1/17/2017

[law] 過去の検査結果改竄疑惑の高まる豊洲汚染

無理なものを無理と認めて諦める。それだけの、誰もが日常的に行っている至極当然の事が、公の事業であるというだけでこれほどまでに面倒な事になってしまうのですね。

中央卸売市場の豊洲移転の件、地下水検査で従来の検査結果と比較して桁違いの汚染度を示す結果が出たそうで大騒ぎです。シアンまでも検出されたとか。検査が全くの誤りであったというのでもない限り、移転は中止とせざるを得ないものであることは間違いありません。いやまあ、それがなくても絶望的だったんですけれども、これで息の根も止まったかなと。

移転の是非に関する結論に議論の余地はほぼないだろう一方で、これまでの検査結果、特に新知事就任前までは全く環境基準に抵触するものすら無かったところから今回の結果へと転じた理由については現在のところそれを判ずるに足る証拠はなく、様々な憶測が飛び交っています。

あり得る原因としては、およそ次の3つのいずれかとなるでしょう。

1.知事選前後に地下水が汚染された(検査結果は全て正確)
2.以前の検査結果が誤っていた
3.今回(及び前回)の検査結果が誤っている

さてどれだ。

まず3.は一番無さそうに思われるところです。以前とは比較にならない注目が集まっている中、故意にしろ過失にしろ、ここまで極端な誤検出が起こりうる可能性は極めて低いでしょうから。特に検出に困難があるような特殊な物質でも何でもないですしね。

となれば、1.か2.という事になるわけです。まあ本来なら検査を事実として1.と考えるべきところなのでしょう。が、何せこれまでの経緯が経緯です。都を筆頭に当事者がほぼ全員移転の実行に利害を有していて、その致命的な障害となる汚染の検出を忌避しており、一方で検査機関への圧力による結果の改竄も可能というか極めて容易であった、という事情を考慮すれば、2.の、それも悪意に基づいたものとの疑いを排除する事は出来ないように思われるところです。

しかし、もし実際に改竄等があったというのなら、一気に本件が刑事事件になってしまうのですよね。これまでの疑惑とは質が違う話で、歴代担当者は無論、都そのものも刑事的な追求を免れないでしょう。もっとも、余程の確固たる証拠が出ない限り、当人達は認めないでしょうし、司法も動けないだろうところ、当事者は当然に隠蔽に走(ってい)るでしょうから、実際に逮捕・起訴までがなされる可能性はさほど高くないだろうとも思われるわけですけれども。

とはいえ、都は3.の可能性が高いと言い張って再検査をするとしているわけで、現状はそれ以前の段階なのですけれども。まあ、検証する事自体は別段悪い事ではないでしょう。ただ、これまでの検査には何ら疑義を付けなかったのに、都合の悪い結果が出た時に限って否定に走る、というのはやはりあまりにも愚かしい事だと言わざるを得ないし、そもそも検査自体を疑うというのなら、過去の検査結果も同様に再検証が必要という事になるわけです。それに必要な過去の検体は保管されているのでしょうか?まさか廃棄してたりしないでしょうね?ともあれ、多分にいわれのない追求を受けるだろう検査機関の担当者にはご苦労様です。ありもしない不手際が無かった事を証明しろと言われる事ほど理不尽な事はないのですけれども、主観的な、自分達にとっての都合の良し悪しで客観的な結果を左右しようとする都の阿呆な面々は、その阿呆さ故に自分達がどれだけ阿呆なのか理解する事も出来ないのでしょうし、関わってしまった自分の運のなさを嘆くしかないのでしょう。無論、もし共犯だったというのなら、自業自得という事になるわけなのですけれども、さて。

[関連記事 [law] 東京中央卸売市場の豊洲移転頓挫に]

1/10/2017

[biz law] VW米法人の規制対応部門責任者逮捕

年末年始を挟んで、Volkswagenの試験チートプログラムを用いた環境性能詐欺、通称dieselgateの周辺が俄に騒がしくなっているようです。

リコールの部分的な承認があったり、米当局への罰金額等が決着に近づいていると報じられたりする一方、仏等EU域内でも集団訴訟が提起され、本件を巡る責任の具体化が一気に進みつつあった中、米国でVWにおける本件の窓口役を務めていた、同社の規制対応部門のトップであるOliver Schmidtが米FBIに逮捕されたんだそうで。

流石にこれは当然の結果というべきでしょうか。何せSchmidtは、2014年頃に本疑惑が浮上して以来、繰り返し開かれた当局の調査や尋問等においてその回答役を務め、そこで繰り返し技術的な問題であり虚偽ではないとして言い逃れを続け、最終的に追い込まれてその答弁が全て虚偽であり、故意の不正であった事を認める醜態を晒した当人であり、従って虚偽答弁・報告という直接的な証拠が存在し、個人として最も罪に問うことが容易な人物だったのですから。

これから同容疑者への尋問等を通じてより内部的な部分への捜査が進められる事になる事は間違いなく、それによって少なくとも経営層の容疑は相当な所まで具体的に把握されるだろうところとなりました。この手の事件において捜査が極めて早い米国にしてはやはり非常に時間がかかった印象が強いところですが、同氏クラスの人物の逮捕というのは間違いなく本件捜査における最重要局面の一つであって、そこで得られるだろう証拠ないし情報は決定的な意味を持つものが期待されるであろうし、またそうそう何度も繰り返し得るものでもない事から、おそらくはそこで期待し得る成果から想定される展開、経営陣や実働部門への追求、あるいは芋づる式の摘発等、その準備に相応の時間がかかったのであろうかと推測されるところです。そうであれば、刑事的な処理の事前準備はほぼ完了しているのでしょうから、これを契機として一気に摘発が進められる事になるのでしょう。

そして、刑事的な処理が進めば、それに伴って未だ不明確な責任の所在も明らかになって行く筈ですから、民事的にも、ユーザからの損害賠償請求、告発、また株主からの代表訴訟等が提起されていく事になるのでしょう。ようやく、本件の実情が具体的かつ公に追求されるようになる、という事です。司法的にはまさにこれからが本番、というわけですが、そこでどんな惨状が曝け出され、どんな教訓が見出され得るのか、やはり興味を抱かずにはいられないのです。

ところで、Volkswagen社は業績的には回復しているんだそうで。極めて意外に感じられるところはありますが、無論これは賠償等が表面化していない、すなわち会計的に損失を先送りしているから、というだけの事なわけですけれども、その辺の責任が具体化する前に潰れて有耶無耶になるという事態を避けられるという意味で、一応は歓迎すべき事と言えなくもないのかもしれません。

しかし、Diesel亡き後の技術的柱のない同社の話ですから、そもそも安定して事業を継続する力があるのか否かは別問題なわけで。いくらDieselの代わりの柱が必要だと言っても、そこに今更EV推しとか。。。あくまで環境をメインコンセプトとする、という事なのでしょうけれども、本件によって、VWが言うcleanはもはやdirtyとしか思えなくなってしまっているというのに、それでもその路線というのは、ちょっと正気を疑わざるを得ないのですよ。そもそも需要も桁が幾つも違うし、Dieselの代わりには成り得ないと思うのですが。自動運転にしても、Teslaよりヤバそうな予感しかしませんし。ともあれ、かように意味不明な状況のメーカーが販売台数世界一というのは、世の中の不条理を具現化しているようにも感じられるところですが、さてこれからどうなることやら。

F.B.I. Arrests Volkswagen Executive on Conspiracy Charges in Emissions Scandal

[過去記事 [biz law] VWディーゼル車に排気ガス適合試験での不正プログラム使用発覚]

1/01/2017

[biz] 相変わらず暴走事故等の相次ぐTesla、果てなき無謀

Teslaの自動車が暴走事故を起こしたとして、またしても訴訟が提起されたそうです。今回の被害者たる原告はJi Chang Son氏、同社製SUVのModel Xをガレージから徐行発進させたところ、突然加速して自宅に突っ込み、壁等を破壊しつつリビングまで到達してしまった、とのことで、損害賠償等を請求しているそうです。なお、同訴訟の提起に際し、NHTSAに報告されている7件のModel Xの暴走報告を指摘し、それらを併合した集団訴訟としての取り扱いを請求している、とのこと。

これに対し、Teslaは100%ユーザの操作ミスによるものである、といつもの通りに自社の責任は一切認めない旨の主張をしているそうです。

無論、第三者からすれば、原告とTeslaの主張のいずれが正しいのか、あるいはいずれも正しくないのか、その正誤は判然としません。通常の発進時にアクセルをベタ踏みするミス、というのはいささか不自然に思われるし、仮にそうだとして、Tesla車にもれなく備わっている筈の衝突防止機能は何故動作しなかったのか、というあたりには一般に疑問を感じるであろうとは思われるところですが、それを判断する事実を知り得ない以上、考えても意味のない事なのでしょう。

そういう事実の検証は司法の手続を待つ他ないとして。もとより、Tesla車はAutopilotはじめ各種の自動的に動作する類の機能を登載していて、しかしそのほぼ全てが技術的に実績もなく未熟な事も周知の通りであり、殊にその安全性について極めて強く懸念を持たざるを得ない状況にあるわけです。

そして、実際にこれまでも自動運転絡みで誤動作による暴走ないし事故を度々起こし、死者すら発生させて来た、という悪い意味での実績は十分にある一方、その度にTeslaは今回のそれと同様の対応、すなわち問題なしだとか、事故率は高くない等として責任逃れの強弁を弄し、殆ど修正もしないまま、危険の放置ないし拡大を続けて来た事も周知の通りなわけで、そのあえてリスクを侵す悪意に満ちた事業展開上の振る舞いからすれば、必然的にTesla側の瑕疵を強く疑わざるを得ないところです。

特に、今回の対象であるModel Xは、2015年にリリースされてから、上記の通り暴走等の不具合の報告が頻繁にされているモデルでもあります。既に訴訟も発生しており、上開きのドアが誤動作で開閉してユーザの妻と他の車を殴り飛ばした事故の損害賠償訴訟では、実質的にTeslaが敗訴する形での和解が成立しています。販売台数比で言えば事故率は低いとは決して言えず、世界で一番安全なSUV、という同モデルの売り文句は殆ど詐欺のようにしか感じられないわけですが、それはさておき。

無論それら以前の事例は間接的な証拠に過ぎないわけですけれども、全く無視する事もまた出来ず、従って一般にTesla側の主張を直ちに受け入れる事は到底出来ないものと考えざるを得ないだろうところ、本件訴訟についても多かれ少なかれそのような作用が働くでしょう。通常の自動車メーカーであれば元々そのようなリスクは負わないようにするものですから、これは殆どTesla特有の問題と言うことができるでしょう。

これは偶然そうなった類のものではなく、同社が事業展開を優先し、それと引き換えにあえてユーザを危険に晒すリスクを許容した必然の結果と言えるでしょう。その判断は妥当か否か、それは解釈の仕方、基準によるとしか言えないのでしょうけれど、危険に晒される側としては一般に本来許容出来ないレベルに達しているように思われるところです。従来通りの開発方法に倣えば事前に防止される性質のものである事もそう感じさせる要因の一つなのでしょう。

要するに無謀の結果という他ないわけです。その無謀が、犠牲者が増える前に改められるよう願いたいところですが、これまでの経緯に照らして、同社がその傲慢で危険な事業運営のやり方を改める事は、残念ながら強制力によって禁止されない限り、おそらくないのでしょう。せめて、他社が追従することのないよう願う次第なのです。しかし、それも難しいでしょうか。実際、メーカーではありませんが、Uber(+Volvo)のように、世界で最もリスクを許容する米当局の規制すら無視して自動運転車の運用を強行した例も既にあるわけですし。全く以って恐ろしい話です。

Tesla Model X owner claims car accelerated on its own and crashed through a wall
UPDATE 1-Tesla owner files lawsuit in California claiming sudden acceleration
Tesla Settles Model X Case Over Alleged Design Flaws
Uber's self-driving cars quit California and leave for Arizona on the back of a self-driving truck

[関連記事 [biz] あっさりハックされたTesla Model S、晒された致命的リスク]
[関連記事 [biz] 自動運転を責任を持って利用しろとか無茶言うな]
[関連記事 [biz] 米TeslaのModelSが自動運転による死亡事故]

12/27/2016

[biz] 東芝の原発事業減損再び

東芝が原発事業に関連してまたしても数千億円規模の減損の見込みだそうです。それ自体はある程度予想する向きもあって驚きはそれほどないものの、2期連続というのは流石に問題なしとは到底言えないでしょう。大体、今期は回復するって散々言ってたところにこの有様ですから、正しく嘘つきと言う他ないところです。この種の業績についての虚言は、常習犯として富士通が広く認知されているところですが、そこに東芝も並ぶ事になりそうです。直近で見ればむしろ東芝の方が酷いと言えるでしょうか。

ともあれ。その対象は、昨年末(2015年12月)に同社の原発子会社であるところの米ウェスチングハウス(WEC,WH)が買収した、原発の建設や運用等を総合的に請け負うサービス会社CB&I Stone & Webster。具体的な条件等は非公表につき不明ですが、元々債務超過にあった同社の買収に際し、その価格やのれん代等は何故か買収成立後に協議により定める事とされていたところ、今年一杯CB&I側とその価格決定の方法を巡って紛争(売主のCB&I側から提訴)に陥り、先日ようやく第三者たる会計士の決定に委ねる旨の司法判断が下されたところだそうです。なお、暫定的に東芝が計上していたのれん代は100億円規模(8700万$)とのこと。

なんとなくそれっぽい雰囲気は漂うものの、これだけでは数千億の減損が何処から出てきたのか、第三者からは判然としません。従って推測するしかないわけですが、現在知りうる情報から解釈すれば、要するに、買収に伴うのれん代について、本来は買収額+債務超過額であるのに東芝の計上したのれん代が著しく低かったところ、今回の決定に伴ってその数千億円規模の差額が表面化する見込みとなり、同事業は業績不振にある事から、表面化すれば即減損が必要になる、という事かと思われるわけです。

そうだとしても、わけがわかりませんね。というのも、同事業が債務超過にある事、それに伴って減損の可能性がある事は、買収当時の公式文書にも記載されており、従ってその超過額分の損失リスクがある事を東芝が知らなかったという事はあり得ないわけです。その額についても、計上されていたような100億程度ののれん代で済むような規模・性質の事業ではない事も明らかだった筈です。また周知の通り、東芝は当時既に大規模な不正会計が発覚して巨額の赤字計上が避けられない状況にあり、原発事業の巨額の減損はその焦点の一つでした。事業継続の資金調達にも苦慮するそのような状況で、なにゆえにその減損リスクを加重し、その額も倍加させるような本件買収を強行したのか、合理的な解釈は困難のように思われるところです。

同社の原発事業が窮地に陥っていたが故に、同事業を維持継続するためには無理にでも拡大を図る姿勢を見せる必要があったという事なのか、それとも、危機とは関係なく、単にWH買収時と同様、リスクを承知で強行したというだけの事なのか。何にせよ無謀という他ないのでしょうけれども、それをやってしまうというのが、前代未聞の会社ぐるみの不正を起こし、またもんじゅ等による国家への損害も含めて原発事業を通じ損失を積み上げ続けてなお反省するところの皆無な東芝たる所以なんでしょうか。

リスクを負うのもそれで損失を被るのも、自分たちで責任を負える範囲内でというならそれぞれの自由であろうけれども、原発のような、それでは済まない公共的な事業でのこの無謀ぶりには、その担い手としての資格に欠けるものと断ぜざるを得ないのです。

Chicago Bridge & Iron 社の WEC に対する 差止請求 の棄却について
米国 CB&I ストーン・アンド・ウェブスター社の買収完了について

東芝、米原発サービス会社買収で数千億円減損の可能性

[関連記事 [biz] 個人向けから撤退する東芝、その行く先もまた暗く]
[関連記事 [biz] 彷徨う東芝、医療機器事業売却の意味不明]
[関連記事 [biz] 東芝がWH株追加買取]

12/26/2016

[biz] 恒例行事化したMRJ納入再延期、漂う諦観

三菱重工が開発中の短距離向け旅客機MRJの納入予定、さらに延期の運びになったんだそうです。同機の予定延期は1年ぶり、通算で実に5回目。もはや殆ど毎年の恒例行事と言っていいだろう現状、驚いている人は殆どいないのでしょうけれども。

度重なる延期のもたらす帰結、その詳細については既に各所で散々言い尽くされて来たところですし、ここで繰り返す意味もないでしょうから省略しますが、これでembraelとbombardierはじめ競合他社への顧客流出はさらに進み、既に回収不能と評価する他ない巨額に達した開発費等初期投資の額もさらに積み上がる事となりました。その意味するところは明らかです。

今回の延期の理由はいつもの通り、要するに品質管理の不手際による開発の遅延。直接的な事象としては、型式取得に必須の評価試験の開始が予定から大幅に遅れている事と、主に米国での規制当局の動向を読み間違え、重量超過に対する仕様変更が必要な見込みとなった事、と言われます。

前者は兎も角、後者は擁護のしようもありません。当然ながら、重量は航空機における最も基本的な仕様であり、基本設計に影響を与えずにそれだけを削減することなど出来ません。座席数や航続距離を減らすなら用途自体が変わって顧客の計画も練り直しになり、当然受注も(ANAのような特殊な顧客を除き)やり直しになるし、そこは変えずに機体の軽量化で乗り切るというのなら、それこそ基本構造や材質の設計から修正する事になり、もはや延期では済まなくなってしまうわけですから、いずれにせよ致命的と言うべきところです。もっとも、その理由がなんであれ、どうせリリースされないのなら結果としては同じだし、一々云々する意味もさほどない、とも言えるわけですが。ただ、どうもその辺が定まらないからか、今回は延期先の見積もり自体が困難になっているっぽいのが不穏ではありますけれども。

結局のところ、再延期がなされても驚きも感じられないという、ある種の諦観が広まっている事実それ自体が、同事業の先行きがもはや絶望的と言っていい状況にある事を証明しているのではないかと思うのです。少なくとも世間の大半がそう認識している、とは言えるでしょう。

この種の、当初の見込みの甘さ、準備段階の不備、実行における能力不足、それらがもたらす費用超過による不採算化、といった事業の立ち上げ全般に渡る失敗により泥沼に陥った状況、そしてそこに至ってなお有効な修正も撤退も出来ず、ただ損害を積み上げながら死の行軍を続ける以外に何も出来ない、という有様は、正しく惨状という他ないものです。東京五輪も似たような状況ですが、あちらは単発につき上限や終りが見えるだけまだマシと言えるでしょうか。

航空機事業を甘く見て、無謀にも突っ込んだ報いを受けているだけ、とも言えそうですが、何にせよ、さてこれからどう始末を付けるのか。事業規模の大きさとそのスパンの長さから、自ずと損害の桁も洒落にならないものになる事は避けられないだろうところ、他の事業も火の車な事もあるし、場合によっては自動車よろしく、とまではいかずとも、近い所まで行ってしまう可能性も否定できないところですが、さて。

MRJ開発で追加負担=納期時期「読めず」-三菱重工社長

12/12/2016

[IT biz] NETGEAR製Wifiルータに即時乗っ取り可能な脆弱性発覚

NetGear製のWifiルータ製品群に、httpリクエスト経由で任意のコマンドを実行出来る酷い脆弱性が発覚したそうです。

具体的には、下記のように後部にコマンドを記載したhttpリクエストをルータのIPアドレス宛に送信するだけで、root権限で任意のコマンドを実行出来てしまうんだとか。

http://ルータIPアドレス/cgi-bin/;COMMAND

マジですか。。。何がどうすればこんな事態が起こりうるのか、あまりの意味不明っぷりにもはや呆然とする他ありませんね。一応これもinjection攻撃に分類される脆弱性という事になるんでしょうけれども、しかしこれ、通常injection攻撃の文脈で言う脆弱性はオーバーラン等を利用する隠れたものを指すものであるところ、これは隠れたものではない、どころか普通にコマンド入力のインタフェースが設けられているようにしか見えないわけで、要するに設計ミスによる欠陥というべきものではないのかと。確かに脆弱性には違いないんでしょうが、通常の脆弱性とは異なり、メーカーの重過失によるものにつき、これによる被害は一義的にメーカーに帰責されるべきものと言わざるを得ないでしょう。悪意があったものとまでは思いたくないところですが、公式の説明は未だ無い以上、その点については現時点ではいずれとも判じる事は出来ません。

なお、対象については、CERTの報告によれば、同社製のR7000とR6400が確定しているのに加え、同様のファームを使用している筈の同系統製品群はおそらく該当するだろうとの事で、このシリーズはそのカタログスペックの高さから世界的に良く売れているものでもありますから、その膨大な数のルータが即座に乗っ取られ放題という、それはそれは大変な事態になってしまったわけです。

本件への対策としては、既にリリースされている対策済のファームウェアを適用するまで使わない、というものしかない事は明らかで、各所で即時の使用停止が呼びかけられています。しかし、ルーターを使うな、と言いわれても、それはネットを使うなと言われているに等しい場合も多いでしょうし、そもそも気づかないユーザの割合も小さくはないでしょうから、十分に対策が行き渡るまでどれだけの時間がかかるかも未だ見通せない状況で、当然ながらそれらの無防備な分につき諸々の攻撃による被害が懸念されています。いや大変な事になりましたね。しかし、当のメーカー自身はというと、公式サイトでは本件について触れてすらいないばかりか、クリスマス向けに直ぐ入手出来る旨の、当該Wifiルータ製品群の宣伝及びオーダーの受付窓口を大々的に掲げている始末という。危機感が薄いのか、あるいはあまりに致命的に過ぎて、無かった事にしようと絶望的な試みに走ったのか。いずれにしろ論外と言わざるを得ないわけですけれども。

一応、R7000及びR6400自体は、同社の個人向け製品群の中ではハイエンド寄りのモデルにつき、対象がそれらハイエンドカテゴリの製品群に限定されるのであれば、リテラシが高く迅速に対処出来るユーザが比較的多数を占めるでしょうから、まだ被害は限定的に留まる可能性もあるにはあります。ただ、こういうインタフェース部分は廉価版と共通にするのが通常でしょうから、実際のところはあまり期待は出来ないだろうものと思われるところです。

しかしNetgearがねぇ。。。老舗の専業という事で、評価は最も高い部類のメーカーだった筈なのですけれども、これで一気に評価を落とし、信用を失うだろう事も避けられないでしょう。直近の決算は悪くないようですけれども、おそらく本件は長引くでしょうし、さてどうなることやら。ソニーの監視カメラの件といい、過去の販売実績やブランド等ももはや全くあてにならない、という事なんでしょうか。だとしたら、極めて残念な事です。

Vulnerability Note VU#582384 Multiple Netgear routers are vulnerable to arbitrary command injection

[関連記事 [IT biz] ソニーが監視カメラにバックドアを仕込んでいた事が発覚]

12/09/2016

[IT biz] ソニーが監視カメラにバックドアを仕込んでいた事が発覚

Sony製の監視カメラにバックドアが存在していて、オンライン・オフライン共に外部から自由に操作及びデータの取得が可能な状態になっていたことが発覚したそうです。

具体的には、SonyのIPELA Engine IP Cameraシリーズとして発売されている約80機種のIP接続対応の監視カメラ群につき、ファームウェア上に、root権限のアカウントに対する固定の第2パスワード('himitunokagi')が設定されており、これを知っていれば誰でもネット経由(Telnet!)及びシリアル接続により文字通り全ての操作が可能になる状態にあった、というのです。確かにこれは脆弱性ではなく、正しくバックドアというべきものですね。しかも公式の。

本件バックドアが導入された経緯等についてSonyは何も説明していないため、その目的等は不明です。一応、報道の中では、テスト目的等と推測されていますが、だとしてもrootの隠しパスワードなんて、何のテストに必要なんだという話ですし、俄に首肯し難いところです。当然ながら、Sony自身が顧客データの不正取得を目的にしていた可能性も否定する事は出来ない、というかその方がむしろ自然と言えるでしょう。何にせよ、Sonyの目的が何であろうと、顧客のシステムを危険に晒すのみならず、その秘密情報を無断で取得し得る仕組みをSonyが導入していた事が事実である以上、言語道断な所業と言わざるを得ない事は間違いなく思われるところです。

しかし本当にSonyは自分達が何を売っているのか、全く理解していないものとしか思えません。セキュリティ目的のデバイス自体にバックドアとか本末転倒も甚だしいわけで、ユーザに与える不利益、また心証、それにより失われる信用等の影響の甚大さを考えれば、正気を疑うべき愚行とも言えるでしょう。仮に単なる過失によるものだとしても、こんな致命的な欠陥が放置されたまま出荷される体制自体、セキュリティ関連デバイスのメーカーのそれとして論外と言わざるを得ないところです。わけがわかりません。

なお、当該バックドアについては、発見者であるところのSEC Consult社の事前連絡に従って公表直前にバックドアを潰したバージョンのファームウェアがリリースされており、これを適用すれば解消されるとのことです。対応に追われるSEの方々には御愁傷様。

先日、中国製ウェブカメラがその杜撰な設計からMiraiに大量感染して大規模なDDoS攻撃に利用された件の際には、中国製につきまだ潜在的な危険に留まるものと解して若干他人事のように捉えていたところもあったわけですが、残念ながらその認識は甘く、既に他人事ではなかった、という事になるわけで、その点につき反省しなければならないものと言えるでしょうか。全く以って油断なりませんね。だからといって、本件のようにメーカーにバックドアを仕込まれるというのでは、ユーザーの側ではもうどうしようもないわけなのですけれども。困ったものです、では済まない話なのですけれどもね。

Backdoor accounts found in 80 Sony IP security camera models

[関連記事 [IT biz] あまりにも容易なIoT機器乗っ取りによるDDoS攻撃の脅威]

12/08/2016

[biz] SMBCダイレクトのワンタイムパスワード強制切替も杜撰すぎる

今回は、ネットバンクの悪夢再び、的な話です。もっとも、前回と違って私は直接の被害者というわけではないのですけれども。

三井住友銀行のネットバンキングサービスSMBCダイレクトがワンタイムパスワードへの強制移行に踏み切ったようで。これに伴い、12/5付で従来の暗号表による取引は出来なくなっており、代わりにトークン(パスワードカードと呼称)もしくはスマホアプリによるワンタイムパスワードの入力が必須とされています。

先日、MUFGが同様の強制切替を実施した際にも相当な混乱があり、一度ならず二度までも切替がなかった事になった件も記憶に新しいところですが、これも同様の混乱があったようです。というか、とある知人に泣きつかれました。ほぼ毎日業務で使用している決済処理が出来ないんだけどどういうことだろう、と。急遽呼び付けられ、サポートをする羽目になったわけなのです。

なのですが、これがまた面倒で。何はともあれまず問い合わせようとしたのですが、決済処理が出来ない旨の画面に表示されているSMBCの問い合わせ窓口の番号に電話をかけても、音声対応で告げられる区分に、ネットバンキング関連の問い合わせに対応するものが存在しないのです。試しにその中で近いと言えなくもない感じの2つ程を選択してみましたがいずれも外れ。これは電話番号の記載がおかしいのだろう、と諦めてSMBCのHPからネットバンク関連の問い合わせ窓口を探してようやくそれらしきものを見つける事が出来たのです。しかしその後も、混み合っているという事でオペレータに繋ぐまで長時間待たされるという。。。

ちょっと酷過ぎませんかね。こんな重大な変更に際し、最も重要な筈のエラー画面の誘導に誤った窓口を表示するとか、問い合わせを受けたくないからわざとやったのでは、といった類のSMBCの悪意を疑わざるを得ません。窓口が混みあうというのも、本件のようなドラスティックなシステムの切替えであればトラブルが大量に発生して問い合わせも殺到するのは当然の話で、窓口の十分な増員等その準備がなされていなかった事は、文字通り不備と言う外ないでしょう。いずれも極めて遺憾です。

その後は、 まあお決まりの、今すぐに決済をしなければならない状況だというのに送付に一週間かかるだとか、スマホを持っていないのにアプリを使えだとか、そういった類の木で鼻をくくったような対応を受けた知人が憤慨して悶着があった後、最終的には最寄りの店舗に出向いたところ運良くパスワードカードの在庫があり、何とかその日の内に切替えのち決済をする事ができたのです。が、解決の見通しの立たないまま長時間に渡って業務が滞り、手間も掛けさせられた知人は当然ながら憤りが治まらず、相当に不満が残った様子でした。聞けば、本件切替えについて、特にメールやDM等での告知はされた覚えはなく、本人にとって完全に不意打ちだったんだとか。そりゃ怒るに決まっています。おそらくは画面上に注意的な表示はあったんでしょうけれども、日々機械的に同じ作業を多数繰り返す中では、そんな細かい注意書きなんて一々読まないでしょうし、SMBCの怠慢により起こるべくして起こった障害というべきところだったわけです。

しかしMUFGの時といい本件といい、こうも当たり前のように顧客に迷惑をかける杜撰ぶりには流石に驚きました。MUFGの場合はあまりにしつこい催促それ自体が主たる迷惑の要素だったのに対し、SMBCの場合は全く告知をしないも同然のまま切替を強行したという事で、その態様は両極端に対照的ではあるものの、いずれも手続上の不備があったと言うべき点に違いはありません。そもそもワンタイムパスワードへの切替は完全に銀行側の都合による話であって、顧客に一方的に不利益を被らせる話だというのにこの対応の漫然さ加減は、銀行もベンダも一体何を考えているんでしょうか。あるいはやはり何も考えていないと言う事なんでしょうか。

これらの惨状、その原因が部分的にせよそういう事なのであれば、システム更新時等に頻繁に大規模な障害を起こすというのも、その作業自体が困難だからというのではなく、要するにその種の変更作業におけるリスク及びそれに際して負うべき自己の責任に対する認識が甚だしく不十分で、そのために対応も杜撰なものになっているというだけなのでは、といった銀行とベンダのシステムの管理運用の能力自体に対する疑念を強くせざるを得ないところなのです。事システムに関する限り、銀行を信用してはいけない、という事なのでしょう。困ったものです。そんな銀行がfintechとか何の冗談だと言わざるを得ないわけなのですが。

[関連記事 [note] MUFGオンラインのワンタイムパスワード強制切替の催促が極めて不快かつ迷惑]

11/29/2016

[pol] 英米に続き仏も保守回帰、排外へ

フランスの次期大統領選の予備選において、右派共和党(旧UMP)ではFrancois Fillonが決選投票でAlain Juppeを大差で退け、候補者として確定しました。

本選では、Fillonの他、極右派国民戦線のMarine Le Penに加え、現職のHollande大統領率いる社会党を含む3者で候補が乱立する左派が票を食い合う選挙戦が予想されていますが、現時点の世論調査ではFillonが優勢な模様とのことです。具体的には、第一回投票を想定した調査では対Le Penで僅差、左派の各候補には2倍から3倍程度で圧勝の見込みで、また決選投票のように1対1を仮定した場合には、Fillon対Le Penではダブルスコアになる等、いずれの候補にも大差でFellonが勝利する見込みだそうです。要するにFillonの圧勝ですね。

無論本選はまだ数か月も先の話で、新候補はしばしば登場時に過剰な期待を受ける事があるものだし、情況は様々に変化するものにつき予断は禁物ではあります。が、支持の拡大も踊り場に来たように見える極右に競り勝ち、かつ左派3陣営の各候補はFillonには遠く及ばない事からすれば、現時点でFillonが次期大統領になる可能性は相当に高いものと見てよいのでしょう。

特に、左派はもう無理かもしれない、と思うわけです。近々では移民政策での明らかな失敗等から政権への批判が高まって極右や保守に支持が流れ、左派が一枚岩になっても対抗は相当に困難であろう現状にあって、極左とそれ以外の対立に加え、Hollade政権下で事務局長を務めたEmmanuel Macronが独立候補として立って社会党の基盤を大幅に侵食しているうえ、肝心の社会党ではHollande現大統領と首相のManuel Vallsが内紛に近い状態にある、というのですから。率直に言って明らかに対Fillonを云々する以前の段階で全く話になりません。実際、3者(社会党は党として)各々10%前後しか支持が得られておらず、全部足してようやく可能性が生じるにすぎない、というのでは、そもそもその仮定が成立するところの決選投票に進む事すら出来ないという事になるわけで、むしろ不可能と言い切っていいかもしれません。

というわけで、結局のところ、フランスも保守回帰が見込まれるところとなりました。これがさらに極右にまで進む可能性はあっても、左派へと戻る事は当面は考えられないでしょう。すなわち、既に移行が進む英国・米国に加えて仏も保守回帰を果たす事となり、ドイツを除く主要国が揃って国内優先政策に舵を切ったものと言えます。その経緯からすれば、移民政策は根本的に排外へと転換する事は避けられず、経済的保護主義とも合わせて欧州各国間での方針の相違はさらに鮮明となり、EU崩壊の懸念はより一層深まるところとなるわけです。

今や主たる指導者のうちリベラリズムを掲げるものはAngela Merkelただ一人、しかしそのMerkelすら、大幅な支持の低下を前にして難民の大規模な強制送還を打ち出す等の修正ないし転換を余儀なくされている以上、事実上欧州はなべて排外主義に染まったと言っていいのでしょう。実態はともかく、少なくとも建前としては国家や人種、思想の相違を全て受け入れ融和する社会を目指した欧州の夢が、かくも儚くも崩壊する様を見るのは残念なところではありますが、毎日のように難民キャンプで爆発等の騒乱が発生し、不法入国者も一向に減らず、依然としてテロに脅やかされ続ける諸国の現在の有様からすれば、これも必然という他ないのかもしれません。排斥された者達は一体何処へ行き、何者となるのか。誰もが懸念するように、反社会性を帯びた無法者の群れへと転じてしまうのか。どうなろうとも、それを止める事はもはや誰にも出来ないのでしょう。自他共に認める自由の国ですら、抗うことは出来なかったのですから。

France election: Socialists scramble to avoid split after Fillon win

[関連記事 [pol] 排外主義へと転換する米国、その行く先について]
[過去記事 [pol] 無責任なEU首脳、醜態を晒す市民]
[関連記事 [pol] EUの終わり(多分)に]
[関連記事 [pol] 英国は独立を取り戻すか > 取戻します。さらばEU]
[関連記事 [pol] ギリシャの社会保障削減拒否、瓦解する欧州の夢]

11/25/2016

[IT law] 中国にて犯罪者予備軍を顔つき(のみ)で判別するシステムの開発が進行中

中国で、顔の特徴から潜在的な犯罪者を見つけ出そう、というクレイジーな実験が行われているんだそうです。以前からよくあるところの、そして大金をつぎ込んだ挙句失敗に終わるところの、顔写真を元に監視カメラで指名手配犯やテロリストを探す、というのではありません。純粋に顔画像のみを用いて、すなわち顔つきだけから、既遂未遂未着手も含め、犯罪を犯しそうな者を判別しようというのです。

具体的には、中国の国家機関が過去に容疑者とみなして摘発した市民数百人を含む2000人弱分の顔写真を学習セットに用いて、顔認証等に用いられる一般的な特徴について容疑者群とそれ以外との差異を抽出して判別基準を作成し、それによって顔写真のみから犯罪者(潜在的なものを含む)を判別しようとしているのだとか。担当の研究者曰く、上唇の曲率や両目間の距離等には容疑者に特徴的なものがある、と主張しているそうです。

実験は、18歳から55歳までの、髭や刺青等のない男性の1856人分の顔画像セットが用いられました。その約4割、730人分が容疑者です。それら画像の90%を用いて学習した判別基準につき、残りの約200人分程度の画像を判別させた実験の結果、その成功率は89%だった、とのこと。

結果だけを見れば、およそ10人に9人は判別出来るという事で、驚愕すべき高精度です。・・・この数字が信用のおけるものなら、という但書は付くし、色々と疑義もあるわけですけれども。

さて。当然ながら、本件試みには各方面から批判・非難が山ほど寄せられているそうです。その内容・論拠は大別して2点。1つは、犯罪すなわち具体的に定義することさえ出来ない不特定の広汎な行為に及ぶ、という内面的な性向と、外見の、しかも静的な特徴との間に、因果関係の存在を見出すべき根拠が存在せず、従って科学的に意味不明な点。もう1つは、本件における犯罪者データは、中国当局が容疑者として摘発した者を集めたに過ぎないため、そもそも犯罪行為を行ったかどうかも定かではなく、従って本実験は、"当局に容疑者として摘発されやすい外見"を判別しているに過ぎず、これをもって犯罪者を判別したものとは到底言えない点です。

実験とそれに対する上記の批判を前提にすれば、ある程度判別が出来た、という結果を論理的に解釈し、理解する事が可能になります。例えば、次のように。

本実験の前提として、外見と犯罪行為一般への積極的性向の間に論理的な根拠は見出だせない。そうである以上、外見による判別は不可能であり、従って、偏りのないデータに対する本実験の成功率は50%に漸近するものと考えられる。しかし、本実験の結果には、明らかに有意な偏りが認められる。従って、データに偏りが存在するものと思われる。学習に用いたデータは、当局に容疑者として摘発された者とそれ以外の者であるから、偶々データ内に偏りがあったのでない限り、外見の特徴と中国当局による摘発対象となる事の間に強い因果関係の存在が示唆される。従って、中国当局は、外見的特徴のみに基いて相当割合の容疑者の摘発を行っているものと推定される。

という感じで。結局のところ、本実験を合理的に解釈して得られた結果は、顔つきから犯罪者を判別出来る、という事ではなく、中国当局は、当局がステレオタイプ化している犯罪者らしい見た目の男を見た目だけで検挙しているらしい、という事になるわけです。恐ろしいですね。もっとも、それはあくまで結果であり、間接的な原因は幾つか考えられるわけですけれども。例えば、中国国内ではウイグル族やチベット族をはじめ、多数のマイノリティが政治的に迫害され、その多数が検挙されてもいる事は周知であるところ、本件で判別に用いたような外見的特徴は、特に民族間に表れやすいものである事からすれば、中国各地の少数民族への迫害を裏付けるものと見る事も可能かもしれません。なおさら恐ろしいですね。

しかし、本件が怖いのはその点に止まりません。中国当局が今回の実験を行った理由は、明らかに犯罪者(潜在的なものを含む)を自動的に識別し検挙するためと思われるところ、本方式をそのままそこに適用するとすれば、これまで行ってきたところの外見のみによる偏見に満ちた根拠のない摘発に倣って検挙を進める形となり、従って無実の市民の摘発する結果になるものと考えられるわけです。それは、本方式により(見かけ上の)根拠が与えられる結果、従来よりもさらに強制的なものになり、規模も大幅に拡大する事が予想されます。しかしその実、これまで(根拠もなく見た目だけから怪しんで)検挙した市民と、その見た目が似ているからというだけで検挙されるという。

家族や親類に検挙された人がいたらその時点でもう大体アウトになる、と考えればその異常性が想像しやすいでしょうか。偶々顔の一部の特徴が過去の容疑者に似ているに過ぎない人でも、整形しなければ、何ら罪に問われる事をしていなくとも、ある日突然容疑者にされてしまうのです。容疑者っぽい顔をしているから、というだけの理由で。

それはもうマッチポンプどころじゃないですね。自分たちでこれまでレッテルを貼ってきた挙句、それを是正するどころか、逆にそれを基準にして、これまでの相手と似ているからお前も犯罪者に違いない、と言いがかりを付けて回るわけです。性質の悪いことに、顔画像のみから自動的に、従って大規模かつ迅速に出来てしまう一方、中国の権力構造からすれば、誰にも修正することは出来ません。無力で哀れな市民は、ただ理不尽を前に絶望するしかないでしょう。

こういう無茶苦茶な話を聞くにつけ、自分は中国人でなくてよかったと心から思うのです。中国人の方々は・・・御愁傷様としか。ただね。どこまで本気なのか、と疑問に思うところもないわけではありません。単に言いがかりのネタをでっち上げようとしているだけなのか、それとも本当に外見だけから犯罪者とわかると信じているのか。非論理的だったり非科学的だったりする事自体は途上国としてある程度致し方ない部分はあるだろうけれども、中国の場合は大体理解していて、それでも悪意の下あえて実行する事もざらにあるものだから、本件もその一例に過ぎないのかもしれない、等とどうしても疑念を抱かされてしまうのです。であればなおさら救えない話ということになるわけですけれども。どちらせによ、恐ろしい事には変わりありませんし、多少その性質が変わるというに過ぎないんでしょうけれどもね。

Convict-spotting algorithm criticised

11/22/2016

[note] Launchyのビルド失敗への対処について(on ubuntu16.10)

ubuntu(lubuntu)上のランチャーとして、もう何年もバージョンが2.5のままでアップデートも長らくされていないLaunchyをなんとなく使い続けているのですけれども。先日、新規にlubuntu16.10の64bit版を導入する機会があり、いつものようにセットアップ作業を行っていたところ、Launchyのビルドに失敗したのです。

結構長い間新規のビルドはしていなかったので、本件失敗が何時何が原因で発生するようになったのかは不明ですが、少なくとも2年前位までは問題なかった筈ですし、おそらくはライブラリ類の変更に伴う些細な問題とかその辺だろうと推測し、調査の上対処することにしました。

まず、ビルド中に発生したエラーは、下記の通りリンカにおける未定義参照すなわちライブラリの参照失敗でした。

[ビルドエラー]
/usr/bin/ld: build/platform_x11_hotkey.o: シンボル 'XKeycodeToKeysym' への未定義参照です

これを見た時、少し首を傾げてしまいました。というのも、問題の関数XKeycodeToKeysymはDeprecatedになっていて後継の関数への置き換えが可能ではあるものの、使えないわけではなかった筈です。実際、後継関数のXkbKeycodeToKeysymに置き換えてみると、上記エラーは消えたものの、別の、Deprecatedになっていない関数の未定義エラーが発生しました。というわけで、本件は個別の関数の問題ではなく、X11関連のライブラリへの参照一般に失敗している事が原因だろうと理解し、Makefile中のg++のリンカオプションに-lX11を追加したところ、無事ビルドに成功。なお前記関数の置き換えは元に戻しましたが、やはり問題なくビルド出来ます。というわけで割とあっさり解決して一安心です。

具体的な修正点は下記の通りとなります。Launchyのソースのバージョンは2.5。
[修正ファイル] src/Makefile.Release
 ※本ファイルは、正規のビルド手順の途中でqmakeにより自動生成されるものです。
[修正点]
 LIBS変数(18行目あたり)の中に、-lX11を追加挿入
 (修正例)
 LIBS = $(SUBLIBS) -L/usr/lib/x86_64-linux-gnu -lX11 -lQtGui -lQtNetwork -lQtCore -lpthread

なお、本件とは関係ありませんが、以前行ったアイコン処理関連で落ちる現象の修正(下記)は適用済みです。
[note] Launchyが落ちるので暫定修正

というわけで今回は以上です。

11/18/2016

[note] ubuntu16.10のtcshに修正版がようやくリリース

ubuntu16.10において、オートコンプリート(tabキー押下)実行時に必ず落ちるという酷いバグが発生していたtcshですが、ようやく修正されたようです。アップデート適用後に使ってみると、tabキーを押しても落ちなくなっていました。

なお、修正後のバージョンは、修正前と変わらず6.18.01です。

$ tcsh --version
tcsh 6.18.01 (Astron) 2012-02-14 (x86_64-unknown-linux) options wide,nls,dl,al,kan,sm,rh,nd,color,filec

内部的には、024-use-sysmalloc.patchを当てた修正版として6.18.01-5ubuntu0.16.10.1とサブバージョンが振られているようです。これはあくまでubuntu専用に独自に修正したものだから、という事なんでしょうけれども、紛らわしいし、そういう独自の修正は今後のバージョン間で仕様にズレを生む危険も当然あって、新たな問題の温床になるといった副作用が生じる可能性も懸念されるわけで、それが見た目は同じバージョン、というのはやはり適切とは言い難いと思うのです。表層的な部分であれば格別、シェルのような基幹的部分への、しかも本件のような重大な事象に対する修正であれば、なおさら慎重であるべきでしょう。実際、本件修正のログを見ても、副作用の可能性についても言及されているのですし。もちろん一応一通りチェックはされているのですけれども、そういう問題ではないでしょう。

かように少々怪しい感じではありますが、修正された事自体は歓迎すべき事でしょうから、折を見て徐々に戻すか、あるいはこのままbashを使い続けるかを決めようと思います。しかし発生からおよそ1ヶ月、その間は殆ど使用不能というべき症状の酷さからすれば、いささか時間が掛かり過ぎ、遅きに失した感も否めません。Canonicalは、リリースという言葉と行為の意味、そこに当然伴うべき責任、及びその適切な実行の方法を、今一度再考する必要があるのではないでしょうか。

[前記事 [note] ubuntu16.10導入 ※tcshユーザは回避推奨]

11/16/2016

[note] 地デジ用室内アンテナの作成

今回は趣味の工作的な話です。最近は色々と壊れた物の修理をする事が多かったわけですが、久しぶりに新規の作成となります。事の経緯は、先日知人から、小型テレビの電波の入りが今ひとつよろしくない、との話を伺った事に始まります。詳しい状況を聞いてみたところ、問題のテレビは所謂ポータブルテレビで、付属のアンテナを付けて窓際に設置しているのだけれど、フルセグでの受信は不安定で、ワンセグでしか入らなくなる事が多いんだとか。地域的には電波塔からさほど離れているわけではなく、電波自体が弱いわけではないらしい事から、受信側のアンテナの問題だろうと思われる状況でした。

素直に考えれば、市販のアンテナを使えばいいって話なんでしょうけれども、調べてみるとそこそこの価格が付けられている事と、そのテレビ自体も1万円程度の安価なものという事もあり、たかが地デジ用の小型アンテナをそこまで出してわざわざ買うのも若干不釣り合いな気がしないでもない、という事で、今回は安価さを重視し、100均で調達可能な部材を使ってアンテナを作成してみる事にしたわけです。なお、同軸ケーブル(F端子付)は手元にあったものを使いました。

今回作成したのは2種類。ダイポールアンテナとヘンテナ。いずれも多数作成事例が存在しますので詳細は割愛しますが、定番ですね。共に周波数500MHz、すなわち波長60cm程度に合うようにしました。受信専用だしそんなにシビアでもないだろう、と期待して。

結果から言えば、ダイポールでは足りず、ヘンテナでOKとなりました。というわけで、以下その作成についてメモ。

まずダイポール。以前キーボードのパターン修復に使った銅箔が残っていたので、これを1/2波長すなわち約30cmずつ切り出して段ボールに貼り付け、


中央部に開けた穴からF端子を通して、


 導線をハンダ付けして出来上がり。


 非常に簡単です。が、流石に性能は良いとは言えず、付属のアンテナとどっこいな感じでした。そりゃそうか。というわけで没。


次に、シンプルな割に利得が高いと定評のあるヘンテナの作成です。スチールの針金を用いて、F端子プラグを取り付け可能な形で作ります。100均で下図のようなプラグ2個と針金を調達。


本体の寸法は、長辺30cm、短辺10cmの長方形状のループに、長辺の1/3(端から10cm:20cm)の内分する位置に短辺と平行にして両側から内向きに伸ばした枝に中央でプラグを固定する形です。大まかに針金をペンチで伸ばし、曲げ、カシメて調整し、各接点をハンダ付けしてからグルーガンで覆います。覆う必要は必ずしもありませんが、尖った部分が剥き出しだと何かと危険ですからね。安全第一。というわけで出来上がった姿が下図です。


 裏側。


全体図。ちょっと歪んでいますね。もちろん修正しようと思えば出来るのですけれども、今回は受信専用という事もあり、性能面では問題なさそうなので放置。


コネクタ部分は少し苦労しました。同軸ケーブルを固定する金具にそれぞれ針金の先を挿しこんだり、巻きつけたりしてからハンダ付けして、これも同様にグルーガンで固めてあります。とてもスマートとは言えませんが、強度面では十分でしょう。


これを、窓際でハンガーから垂らしたケーブルの先に接続する形で設置した結果、流石にダイポールや付属アンテナとは違い、全チャンネル安定してフルセグ受信出来るようになったのでした。めでたし。ただ、角度はある程度電波塔の方へ向ける必要があるらしかったり、窓からは少し離したほうが良いらしかったり等、若干調整は必要ではあったのですけれども。といってもその程度、些細なことです。というわけで、今回はこれでおしまい。

[関連記事 [note] 古いキーボードを修理・その3]
[関連記事 [note] 鞄の取っ手金具(手カン)の修理]

[note] 鞄の取っ手金具(手カン)の修理

鞄が壊れたのです。ビジネスバッグの類なんですけれども、PCや書類等を詰め込んで、ちょっと重いなと思う位だった時に、突然持ち手の付け根の片方が取れてしまいまして。見ると、本体と持ち手を繋ぐ金具(手カン)の取っ手に差し込まれていた棒状の部分が根本からもげてしまっていたのです。その鞄は2wayなので、そのまま肩掛け鞄として使う事も出来なくはないものの、不格好な事この上ありません。程なく修理をしようと決める事になったわけです。

本件の金具は、四角形に近い比較的単純な形状のもので、割と汎用性も高そうに思われたため、最初は交換用の部品を探したのですが、これが意外と見つかりませんでした。そうそう壊れるものでもないし、あまり需要がなく、そのために流通もしていない、という事なのでしょうか。他にも、ワイヤーの接続用金具(シャックル)の細長いもので代用出来ないかと検討してみたりもしましたが、微妙に寸法が合わず、本体側の穴に差し込む事が困難につき断念。

仕方がないので、壊れた金具を修理する事にしたのです。材質はおそらく亜鉛系で、そもそももげる位には柔らかいものなのだから、それほど苦労はしないだろうと見込んで。具体的な修理方法としては、サイド部分のみ流用して、折れたシャフトは取り払い、代わりに長いネジを通す事にしました。結果から言えば概ね思い通りに修理する事が出来たのです。以下はその工程のメモ。

まず、 シャフト部分にネジを通すための穴を開けます。バイスに固定して、


ドリルで3mmの穴を開けます。


位置や角度がズレないよう、特に最初の内は軽く当てては目的の位置に近づくよう斜めに動かして離す、を繰り返しつつ、少しずつ削り取るようにして掘っていきます。


ほぼ位置が定まったら、角度を優先して掘り進めます。柔らかいので削りやすいのはいいのですが、逆に言えば間違った位置・方向にも削れやすいという事なので、 気を使います。


当然ながら削りかすが沢山出るので、時々外して掃除します。同時に位置等を確かめつつ。


数ミリ以上まで行くと、あとはひたすら垂直になるよう掘り進めるだけです。


これで出来上がり。


 もう片側。シャフトが残っているので、まず切り落とします。


金鋸でコリコリと。


 やはり柔らかいので、さほど苦労する事もなく切れます。


先ほどと同様にバイスにセットして、


もう片方に開けた穴と位置が合うよう、殊更に気を使って位置決めして、ドリルで穴を開けます。


これで穴あけは完了。組み上げます。


シャフトの代わりには、3Mの小ねじ、今回は元々の壊れた原因であるところの強度を重視してステンレス製を採用しました。なお長さは40mmです。ちなみに、もげていなかった側のシャフトも長さを合わせるため同じく交換。本体と取っ手のそれぞれに通した後、両側をボルトで固めて出来上がりです。


写真を見ればわかるとおり、片方のネジが長すぎて少し飛び出しています。いささか不格好ですが、そこまで目立つというわけでもなく、とりあえず強度は問題ない様子なので、ひとまずはこれでよしとしました。気になるようなら片側だけ35mmに交換するかもしれませんけれども。というわけで今回はこれでおしまい。

[関連記事 [note] 壊れたマウスのスイッチを交換修理]
[関連記事 [note] 磨り減った靴底を修理]

11/11/2016

[note] 壊れたマウスのスイッチを交換修理

殆ど恒例になりつつある、デバイスの修理の話です。日常的に使っていれば、あるいは使っていなくとも、何だかんだでチラホラと壊れるのですよね。今回故障したのはマウス。型番はLogicool製のM235で、同社製品の中でも安価なカテゴリのモデルです。症状は左のスイッチを押しても反応しない事が頻繁に発生する、というもの。完全に壊れたわけではなく、カチカチというクリック音はするし、数回に一回は反応もするのですが、通常のクリックとダブルクリックの使い分けが殆ど出来なくなるし、ドラッグの途中で勝手にグリップが外れてしまったりして、実際の所使い物になりません。

購入してから既に数年経っていてそこそこ古いものの、使用頻度の非常に低いPCに接続している事から殆ど摩耗等はしていない筈なのですが、運が悪かったのでしょう。ただ、当然ながら見た目もさほど劣化しておらず、いくら安価なモデルとはいえ廃棄は躊躇われる、というわけで、スイッチだけを交換して修理する事にしたわけです。

まずは交換用部品を調達しました。本機のスイッチは、D2FC-F-7Nという角形のポピュラーな部品が使用されているのですが、これは各所で流通しており、入手も容易です。それだけ故障も多いという事なのかもしれませんね。国内でも入手可能なのですが、やはりそこそこの値段がします。数百円のマウスの修理に数百円の部品というのはいささか不釣り合いのように思われ、かつ急ぐ理由もない、というわけで、今回はコストを重視してebay経由で中国は深センの業者から購入しました。5個入りで送料込$1.07。発送から2週間弱と比較的早く到着したのは幸運でした。OMRONの刻印が入っているものの、本物かどうかは・・・まあ、気にしない方がいいのでしょう。動けばいいのです。


というわけで、以下は作業記録です。まず、問題のマウスを分解。


本機のネジは1箇所。電池を入れる部分の裏、シールで覆われた下にあります。


蓋を開けて、


基盤を取り外します。基盤はネジ止め等はされておらず、爪と電極部分で固定されている形です。爪を押さえつつ、マイナス側の電極を持ち上げるようにして外します。


裏側。 下図の画面上側の3端子を外します。


ハンダごてと吸取線でちまちまと格闘する事数分、取り外し。うっかり一つの端子について接点のリングパターンも剥がしてしまいました。


 が、慌てず交換部品を差し込み、リング諸共ハンダ付けします。


ついでにレンズユニットの掃除などしつつ、組み立て直します。動作確認の結果は良好で一安心。ちなみに元の部品のメーカーは中国のHiMAKEで、交換前後で比較すると、新しい方は若干幅が細く、だからというわけではないのでしょうけれども、クリック感は軽く、音も小さめでいい感じです。今回は左側だけを交換しましたが、これなら両方交換してもいいかもしれない、とも。


ともあれ、めでたしめでたし、というわけで、今回はこれでおしまい。

[関連記事 [note] 古いキーボードを修理・その3]
[関連記事 [note] 故障した掛時計を分解修理]
[関連記事 [note] IH調理器の壊れたスイッチを修理]
[関連記事 [note] 磨り減った靴底を修理]
[関連記事 [PC] 電源の入らなくなったノートPCを修理]
[関連記事 [note] 自動車のウィンドウガラスリペア、その顛末]
[関連記事 [note] 古いキーボードを修理・その2]
[関連記事 [note] 壊れた古いキーボードを修理]