ない問題の対処について

[関連記事 [note] ubuntu16.10導入 ※tcshユーザは回避推奨]
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4/15/2017

[biz law] 自動ブレーキ試乗デモ失敗で衝突事故

欠陥機能を見切り発車的に載せる自動車メーカーが悪いのか、それともそれに騙される方が悪いのか。いずれにしろ、またやらかしたそうです。今回は千葉にある日産ディーラーの試乗車(セレナ)で、公道を試乗中、前方で停車している車がいる場面で、あろうことか自動ブレーキを故意に働かせようとして敢えてブレーキを踏まないよう運転している顧客に指示したところ、動作せずそのまま前の車に衝突、衝突された車に乗っていた人が軽傷を負ったんだそうで。

無論故意ではないものの、補助機能に過ぎない自動ブレーキ機能の動作の特性を誤解し、事故の危険が伴う違法な指示を出したディーラーの担当者は無論第一に有責であり、おそらく自動ブレーキ機能について知識も乏しかっただろう運転者にも、漫然と指示に従うのみで、自動ブレーキが効かなかった場合に備えて通常のブレーキを動作させられるよう備えておかなかった過失が認められるわけで、いずれも犯罪となります。過失傷害と注意義務違反でしょうか。公道上で事故を起こした責任は、決して軽いものではありません。

本件は、以前マツダのディーラーが同じく自動ブレーキのデモに失敗してフェンスに突っ込んだ件とほぼ同じ事情によるものですが、あれはディーラーの私有地内での単独の物損事故であり、結果的にはまだディーラーの自己責任と言えるものでした。それと比べても、他の車を損壊させ、また人身に被害も生じさせた本件は過失の程度が高く、責任も遥かに重いものと評価すべきところです。

自動ブレーキが作動しなかった理由は天候不良等によるものとされているようですが、そんな事は何の言い訳にもなりません。その程度で動作不良を起こすような、全く信頼に値しない欠陥機能を登載して売りにしているところからして、安全性が何よりも重要な筈の自動車のそれとして不適切だと言わざるを得ないところですし、それ以上にそのような稚拙な機能を完全なものと思い込み、顧客をして事故を起こさせ、何の関係も落ち度もない他人をして被害を被らせるなど言語道断です。

しかしさらに恐ろしいのは、現行セレナが売りにしているのは自動ブレーキ機能のみではなく、より総合的な自動運転機能の登載を謳っている点にあります。一般に自動運転機能、という表現が意味するところは、自動ブレーキ機能以外にもオートクルーズや自動駐車等様々ですが、それらに共通する必要条件として、当然ながら車の周囲の状況、先行車、対向車、歩行者も含む障害物等、およそ全ての状況を把握出来る事が必須になります。そこに誤り、特に見落としや誤認は絶対にあってはなりません。絶対にです。特に走行中であれば、最低限前方の状況の誤認識は許されません。でなければ即事故を起こしてしまうからです。

しかし、今回の事故ではよりによって前方車を見落としてしまいました。見落としをした時点で、衝突事故の発生は必然の結果であったという他ないわけですが、最も基本である筈の、至近距離にある前方車の認識にすら失敗するようでは、より複雑で、速度等シビアな環境で正確な認識を要求するだろう他のアクティブ系の機能が動作すべき時には、なおさら失敗の可能性は高いものと考えざるを得ません。機能が自動ブレーキだけで、かつドライバーが運転を誤った場合等の補助的なパッシブ機能としてのみ動作するのなら、まだ積極的に有害とまでは言えないかもしれませんが、そうではないのです。その他の、能動的な動作を主とする機能に誤動作の可能性が高い、というのは致命的で、到底許容出来る筈もありません。結局のところ、セレナの自動運転機能はきわめて危険なものと評価せざるを得ないでしょう。

当然ながら、いくら便利で先進的な機能でも、その動作に事故の危険を伴うのであれば無意味です。それどころか有害と言えるでしょう。まして、今回のように雨天という当たり前に生じる状況になった位でその誤動作が生じ得る、というのでは話になりません。のみならず、その危険性を十分に認識し、さらに顧客へ周知させる義務を負っている筈のディーラーの担当者ですら全く理解すらしていない、というのでは。。。高速走行中等でなくてまだ良かった、というべきなのでしょう。実際、米ではTesla Model Sで既に死亡事故が起きてしまっています。そのような、取り返しのつかない重大事故が起きてしまう前に、登載自体取りやめるべきだと思うのです。

しかし、日産は無謀にも2020年までの一般道での完全自律自動運転車の実現を掲げているわけで。その目標の経営方針における位置づけの重要さ加減からすれば、おそらくは強制されない限りそれを取り下げる事はせず、従って今回の、比較的軽いと言えるだろう被害の発生程度では防止には動かないのでしょう。そうであれば、その無謀が犠牲者を生むだろう事は殆ど避けられない必然であって、そうと知りつつも避ける事すら困難な現状には、暗鬱たる思いを抱かざるを得ないのです。

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4/11/2017

[biz law] 監査なしの決算発表という違法行為

東芝の再延期された2016年度3Q決算の発表予定についてですけれども。またしても正気を疑うような話が流れているのは一体どういう事なのでしょうか。

本決算について、先頃破綻した米原発子会社Westinghouseの会計粉飾疑惑に絡み、監査法人が過年度に遡って再度監査する必要があるとの見解を取っているために監査が完了せず、そのため決算発表が出来ないだろう見込みとなっている事は周知の通りなところ、監査意見なしでの決算発表をしようとしているんだとか。東芝経営陣以外の誰もが嘘だろと思ったんじゃないでしょうか。

法が上場企業等の大規模な法人に資格者による監査を義務付けている趣旨は、誤った会計情報の流布及びそれによる市場の正常性・公正性の毀損を防止し、投資家をはじめとするステークホルダー、ひいては社会経済全体を保護する事にあります。しかるに本件で監査法人が適正意見を付けられない理由は、今回の決算の基礎たる過去の決算に不正があったとの疑義が強いためであって、すなわち現時点での東芝の作成した決算に重大な誤りが存在する可能性が極めて高い事は明らかです。それを発表するという事は、法が保護しようとした市場・経済の安全をあえて毀損しようとする、明らかな違法行為と解さざるを得ないものなわけです。それを承知で発表に及ぶ以上、仮に過年度の決算訂正等が実際に行われた場合、東芝経営陣はそれに絡んで生じた損害の賠償等、不法行為に基づく法的責任を問われる事になるでしょう。

3回の決算発表延期は前例がなく、さらに延期したとしても次の期限になるだろう一ヶ月後に 適正な決算を発表出来る見込みが立たない現状、本決算を発表しなかった場合にそれを理由として上場廃止の措置が取られる可能性はないとは言えないだろう事から、形式的にでも決算の提出をしておきたい事情はあるのでしょうけれども、そうだとしても、市場の安全性はそのような東芝の事情、利益とは比べるべくもなく侵すべからざるものなのであって。

既に現時点で東芝に関連するその辺の市場の公正性は失われているのだから、この上に不正な決算が発表されたところで今更実質的な損害は発生しない、という見方も出来なくはないのかもしれませんが、それを言ったらおしまいというか、それを認めるならば、今回の決算の発表云々以前に、東芝は既に上場廃止に相当するものと言わざるを得ないわけなのです。

いずれにしろ、監査なしの決算など百害あって一利なし、そんなものを公表する位ならいっそそのまま潰れてしまった方がいいだろうと思うし、それを強行しようとする東芝には改めてその狂気に戦慄を禁じ得ないところなのです。もう諦めていいんじゃないでしょうか。

(追記)

・・・等と思って見ていたら、真逆の監査法人交代方針発表がなされたわけです。何という本末転倒。そもそも東芝規模の、しかも現在の収拾のつかない惨状を前に引き受ける余力のある監査法人が存在するのかも不明だし、仮に見つかったとしてもその監査にどれだけ時間がかかるか、と考えると、3Qどころか期末決算までもを実質的に諦めたものと受け止めざるを得ないわけですが。東芝経営陣は一体何がどうしてそんな方向にいっちゃったのか、と考えると。。。まだ他にも明るみに出るとまずい話がある、とかそういう事なんでしょうか。それこそ刑事罰に直結する類の。解体もさらに進んでるし、もうどうにもなりませんね。

よく考えてみれば、監査法人変更の理由は上記の通り過年度決算の見直しの是非であるだろうところ、その見直しがなされた場合、前年度以前から債務超過にあったという事になります。そうすると、債務超過になった時点以降になされた配当は違法配当にあたる事となり、経営陣はその一人あたり最低でも数十億にはなるだろう配当の返還義務を負う事になります。また、今回発表してしまった監査なしの決算につき、その誤った情報を流布した事に伴う責任も当然に負う事になります。いずれも自業自得、というか後者についてはわざわざ自分で罪を荷重して追い込んだ形なわけですが。。。流石にそれ位は承知の上で、毒を喰らわば皿まで的な話なのでしょうか。

何にせよ、経営陣はその大本営発表を追認して自分たちを守ってくれる、すなわち粉飾決算の共犯者となってくれるような監査法人がある、と考えている事になるわけです。・・・このような状況で?その種の不正自体は東芝の政治力をもってすれば不可能ではないのでしょうけれど、そうだとしても、それをこれだけ注目が集まっている中で堂々とやってしまおうとしている事については、もはや正気ではない、と言わざるを得ません。

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4/04/2017

[note] K240studioの断線を修理

しばらくぶりの修理案件。今回は、AKG製ヘッドホンのK240studioです。大分前にアウトレット的に安売りされていたのを購入して、その軽さとAKGらしい素直な高音から、オープンで聴きたい時の1stチョイスとして愛用していたのですが、ある日突如として左側が鳴らなくなってしまったのです。

流石にこのまま捨てるには惜しいし、もとより気軽に買い換えるには高い代物なので、例のごとく修理を試みる事にした、というわけです。もっとも、AKGのヘッドホンは中国で製造されるようになってから随分と安くなっているみたいですけれども。本機だと1万未満で、これまた愛用しているK271とか10数年前に買った時には2万位はしたのに、今ではその辺は半値以下、それより上のクラスでも1万円台ですか。。。

ともあれ、原因が断線なのは明らか。何処で断線しているかが問題です。何はともあれ確認。まずコードを交換してみたところ、変わらず。というわけで、内部だろうと。内部配線へのアクセスは、ケーブルコネクタの脇、外側から行なうようになっています。"Made in Austria"と記載されているゴム状のU型エンブレムを剥がすと小さめのネジが2点現れます。


これを外すと現れる太めのネジも外すと、バラバラになります。この時、配線だけが繋がっている形になるので、配線にあまり負荷を掛けないよう注意します。でないと逆に断線を引き起こしてしまいますから。


注意しながらカバーを開けると、赤白2つある端子の内、赤の方がドライバから切れてしまっていました。というわけで原因があっさり確定。


後は、繋ぎ直すだけです。ただ、この配線はカバーを通す形になっているため、カバーを外して作業する事が出来ない構造になっているのですが、元の配線にはあまり長さに余裕がなく、カバーをほとんど閉める必要があるため、そのままハンダ付けするのは困難というか殆ど不可能です。


というわけで、配線を延長します。


どっちから付けてもいいのですが、なんとなく外側から。


これを、カバー等の穴を通して端子まで伸ばしてハンダ付け。


後はカバーを元に戻して完成です。ここでも配線を傷めないよう注意しつつ。


ネジを閉め、シールも貼り直して出来上がり。無事音が鳴るようになりました。めでたし。というわけで、今回はこれでおしまい。

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3/27/2017

[biz law] てるみくらぶ破産、大規模詐欺の様相を呈す

格安を謳った旅行会社のてるみくらぶ破産の件、酷いですね。

何が酷いって、同社は海外旅行を多数取り扱っていたところ、現在渡航中のツアー客については帰りの便が同社では手配出来ず、そのため自力でチケット等を確保する他ない場合があるというのです。宿泊も自動的にキャンセルされ、現地に到着して初めて宿泊の手配がされていない事に気づいた客もいたそうです。それらの被害を被っただろう、破綻時点で渡航中の海外旅行客は約2500人とか。いやはや酷い話です。

さらには、破産の数日前から、予約客に対して現金での即時の支払いを要求していたとか。これは明らかに詐欺にあたります。上記の復路や宿泊の未確保についても、その予見時期によっては同じく詐欺にあたるものが多数あるものと考えられますし、そうでなくとも確保不能が明らかになった時点で速やかに通知すべきところ、それすら怠っていた、というのでは擁護のしようもありません。

本件の悪質性は、本件の発覚が航空チケットの発券不能から始まったところ、当初はあたかもシステム障害によるものであるかの如く報じられていた点にも認められるでしょう。その際、原因が障害ではなく、単に資金がショートして支払がされなかったためだと正確に報じられていれば、まだ被害は抑制出来た筈なのですが。。。結局、破産申請するまでそれは明らかにされませんでした。債権者間の公平を図る意図があったにせよ、その債権者でもある筈の顧客の事は何一つ考慮せず、旅行業者として以前にサービス提供者としての最低限の誠意すら微塵も感じさせない所業に戦慄せざるを得ないのです。会見では非を認めるのではなく自己弁護を図ったようですし、尚更ですね。

被害に遭った人達には、御愁傷様ですとしか。いやはや恐ろしいですね。

3/23/2017

[pol law] 証人の証言を検証もせず否定する政府の反応について

先日設立認可申請が取り下げられた森友学園関連の不正疑惑の追求のため、同学園理事長の籠池氏の国会での証人喚問が今まさに実施されています。

とりあえず前半の、主に籠池氏側からの全体的な説明について拝見しました。ざっと確認したところでは、文理上の矛盾は特になく、また言及されている事実の表現、内容についても、明らかに不自然と言える点はないように見えます。

内容自体はこれまで五月雨的になされてきた諸々の発言と異なるところはないものですが、今回のそれはこれまでの私的な状況での一方的な発言とは異なり、宣誓を経た証人として偽証罪に問われるリスクを負っての尋問を受ける中での発言です。そこに明らかな矛盾等が認められない以上は、ある程度の、少なくとも主観的な真実性が担保されるものと考えるべきでしょう。無論証明されるわけではなく、虚偽を述べている可能性もあるわけですが、通常はそれを判断するために、さらに詳細な検証に進むべき状況でしょう。例えば通常の訴訟なら、その証言中の個々の事実について真否等を検証するため、さらに尋問をするなり、言及された人物を証人尋問するなりされて然るべきところです。

なのですが、菅官房長官はじめ政府側は検証を経る前に頭から否定する旨の声明を出しています。根拠は特になく、従って籠池氏が偽証をしていると断定するものに他ならないわけですが。。。これはどうなんでしょう。証人として呼び出したのは政府側です。それに応じ、宣誓も経た上でなされた、明らかな不備が認められるわけでもない、むしろこの種の尋問では異例と言えるだろう程に具体的で詳細な証言を、政府側の主張するところと整合しないからと言って、頭から特に根拠もなく否定するというのは、いささか軽率かつ理不尽に過ぎると言わざるを得ないと思うのです。事実上、一個人に対し、政府の意に沿う証言を強制するも同然の圧力を掛けるものでもあるでしょう。

当然ながら、そのような圧力等がかかるようでは、そもそも証人喚問手続の正当性が損なわれ、そのかかった労力等諸々が無為に帰してしまうことでしょう。あるいは虚偽の証言により冤罪が生じるやもしれません。厳に慎まれるべきことです。

思うに、政府は本件に関してあまりに結論ありきで、それを担保するための事実の検証等の手続を軽視し過ぎているように見えます。少なくとも、首相夫人と籠池氏ならびに森友学園が密接な関係にあった事は疑いようがないのだし、その時点で本件で生じている諸々の疑惑も、根拠なしと頭から否定するには無理がある事も明らかなわけです。そうである以上、個別の証言等を個別に否定しようとするのではなく、疑惑が否定されるにせよ肯定されるにせよ、全ての事実を明らかにする事で、包括的に処理すべきだろうと思われるところ、政府の対応は真逆なわけで、これでは収拾のつけようがないだろう、と思わざるを得ないのです。

もっとも、証人喚問が当初門前払いされていた時の対応ぶりを見るに、政府・与党側に後ろ暗いところが多々ある事はほぼ確実なのだし、もとより事実が事実として明らかになれば終りで、従って事実に沿う証拠も発言も頭ごなしに否定し、証人には偽証を強いる、すなわち強権を以って事実を否定する以外にその責を逃れる術がない、というだけの事なのかもしれませんけれども。だとしたらあまりに救いようがなく愚かな話、という事になってしまうのですけれども。。。

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3/14/2017

[biz] 為すすべなく崩壊する東芝に明日はあるのか

Q3決算の延期、また同時に発表された無謀という他ない半導体事業の部分的売却決定から早1ヶ月。このわずかな間にもさらに積み上がる損失を前にして、あれよという間に規定路線となった半導体事業全部の売却に加え、原発事業の破産処理及び連結外し。明らかになったLNGの先物取引に伴う巨額の損失リスク。当然のように再延期され未だ確定しないQ3決算など瑣末な事に思えるような、どれ一つ取っても単独で致命傷になりかねない巨大な損失が積み重なり、それに流されるままにグループの解体が進んでいく惨状には最早言葉もありません。

今現在の報道を見る限り、世間一般の現在の焦点は上場廃止になるかならないか、その当否にあるように見えますが、中核事業を手放したとしても補填出来るか不明な程に積み上がる損失を見る限り、現実として既に上場云々を問題にしている場合ではなく、東芝という事業体そのものが破綻するかしないかの瀬戸際に立っていると言わざるを得ないわけです。

仮に事業売却による損失の穴埋めが失敗すれば終わりですし、もしそれに成功したとしても危機の回避には程遠く、会計的にも事業ポートフォリオの面でもその後の事業の継続に疑義が付く事も避けられないでしょう。そして何より、このような組織が崩壊していく惨状を前にして、人材の流出が起こらない筈はありません。今のところその辺は特に表立ってまとまった規模の流出は伝えられていませんが、これまでの会計的な計算上の危機のみならず、組織面でも崩壊の危機に直面する、あるいは既にしているだろう事はおよそ疑いようのないところです。それでなくとも同社は近年リストラを連発し、賞与のカット等して待遇も悪化させていたところなのですし、能力・実績のある人材は、余程忠誠心が高いだとか特別な理由を有しているのでない限り、自身の将来を再検討せずにはいられないでしょう。引き抜きの類の動きも活発になっているものと考えられます。

しかし、伝え聞く限り、そのような状況にあってなお経営陣は、およそ事業を売って現在の損失を穴埋めする以外、何もしていません。もっとも、あれだけの規模の事業売却ですから、それをこなすだけでも大変な労力を要するだろうし、それ以外の事まで手が回らなくなっても仕方ないと言えばそうなのかもしれませんが。それでも、不正を含め無茶な指示にもただ粛々と従う事だけを強いられてきた社員に今更自主的な改革を期待できよう筈もないし、社員の側からそのようなアクションを起こした場合に生じうるリスクを侵す義理を感じる事もないだろう以上は、経営陣が裁かないと回らないだろうところなわけですが。というか、元より不正の後始末として組織とそのガバナンスの改革もしなければならないわけで、それは当然経営陣がやらなければどうにもならない話なのであって。でもそれどころではない、という。やっぱりもう駄目なのかもしれませんね。いやはや。

しかしこれ、対処するなら何処からどう手を付けるのがベストなんでしょう。外側から見る限り、組織の基盤自体がぐちゃぐちゃな上に、解体も急速に進められているわけで、事業や組織の統廃合等をしようにも動かしようがないですよね。こういう状況だと誰も彼もが保身に走るだろうし、普通に考えてもうどうしようもないような。。。内側から見ればまた違うんでしょうか。おそらくそんなわけはないだろうと思いつつ。

あと、原子力を連結から外すべくWH株を売却する旨発表されていますが、どうやって売るつもりなんでしょう。現状だと、少なくとも数千億程度を支払って引き取ってもらう形になるだろうし、それでも業界の現状からして引き取り手の候補が居るかも怪しい位な筈なのですが。ほんとわけがわかりません。破綻させてから譲渡する、と言うのは簡単ですが、それにかかる時間と発生する損失を考えると、処理が終わるまでグループが持たないんじゃないでしょうか。

[前記事 [biz] 時間切れ濃厚な東芝の惨状に改めて戦慄]

[pol law] 強弁と虚言の稲田朋美防衛大臣を擁護する首相・与党の狂気

森友学園を巡り、その右翼的な方針・姿勢等への共感ぶり等から、かねてより疑われて来たところの現政権またその閣僚の面々の関与、その疑惑について、これまでは直接の関与は疑われつつもかろうじて疑惑に留まっていたところ、ようやく確たる証拠が明らかになったようですね。

今回森友学園との関係が明らかになったのは、稲田朋美防衛大臣です。報道によれば、10年余り前、学園が提起した訴訟につき当事者の訴訟代理人として出廷した記録が呈示されたとの事。訴訟代理の引受については従来より疑われ、当然に国会の場で追求もされて来たところ、あくまで名前を貸しただけで実際には代理しておらず、従って関係はない、との苦しい答弁をしていた事は周知の通り。しかし今回の記録は森友学園を代理しての出廷記録ですから、実際に訴訟を代理した事を直接に示すものに他ならないわけです。本件記録が全くの虚偽もしくは誤りであったとかいうのでない限り、言い逃れのしようもないでしょう。

これにより稲田氏本人については、10年以上前から法人としての森友学園の訴訟代理を引き受ける程に密接な関係にあった事が明らかになってしまいました。これまでの発言が虚偽であった事も加えれば、本件疑惑の主たる要素であるところの国有地の不自然な程の廉価での売却や異常に速い認可手続等、不正・不法行為への関与の疑惑も決定的なものになった事もまた明らかです。

そして、これまで稲田氏同様に関与が疑われてきたところの、安倍首相本人をはじめとする自民党内で右派に属するとされる面々についても、連鎖的に疑惑が決定的に強まる事は避けられないだろうし、また同時に彼らを擁護すべく籠池理事長らの国会招致等の追求を妨害して来た与党への疑惑もまた生じざるを得ないものと思われるわけです。あれですよね、自民党の面々はこの辺全部知ってたんでしょう?本件はもとより国の財産に絡む話で、問題の重大さも明らかなのにも関わらず、その調査すら頑なに拒絶する様は異様と言うしかないものでしたし、知らなかったとは到底考えられない動きでしたから。

少なくとも、これからしばらくの間は本件問題が鎮まる見込みはないだろうところ、そこでは一体どのような事実が明らかになるのか、流石に注目せざるを得ないのです。

また周知の通り、同学園については国有地を巡る財産的な不正の他にも、その教育方針、すなわち同法人が経営する幼稚園での教育勅語暗唱に代表されるところの戦前回帰的な天皇主権思想及び全体主義に立脚し、人種差別をもあからさまに是とする洗脳教育について、違憲の疑いが強く指摘されるところです。現政権の多くが多かれ少なかれ同様の右翼的なスタンスを取っている事から共感を示して来た事もまた周知の事実であり、その意向が強く反映された改憲を図る動きも鮮明となっている現状、本件の行く末は、この種の極右的教育とそれを後押しする政治家らの思想・姿勢、それに基づく今後の憲法はじめ法のあり方について、決定的な意味を持つ可能性がある、と言えるのではないでしょうか。その意味で、イデオロギーに関する話だからと議論を避けるのではなく、この機会に諸々の問題について正面から追求がなされる事を期待したいと思うのです。教育勅語を斉唱する幼稚園児とか、この種の思想の狂気をわかりやすく見せる例が出来た事ですしね。

そういえば、稲田氏はこの問題に関連して、教育勅語の肯定を公言していたのでした。"朕惟フニ・・・"で始まり、"我カ臣民・・・"等と、明らかに天皇主権と全体主義に塗れ、戦前・戦中の狂気を象徴する本令を、事もあろうに公の教育を通じて幼児に刷り込む、その行いを肯定した事になるわけです。その意味を十分に理解しての発言なのか、そうでないのか、いずれにせよ個々の人権を普遍的なものとして尊重する意思が多少でもあるのなら、少なくとも教育の場に持ち込んで良いものではない事位わかりそうなものですが、その分別もつかないという事自体が、氏とその振る舞いを肯定する現政権の狂気を証明しているものと言うべきなのでしょう。恐ろしくも残念な事です。